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死なないのに必死で生きてる心地がしない(ダラス・バイヤーズクラブ)

「ダラス・バイヤーズクラブ」を観たのでレビューします。

【作品情報】
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演:マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト

【おすすめ度】
★★★★★★★★☆☆(8 / 10)

【あらすじ】
ある日HIV陽性の診断を受け余命宣告されたロン・ウッドルーフは、病院で投薬されるZATの効果に疑問を持つ。そこでZATを完全に断ち、健康に気を遣いながら未承認治療薬ペプチドTを摂取する。病状が改善し、これが効果的な方法であることを実感した彼は、独自に仕入れたペプチドTを同じHIV患者たちに売りつけ始める。会員制の治療薬処方サービス「ダラス・バイヤーズクラブ」の始まりだった。

【感想】
 実在するロン・ウッドルーフという人物をモデルにした映画です。本能の赴くまま無茶苦茶な生活をしていたロンですが、HIVに感染したことで死を実感し、生きるため必死に奔走して奇跡的な復活を遂げます。その鍵となった未承認治療薬にビジネスの勝機を見出し、彼は世界を奔走して仕入れた治療薬を患者たちに売りつけます。最初は儲けのために始めたことが、HIV患者の人権が無視される実態に憤り、理不尽に屈せず闘い始めるあたりから、それが自分を超えた世のため、人のための行動になっていきます。
 粗暴で欲望に忠実なロンは社会不適合者かもしれませんが、自分本位でいてどこか他人本位でもあるため、ろくでもない人間とは思えません。常人にはできない事を平然とやってのける、そこにシビれる憧れる、ロン・ウッドルーフという漢の映画でした。

【シーン抜粋】
病院から辞職を促されたイヴをロンが慰めるシーンにて。世の大半の社畜が抱いて止まない病みが抱いて止まない闇が抱いて止まないセリフ。

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