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戯作創作

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胸に一物、背中に荷物。(織田作之助)
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#大学生

寂しいおじさんと二年後に死ぬ乙女

 乙女に「おじさん」と渾名されるは快、「寂しい」まで添えられれば欣快の至りだ。こちらが独身独居とか俗世的交際ぎらいとか足腰の衰えありだとか公言せずとも嫋やかなる目は全部お見通しで、そんな時ばかりその奥にシャーロック・ホームズばりの洞察力が冴ゆるを見るも心憎い。 「はいどうぞ」 「……先生なんか慣れてる」 「慣れてる?」 「スタバよく来るんですか?」 「たまにな」 「え~もっとあたふたするかと思ったのに~」 「なんだそれ。だからスマホ構えてたのか」 「そ。緊張してるかなって」

短編小説 上京小娘ぶぅちゃん

 最近うんちんは寝言が多い。 「ぶぅ、と言ったのだった」  昼間は忙しくて時間がないからって、ついに夢の中で書くようになっちゃったんだ。ぶぅのお話ならおもしろくなること間違いないし、せっかくだから書きとめておいてあげようと思う。  ボクは「ぽて」、ぶぅ5才の誕生日パパに買ってもらったぬいぐるみだ。ぶぅの大学進学のための上京についてきて、というか連れてこられて、いろいろあってから、今はうんちん宅に居候している。  ぶぅとうんちんは、15歳離れたいとこだ。ぶぅのパパのお兄