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掌編小説

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掌編小説を集めました!
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記事一覧

春香る

 いつ雪降ると思う? って訊かれたから、知らん知らん知らん、つうか、いま春だし。この前冬…

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フュチュール (掌編小説)

 この街に聳える巨大な建物の最上階、そこにバーはあった。今日のバーは暖炉の火で温められて…

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ハロウィン(掌編小説)

 ハロウィンにちなんで、朝から大量のカボチャを調理する。緑色の表面からは想像のつかないオ…

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暑(掌編小説)

 コンクリートから伝わってくる熱は下半身を溶かし、頭上から注がれる太陽は上半身を溶かす。…

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川【掌編小説】

目の前に川が現れた。右を見ても左を見ても、途切れる様子はなく、しかし佐伯は、この先に用…

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ノートから始まる【ライトな掌編小説】

久々に甘酸っぱい青春の夢を見たので、ライトな恋愛小説を書こうかなと。 ライトな語り口のラ…

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扉(掌編小説)

 街を歩けばみんながマスクで顔を覆っていて、こんな異常な世の中になると誰が想像してたか? と思いながらわたしは世界堂で大量の絵の具を買う。  しかし世界の名だたる大学だの研究所だのに勤務している研究者やら教授やらは、こういう世界が早かれ遅かれ来ることを知っていたのだろうかと思うも、そもそも世界の氷が溶けてそこから未知のウィルスが世界を覆ってしまうかもしれないという情報は、普段そういう研究に携わっていないわたしの耳にも入っているわけで、それなら、こういう世の中が来ることを想像で

誰の声(掌編小説)

 自分以外誰もいない部屋には、わたし好みのコーヒーの香りが充満していて、それではなくコッ…

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来年もよろしくね(掌編小説)

 ちょっと手伝ってくれよ、と、隣で自室を掃除している弟に叫んだら、「なんだよ、だいたい兄…

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恋人はXmas(掌編小説)

 はあ、はあ、はあ、と走るわたしの口から吐き出される空気白く濁っていて、途中信号で立ち止…

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恍惚(掌編小説)

 僕は弟が好きだ。だから弟の好きなピアノを僕も弾きたいと思った。弟は、僕とは外で遊んでく…

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コピー(掌編小説)

 あたしは双子で、ほとんど同じ顔の姉がいるのに、昔から可愛いとか美人だなって言われるのは…

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愛の挨拶(掌編小説)

「わたしの人生はピアノ一色だった。だからきっと、わたしはピアノになって死ぬんだよ」  お…

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愛(掌編小説)

 街中が、きらんきらんって、いろんな色の光で埋め尽くされていて、それを見ていると、自分の脳内まで、赤や黄、緑に青、ピンクに染められる。わたしと同じくらいの背の高さのスノーマンが、これまた光っていて、僕ここにいるのよみんな見てって言ってる感じで存在感を放ってて、ふふ大丈夫目立ってるよ、と言葉をかけると、笑っている口元をより緩める。 あのお、サンタクロースさん、欲しいものがあるんですけど。  って、トナカイの隣にいる赤い服に身を纏ったサンタクロースに話しかけると、おや? なん