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忍殺TRPGソロリプレイ【ザ・サード・カラテ・ウィッチ】

 ドーモ。本作はとくなが=サン制作のソロシナリオ「ヤクザ事務所襲撃」を元にしたリプレイ小説です。

 実家のような安心感、親の顔より見たキヨシ=サンとマンバ=サンを単身やっつけに行くサツバツ&バイオレンスなシナリオになっております。

プレイリポート版はこちら。

(リプレイ小説化にあたり、台詞などは大幅なアレンジを加えています。ご容赦ください)

プロローグ

「ドーモ!あたしは、アレクサ・サトです!」

 事務所のドアを突然蹴破ってエントリーし、アイサツを行ったその女に、敵のカチコミに備えていたヤクザの男は得物のショットガンを構えることも忘れ、あんぐりと口を開けた。小柄で、年の頃は20にも満たないだろう。恐らくティーンエイジャーだ。しかしながら、アトモスフィアでそれとわかるヤクザスーツを着ており、過剰な武装はしておらず、胸のポケットには季節のヤクザフラワーを一輪。正式なるテッポダマ・タクティクスのスタイルだった。
 
「……ドーモ!」

 無視されたと感じたのか、アレクサと名乗ったその少女はアイサツを繰り返した。そして。

「あたしは、ソウカイヤのヤクザです!お前たちを、ぶっ潰しに来ました!」

 あまりにも物騒な一言を告げた。

1.

 その日、ネオサイタマの各地で凄まじい規模の抗争が起き、多くの血が流れた。ブラッドカタナ・ヤクザクランの急激な勢力拡大に、敵対するヘルカーネージ・ヤクザクランがソウカイ・シンジケートへ救援を仰いだのだ。ヘルカーネージ・ヤクザクランがソウカイヤの傘下であることを裏社会で知らない者は居ない。そのテリトリーを侵すということは、ソウカイヤの看板にツバを吐くが如き行為でもある。首領ラオモト・カンは彼の暴力を代行するソウカイヤ威力部門・シックスゲイツに迅速な対応を命じた。タイム・イズ・マネー。
 
 すぐさまソウカイヤが誇るニンジャ達が招集され、ブラッドカタナ・ヤクザクランの事務所を次々に強襲。敵対する者はモータル、ニンジャの区別なく全て血祭りに上げられた。
 
 ……しかし。
 
「ア?返り討ちだと?」

 ソウカイヤ本拠地トコロザワ・ピラー。シックスゲイツの一員であるソニックブームは、憮然とした表情でその報告を受け取った。数あるブラッドカタナの事務所のうち、カミサト・ストリートの支部に派遣された二人組のニンジャの生首が、侮蔑のオリガミ・メールとともにトコロザワ・ピラーに届けられた。規模が小さいと侮り、少人数で向かったツケがこれだ。胴体は爆発四散してしまったが、片や巨大な獣か何かに顔半分を食いちぎられ、片や頭蓋骨が内部から弾け飛んでいた。ただのカラテではない。恐らくはジツ、それも複数のニンジャによるものだ。
 
「使えねえアホどもが。代わりの人選を……何?アースクエイク=サンの耳に入っただと?今夜強襲する?」部下からの報告に、思わず立ち上がる。アースクエイク。シックスゲイツ最高峰の手練であり、頭脳派。確かにその能力に疑いはなく、彼が出撃するということは、ソウカイヤが本気で潰すということだ。十把一絡げのアンダーカードとは格が違う。万が一にも討ち漏らすことはない。

 いくつかの受け答えの後、IRCセッションを終え、椅子に背を預ける。宙を睨んで呟く。「借りを作ることになるじゃねえか、クソが」
 
 近頃、ニンジャソウルのディセンションが加速度的に増加している。必然的にソウカイヤが確保したニュービーも以前より大幅に増え、スカウト部門であるソニックブーム達のキャパシティを超えつつあった……ソニックブームは決して認めないが。今回の件でアースクエイクに動かれるようでは、ソニックブームの立場が無い。面白い話ではない。

