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人生は奇妙だ。残酷で、思ってもいない方向へ進んでいく(モンスター)

「モンスター」を観たので、レビューします。

【作品情報】
監督:パティ・ジェンキンス
出演:シャーリーズ・セロン

【おすすめ度】
★★★★★★★☆☆☆(7 / 10)

【あらすじ】
 売春婦のアイリーンは、同性愛者が集うバーでレズビアンのセルビーと出会う。セルビーにそっけない態度を示していたアイリーンだが、互いを知るにつれ2人は徐々に愛し合うようになる。ある日、いつものようにアイリーンはある客の相手をするが、その客は暴行や監禁を厭わない危険な男で、身を守るため彼女は衝動的に相手を殺害してしまう。売春の仕事に心底嫌気のさしたアイリーンは堅気の仕事を探し始めるが、学歴も職歴もない彼女をまともに雇おうとする所はどこにもなかった。絶望に打ちひしがれる彼女は再び売春婦として生きるしかなく、客の相手をし始めるが・・・

【感想】
 連続殺人犯として逮捕された売春婦アイリーン・ウォーノスを題材とした実話に基づく映画です。幼少期の悲惨な生育環境が遠因で、売春という方法で自暴自棄な生き方しかできなかった彼女が、殺人を犯したことがきっかけで人生に絶望し、殺人を続けることでさらに転落していく物語です。
 一線を越えてしまった人間が堕ちる所まで堕ちていき、破滅的な末路を迎える悲劇の真髄に触れることのできる映画です。世の中にはこういう生き方しかできない人間が存在すること、一線を越えたら決して元には戻れない現実、途中で生き方を変えることの困難さなどを思い知らされました。と同時に、彼女を容易には受け入れない周囲の環境、売春婦を人とも思わない世間の認識など、本人の問題だけとも思えない問題もあり、それらの連鎖や積み重ねで悲劇は誰にでも起こり得るのかもしれないと感じました。
 こういった救いようのない他人の人生や社会的弱者の生き方を、単なる他人事だとは思いたくないですね。

【シーン抜粋】
アイリーンが2件目の殺人を犯した直後、自分の人生を反芻するシーンにて。人生はままならない代物だとよく分かるセリフ。

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