『女子大に散る』 第1話・春はバスに乗って
春、非常勤講師の依頼があった。なんの因果か女子大である。奉職一年めでコマ数に余裕があったし、すでに大学語学の現状には辟易としていたが夢も理想もまだあって、甘露かぐわしき禁断の花園へのご招待を辞するいわれは見当たらなかった。
なによりわが最寄駅からキャンパスまで片道20分少々の直行バスが出ているという。普段まったく足を伸ばさない方面の、別の私鉄沿線にもほど近い立地だ。通勤電車も人ごみも蛇蝎のごとく嫌悪する身にはこれだけで大きにそそられた。エッしかも一コマあたり月二八もくれ