 執務机に置かれたチャを口にし、顔をしかめる。不味い。最高級のオーガニック・チャでこれほど不味く淹れられるのは、もはや才能だろう。怒鳴りつける気にもならなかった。「オニイサン、お疲れですか?」チャを運んできた女は、不安げにソニックブームを見た。「ンなわけねぇだろ、メスガキが」悪態をつく。ヤクザが弱みを他人に見せるわけがない。「何か、あたしに出来ることはありますか?」女は小首を傾げる。「ア?そうだな……」しばし瞑目。不味くてもチャはチャだ。ニューロンに染み渡る。遥かに良い。

 目を瞑ったまま、ソニックブームは呟いた。「そうだな……連中を皆殺しにして、ニンジャとオヤブンの首を持ってこい」彼には珍しく、冗談を口にする。クソ、この一件が終わったらオンセンにでも行ってやる。だがその前に、手駒の中から可能な限りの精鋭を、迅速に集めなくては。動かせる戦力が足りない。だが、アースクエイクが動く前に、ブラッドカタナの連中の首を……。

 そこまで思案したところで、ソニックブームは目を見開いた。チャを運んできた女……アレクサ・サトの姿は無かった。

「あのガキ……まさか!?」

2.

 アレクサと名乗った女ヤクザのアイサツと宣戦布告に、しばし呆然としていたリアルヤクザの男は、我に返った顔をした。そして、盛大に笑い声を上げた。「こんな小娘がテッポダマとはな!ソウカイヤもずいぶんと落ちぶれたもんだぜ!」ブラッドカタナの本部から派遣されてきたニンジャは、ソウカイヤのニンジャを2人とも殺した。メンツに傷がついたソウカイヤは、今夜にも本気で攻めてくると信じて待っていたのだが……実際やってきたのは、これだ。

「嬢ちゃん、ウチのマイコセンターにでも就職するか?ソウカイヤよりよっぽど稼がせてや……」「イヤーッ!」下卑た冗談を口にした瞬間、目の前の少女のトビゲリが彼の胸に突き刺さっていた。「グワーッ!?」床に倒れる。苦痛に喘ぎながら、叫ぶ。「ガキが!調子に乗りやがって!野郎ども、ヤッチマエ!」「「「「「「スッゾオラーッ!!」」」」」」その言葉を合図に、ソファーに座っていた六人のクローンヤクザが同時に立ち上がり、同時にチャカ・ガンを取り出す!しかし!

「イヤーッ!」アレクサの左腕がチョップを振るう!「アバーッ!」クローンヤクザ即死!
「イヤーッ!」アレクサの左腕がチョップを振るう!「アバーッ!」クローンヤクザ即死!
「イヤーッ!」アレクサの左腕がチョップを振るう!「アバーッ!」クローンヤクザ即死!
「イヤーッ!」アレクサの左腕がチョップを振るう!「アバーッ!」クローンヤクザ即死!
「イヤーッ!」アレクサの左腕がチョップを振るう!「アバーッ!」クローンヤクザ即死!
「イヤーッ!」アレクサのクロームメッキの左腕が、チョップを振るう!「アバーッ!」クローンヤクザ即死!!

「バカナーッ!?」慌てて立ち上がろうとする男に、アレクサは馬乗りになった。「あたしをナメる奴は、殺す!」アレクサはクロームメッキの左腕を……戦闘用サイバネ義手・テッコを振りかざした!「ま、待て!」「待たない!イヤーッ!」アレクサの左腕がチョップを振り下ろす!「アバーッ!」リアルヤクザ即死!

