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#1-1 花の仕事で一番好きなのは?

新人さんが入って約2か月。

「どの作業が一番好き?」と私が何気なく聞いてみたところから、
その日のシフト全員がその質問に答える流れになりました。

新人さんは「全部好き!」と優等生的なお答え。
私は「ブーケの制作」
5年目の店員ダリアは「花の水揚げ」

私も、花の水揚げが大好きです。
入荷されて来た花たちは、刈り取られてから箱詰めされてしばらく経っているので、のどが渇いてぐったりとしおれています。

その茎の先を、ナイフでスパッと斜めに切ってすぐ水に入れます。
そうすると、みるみる元気を吹き返すのです。
皆さんも、鉢植えの花がしおれて首を垂れてしまった時に、
水を与えると、ピンと元気を取り戻す様子を見たことがあると思います。
私も同僚のダリアもその様子を見るのが大好きなのです。

でも、私は何よりもブーケの制作が好きです。

数年前に「花屋をクビになった話」については書きましたが、
今の花屋に拾ってもらうまでの約1か月間、ハローワークなようなところに
通いました。
ここでは再就職に役立つ講座が各種開催されていて、その中の一つとして私が選んだのは、履歴書の書き方のクラスでした。

振り返ってみると、最後に履歴書を書いたのは渡米した約20年前。
時間の経過とともに、履歴書の書き方もだいぶ変化していました。

その一環として、先生に
「自分の強みを1行で書いてごらん」
と言われました。

さて、私のフローリストとしての強みって何だろう。

そこで思いついたのが次のような文でした。
"Created high-quality floral arrangements and bouquets which reflected customer’s personality and needs"
(お客様の雰囲気やご希望を反映した高いクオリティのアレンジメントとブーケの制作)

「4歳の姪っ子のバレエリサイタルに」
「ガールフレンドとの1か月記念に」
「2年目の結婚記念日に」
「ガールフレンド(や奥さん)怒らせちゃったんで『ごめんね』ブーケ」
「可愛がっていた犬を亡くした友人に」

幸せなこと、悲しいこと、嬉しいこと、それぞれのシチュエーションを想像し、必要に応じてお客様とやりとりしながら、それにふさわしい花を選び、しかもご予算内で手際よく作り上げる作業は、さながらゲーム戦のようで毎回ワクワクします。

もちろん、店としてのデザイン基準はあるのですが、その中に自分のテイストをバランスよく取り入れることもできるようになり、そこで満足感と達成感を得るようにしています。

そして、迷った時には『イイ』と思う自分の直感を信じる、というのもすごく大切なことだと思っています。デザインの理論やスキルが裏打ちをしてくれる時もありますが、デザインに携わる仕事をしている者としては、この直感というのは必要不可欠だと思います。

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