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ベネズエラ人からスペイン語を学ぶ

昨年11月からスペイン語を学んでいます。先生はベネズエラの人で、Zoomではなく、What'sappというLINEのようなアプリでコミュニケーションをとっています。

卒業旅行の行き先はペルー

私は若いころ、ペルーに一人で旅をしたことがあります。30年くらい前のペルー、というか南米は、政情不安と治安の悪さで「女の子が一人で行く場所ではない」と言われ、両親に大反対されましたが、それを押し切って(というか嘘をついて)決行。帰った時は大変でしたが、いい思い出になりました。

今ではペルーの政情も治安もだいぶ安定してきたと聞いていますが、もともと南米で経済や治安が安定している国は多くありません。

内政的には軍事独裁と腐敗政治、それに対して定期的にクーデターが起こるというサイクルを繰り返し、その外側ではゲリラと軍の内戦が続いているというイメージです(ミャンマーも同じような感じですね)。

南米も17世紀以降、ヨーロッパ人による先住民への略奪、虐殺から歴史が始まっている国がほとんどです。植民者の子孫(混血を含む)によって独立を果たした後も、19世紀にはヨーロッパ、20世紀にはアメリカやロシア(ソ連)の情勢に影響を受け続けたからでしょう。

チャベス政権までベネズエラの歴史

「ベネズエラ危機」という言葉や、南米のどこかの国が大統領が二人いて大変なことになっているという話は聞いたことがありましたが、「命のスペイン語レッスン」というこのプロジェクトのことを知るまで、ベネズエラの状況をよく理解していませんでした。

ベネズエラが独立したのは1811年、しかし内戦とクーデターと軍事独裁のサイクルは続きます。特に第二次大戦後の冷戦時代には、右派政権と左翼ゲリラとの紛争が激化し、国内経済の疲弊と治安の悪化を招きます。

また、石油産出国であったベネズエラは莫大な貿易利益がありながら、腐敗した政治によって富の再分配が適正に行われず、貧困層の不満は増大し、1999年に大統領に就任したチェベスによる左派政権が誕生しました。

それに危機感を覚えた米国は軍部親米派によるクーデターを画策しましたが、失敗します。その後チャベスの反米政策には拍車がかかり、キューバやエクアドルやニカラグア、イランやロシアや中国といった反米政権の国との関係を強めていきます。

国内では貧困層向けの医療や教育、住宅などのサービスを拡充させ、当初は国民から絶大な支持を獲得していましたが、経済政策での失敗が続き、その勢いは陰りを見せ始めます。

国民の支持を失い始めた頃から、チャベスは強権的な姿勢をとるようになり、貧困や治安の問題を解決することなく2013年に死去。そのあとを引き継いだのが腹心の部下だったマドゥロです。

マドゥロ政権とベネズエラ危機

マドゥロ大統領は、すでに破綻していたチャベス政権の政策をほぼそのまま踏襲し、さらに原油価格の下落やアメリカからの経済制裁もあって、経済は壊滅的な状態に陥りました。

この間、2015年の選挙でマドゥロ(左)率いる与党は大敗しますが、あらゆる強権を行使して国民議会の活動を制限し、政治不信の高まった国民によるデモや暴動なども激化していきました。

さらに2019年の選挙では、あまりにもあからさまな不正が行われ、ついに国民会議の議長であったグアイド(右)が、結果の無効を申し立て、自ら暫定大統領に立つことを宣言します。

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当時のアメリカ大統領だったトランプとそれに続く西側諸国は、グアイド政権を承認し、中国やロシアなどの反米政権の国家は引き続きマドゥロを支持するという複雑な事態が現在まで続いています。

そのような混乱した政治情勢のなかで、国民の生活と安全は放置され、今や国民の1割が難民として国外逃亡しているとされるベネズエラ。しかも昨年からのコロナ禍によって、さらに状況は悪化し続けているとのことです。

「命のスペイン語レッスン」というプロジェクト

上記の「命のスペイン語レッスン」のサイトでは、今の状況について次のように説明されています。

インフレ率は最大で200万%以上を記録。ハイパーインフレが始まって3年、ベネズエラの通貨であるボリーバルの価値は99%失われたといわれます。想像しやすいように日本にあてはめて説明すると、400万円だった年収が4万円に、100万円あった貯金が1万円に激減したということ。凄まじいです。こうしたありえないことが起きているのがベネズエラなのです(日本のメディアはほぼ報道しませんが、いまも続いています)。

Youtubeでも、ベネズエラのハイパーインフレの様子を見ることができます。

今回、このプロジェクトを知ってスペイン語学習を始めてみたのは、まず自分が参加することで現地の人の力になれるということ。私にとっても、他の教室よりも安価に習うことができるのがメリットです。

スペイン語は、ペルーに旅行したときに現地で耳にしたリズミカルで明るい言葉の響きに惹かれて半年くらい習ったことがありますが、もうすっかり忘れてしまいました。

レッスンは、What'sappというアプリを使って、テキストや画像、音声をやりとりしながら進められます。Zoomやスカイプでないのは、現地のインフラが脆弱なため、データの容量が足りなくなるからとのこと。

また、レッスン中に停電が起こることも珍しくはありませんが、それもまた現地のリアルが伝わってきます。

先生は、日本語はもちろん英語もあまり通じないので、すべてスペイン語のみのやり取りになります。そのため、コミュニケーションは翻訳アプリ頼みになるわけですが、それによって私の実力を誤解した先生が、どんどん内容を進めてしまい、ついていけなくなる、という事態も発生しました。

私も負けずに先生に「difficil(=difficult)」を連発し、事務局を通じてもっと基礎が定着させるレッスンをしてほしいという要望を伝えています。

ほぼゼロからのスタートですが、週に1時間ずつ月に5回レッスンを受けることで、基本のフレーズくらいは身についてきました。

スペイン語は英語ほど発音が複雑でない代わりに、動詞の活用が複雑です。でも英語と似た単語も多く、Duolingoという言語学習アプリを併用しながら楽しんで学んでいます。

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