 リアルヤクザの赤い血とクローンヤクザの緑の血で汚れたテッコを、男のヤクザスーツで拭う。高級ヤクザスーツの内ポケットに数枚の万札が挟まっていることに気づくと、抜き取って自分のスーツのポケットに突っ込む。「こっちの方が稼げるじゃん。バーカ」死体の顔に舌を出し、立ち上がる。男の死体を踏み越え、アレクサは次の部屋へ続く扉を開けた。

「カネを返さねえのは実際犯罪だぞコ「イヤーッ!」「アバーッ!?」

 隣室の騒動に気付かずに、眼鏡の男をバンブーのボーで叩いていたヤクザを、アレクサはテッコの一撃で殴り殺した。「アイエエエ……」残された男のこめかみには生体LAN端子。ハッカーだ。「あんた、この事務所の人?」テッコを構え、聞きただす。「いいえ!いいえ!違います!借金があって連れてこられたんです!」ハッカーは泣きながら答えた。「借金。借金はコワイよね。あたしの腕も、借金で買ったんだ」テッコを見せる。先程まで彼を脅し、暴力を振るっていたヤクザの血と肉がへばりついている。ハッカーは失禁した。
 
「この事務所のヤクザじゃないなら、殺さないよ」「ハイ!殺さないでください!」安堵の顔を浮かべる。彼から興味をなくしたアレクサは次の部屋への扉へ向かおうとし……立ち止まり、途方に暮れた。電子ロックがかかった、巨大で頑丈そうな扉だ。彼女のカラテでは壊せそうにない。ハッキングもできない。「あ、そうか」振り返る。ハッカーは床を這って逃げようとしていた。
 
「イヤーッ!」床を蹴り、宙返りしてハッカーの目の前へ降り立つ。「アイエエエ!?」目の前に現れた少女に、ハッカーは再び悲鳴を上げた。「ねえ、あの扉をハッキングして開けてよ」アレクサは彼に顔を寄せて言った。ハッカーは首を何度も横に振る。「で、できません!僕のワザマエじゃ無理です!」彼はハッカーとして成り上がろうと借金をして生体LAN端子を移植し、更に大手のハッカー・ドージョーにも入門した。ところがドージョーは莫大な入会金を払ったその日、どこか別のドージョーへイクサを挑み、返り討ちに遭った。挙げ句、文字通り燃えて消えてなくなった。彼は死なずに済んだものの、借金とろくに使ったこともない生体LAN端子のみが残され、そして今に至る。

 そんな自分にハッキングなどできない。そう言おうとしたハッカー……ハッカーもどきは、目の前の少女の様子が変わったことに気付いた。
 
「そっか。やってくれないんだ」

 声色が違う。人の声でなくなっている。本能レベルで恐怖を抱いた。
 
「じゃあ、これならどうかな?」少女の姿が、人の姿でなくなり……。

 ハッカーもどきは、絶叫した。「アイエエエエ!?やります、やります!」ヤクザの死体を乗り越え、必死に這い進む。扉にしがみつき、自身の生体端子と電子錠制御盤をケーブルで繋いだ。ガタガタと震えながらニューロンを走らせる。電子錠のセキュリティシステムが壁となって目の前に広がる。一瞬呆然とするが、後ろに立つ少女……少女であった者の気配を感じる。「前門のタイガー、後門のバッファロー」のコトワザを思い出したが、後ろにいるのはバッファローなどという可愛げのあるものではない。

 遺伝子に刻まれた恐怖が、彼を生まれて初めてのハッキングに駆り立てた。セキュリティシステムの迎撃を必死に躱し、クラックする。目と鼻の血管が切れ、血が吹き出す。何をどうしているかもわからなくなり、目の前が黄金の何かに包まれたとき……ハッカーは失神した。『パワリオワー!』そして同時にファンファーレが鳴り響き、扉が開いた。

「ワー、スゴイ。やるじゃん」アレクサは気を失ったハッカーのもとにしゃがみ、生身の右手で頭を撫でると、立ち上がって歩を進めた。

3.

