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戯作創作

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胸に一物、背中に荷物。(織田作之助)
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#読書

ダイダロスの子

【戯作エンヴォイ】 わが生の意味 なんなりと いつのころより 思いしを 古きに温ね 渉猟す 韋編三絶 涯しなく 憧れ抱き 真善美 若気を賭して 追いすがり はや廿年に なりぬべし 光陰如箭 游子吟 目にし耳にし 偽悪醜 嫌だ厭だと 避けたくも なまじ躱せぬ ソサイエティ 汚穢汚濁が 渡世なり デカンショ、ルソオ はたデリダ ルウトヴィッヒが 笑ってる 愛より差異と 笑ってる それならそうと 早く言え いまや四方は 鎖された のっぺり高く 隙間なく 重畳するは よもや

短編小説 悲嘆惨憺ダップンタン

 午後3時過ぎ、電車に乗り込み尻を落ち着けたとたん、朝にコーヒー昼に水あと飴ふたつ以外なにも入れていない腹がグルルとわめいた。どうも夜まで保ちそうにない。  最寄りに着いて、駅ビル2Fの寿司屋に直行した。閑散たるカウンター席をひとり占め、百円皿をよりどりみどり食い喰らう。あおさ味噌汁シメに飲んだらうつらうつらとやって来て、さっさとお会計に立った。 「ありがとございましたあ」  学生アルバイトに見送られ階段を下り、秋空の下に出るや、へそ下がギュルルとうごめいた。目方5kg