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富は富を生み貧乏人は貧乏なまま(ワイルドライフ)

「ワイルドライフ」を観たのでレビューします。

【作品情報】
監督:ポール・ダノ
出演:キャリー・マリガン、ジェイク・ギレンホール

【おすすめ度】
★★★★★★★☆☆☆(7 / 10)

【あらすじ】
ゴルフ場で働く父ジェリー、専業主婦の母ジャネット、一人息子であるジョーの3人は、モンタナ州の田舎町に越してきたばかりの核家族世帯であった。新天地での生活が落ち着いたのも束の間、父ジェリーがひょんなことからリストラされてしまう。母ジャネットはパートを始め、ジョーもアルバイトを始めた折、父ジェリーは2人の反対を押し切り危険な出稼ぎの仕事に出てしまう。父親不在となった一家の歯車は徐々に狂い始め・・・

【感想】
 一般的な核家族世帯であるブリンソン一家が徐々に崩壊していく過程を描いた物語です。そのきっかけは父親のリストラですが、おそらくそれ以前から、夫婦間の微妙なすれ違いや価値観の違い、潜在的な不平不満などがあったのでしょう。聞く耳を持たずに危険な出稼ぎに出かける夫、情緒不安定になり不倫し始める妻、2人に振り回され続ける健気な息子・・・意図的ではないにしろ、結果的に子供が蔑ろにされる、機能不全家庭の縮図を垣間見た気がします。
 最終的にブリンソン夫婦は離婚しますが、それはお互いにとっても、息子ジョーにとっても、ベストの選択であったように思います。父親と母親が離れ離れになってしまったけれど、ジョーが間に入り笑顔で家族写真を撮るラストは、本当の意味でこの3人が家族として再スタートするこれからを暗示しているのではないでしょうか。そこはかとない雰囲気がよく、色々と考えさせられる味わい深い映画でした。

【セリフ抜粋】
「富は富を生み貧乏人は貧乏なまま」
ジャネットとジョーが富豪のウォーレン氏と晩餐するシーンにて。格差社会の残酷な縮図を表すセリフ。

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