 扉の先の光景に、アレクサは目を見開いた。ドヒョーだ。オスモウのドヒョーがある!そしてもちろん、ドヒョーにはスモトリがいた。「ドッソイ!」「ドッソイ!」ただのスモトリではない!スモトリヤクザだ!そして組み合うスモトリの傍らには、グンバイを振るうモーターヤブの姿があった。『ガピピー!ハッキョーホー!』これこそモーターヤブ行司だ!アレクサはその場にしゃがみ、オスモウを見届ける。『ノコータ!ノコータ!』

 しばしの攻防の末、リーゼントヘアーのスモトリヤクザが、スキンヘッドのスモトリヤクザをスープレックスの形で投げ飛ばした。「ドッソイ!」行司はグンバイを掲げる。『イポン!ソレマデ!』「スゴイ!」アレクサが拍手すると、負けたスモトリが立ち上がり、勝ったスモトリとともにこちらを向いた。モーターヤブ行司はグンバイを掲げる。グンバイがガトリング砲へ変形する!『敵性存在を探知、行司モード解除。排除を開始、します』それと同時に、スモトリ2人がアレクサへ突撃をしかけてきた!

「ドッソイ!」「イヤーッ!」「ドッソイ!」「イヤーッ!」

 アレクサは突撃を回避!無論、それだけでは終わらない。スモトリそれぞれに、テッコでパンチを叩き込む!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」だが死なない!ヤクザでありスモトリであるがためだ!だが!

『敵性存在を排除します!』BARATATATATATA!!モーターヤブはガトリング砲を放った!「アバババーッ!?」「アババババーッ!?」アレクサが飛び退いた次の瞬間、砲火に巻き込まれたスモトリ2人はネギトロと化す!あれを食らうわけにはいかない。アレクサは全身のバネを効かせ、モーターヤブの懐に飛び込むべく跳躍した。しかし、それを許すモーターヤブではない!『排除します!』BARATATATATATA!!

「ンアーッ!?」銃弾がアレクサの右肩を掠めた。激痛が走り、右腕が動かなくなる。足を止めずにちらりと見る。右腕は……千切れてはいない。ならば問題はない!「イヤーッ!」全力で床を蹴る。ドヒョー中央のモーターヤブに躍りかかると、しがみつく。モーターヤブは振り落とそうとするが、離さない!「イヤーッ!」テッコを叩き込む!『ピガガーッ!?』

「イヤーッ!」テッコを叩き込む!『ピガガーッ!?』
「イヤーッ!」テッコを叩き込む!『ピガガーッ!?』
「イヤーッ!」テッコを叩き込む!『ピガガーッ!?』
「イヤーッ!」テッコを叩き込む!『ピガガーッ!?』
「イィィィィヤァァァァッ!!」テッコを、モーターヤブの胸部中央に叩き込む!『ピガガガガーッ!?』中枢回路を破壊されたモーターヤブは沈黙した!

 倒れるモーターヤブを蹴り、ドヒョーの外に着地する。テッコを動かなくなったヤブに構え、ザンシンする。完全に破壊したと認識した瞬間、アレクサの右肩を中心に、激痛が襲った。「ンアアアアーッ!?」痛い。あまりの痛さに涙をこぼしそうになる。膝を屈しそうになる。だが……踏みとどまった。テッコで涙を拭う。「オニイサンは、もっとつらいんだ。だから」己に言葉をかける。歯を食いしばって顔を上げる。先へ進まなくてはいけない。

 ふらつきながらも歩みを進める。その途中のトコノマに飾られた、妖しく輝くカタナが目に入った。血の色のようなカタナ。ブラッドカタナ・ヤクザクランを象徴するものだと直感的に理解したアレクサは、それを左手で掴み取る。

「イヤーッ!」

 テッコの力でそれを何度も壁に叩きつけた。やがてへし折れたカタナを投げ捨て、ヤクザローファーで踏みつける。ソウカイヤの敵を皆殺しにする。全員血祭りにあげる。例外はない。激痛に耐えながら、アレクサはニンジャの気配を嗅ぎ取っていた。近い。敵は近い。

4.

「イヤーッ!」「アバーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 テッコを振るいながら進む。ヤクザを殺しながら進む。右肩が痛む。脚が痛む。スシが欲しい。チャが欲しい。

「オニイサン、チャを飲んでくれた。良かった」

 先の光景を思い出し、傷の痛みを無視し、己を鼓舞する。仰々しい扉を、テッコで殴りつける。何度も殴りつけ、ようやく扉は弾け飛んだ。敵が見えた。

「てめぇ!このガキが!よくも、俺のクランを!」

 両腕と両脚、更には胴体に至るまでをサイバネ装備に置き替えたヤクザが、怒りの形相をアレクサに向けた。アレクサは立ち止まる。ヤクザの隣には、ニンジャがいた。黄金と七色の装束の、ニンジャが1人。

「落ち着け、キヨシ=サン。ドーモ、ゴールドレインボーマンバです」

 ニンジャは……ゴールドレインボーマンバは、アイサツをした。直立不動のまま、じっとアレクサをにらみつける。やがて、口を開いた。

「アイサツせよ、小娘。貴様も、ニンジャであろう?」

 アレクサはすぐには答えず、ニンジャを睨み返す。何かに躊躇しているかのように。だが……アイサツにはアイサツで応えなければならない。彼女の中の何かは、そう叫んでいる。故に。

「ドーモ、ゴールドレインボーマンバ=サン。キヨシ=サン。……アレクサ・サトです」

 アレクサは、ニンジャだった。ともにヤクザだった両親を抗争で失い、彼女自身も左腕をカタナで斬られ、心臓を突き刺されて死んだ。そして、ニンジャソウルが宿り、ニンジャとして蘇った。両親を殺したヤクザに復讐した後、現れたソウカイ・ニンジャのスカウトを受け、ソウカイ・ヤクザとなった。

 だが、彼女は周囲が想像した以上に……ニンジャとして、落ちこぼれだった。カラテはクローンヤクザにも及ばぬ。スリケンは動かない的にも当てられない。連続側転にも失敗した。ニュービーのテストも兼ねたミッションにも次々に失敗した。これでよく親の仇を討てたと、皆は不思議がった。

 それでも、アレクサは自分を拾ってくれたソウカイヤの役に立ちたかった。やがて、どこで耳にしたのか、親の遺したカネで買ったはずの医療用サイバネを売り払い、足りないぶんは多額の借金をし、左腕に戦闘用テッコを取り付けて現れた。だが、落ちこぼれと知られた彼女をミッションに連れて行こうという酔狂な者は現れなかった。時間だけが過ぎ、借金の返済の期限が迫っていた。アレクサは途方に暮れた。死ぬことそのものが怖いのではなく、誰の役にも立たないまま死ぬであろうことが悔しく、怖かった。誰かに自分のことを覚えていてほしかった。

 そんなある日。トコロザワ・ピラーで、彼女に声をかけた男がいた。

「おい、そこのお前。ヒマならチャでも淹れろ」

 男にしてみれば、つまらない要求だった。相手は誰でも良かったし、なんならオイランドロイドでも導入すれば済む話だった。しかも、アレクサはチャを淹れることも下手だった。この小娘に声をかけたことを、男は後悔した。だがそれでも。「……遥かに良い」チャはチャだ。ニューロンに染み渡る。男は椅子に座り、目を閉じる。男の眉間の皺が少しだけ緩んだのを見たアレクサは、自分がオニイサンの役に立ったと知った。嬉しかった。だから……もっと役に立ちたかった。それが最後でも、良かった。

「ザッケンナコラーッ!ニンジャネームも持たない小娘が!てめえを寄越したソウカイ・シンジケートを恨みながら死んでいけ!」重サイバネヤクザのキヨシは、目の前の少女に悪態をついた。ソウカイヤの反撃を受け、ブラッドカタナ・ヤクザクランの命運は風前の灯だ。だが、その中ではキヨシのいる事務所は、ニンジャを返り討ちにしたことでソンケイを保っていた。もう少し。もう少し耐え抜けば援軍が来る。それを、こんな小娘に……。「ゴールドレインボーマンバ=サン!この女も前みたいに、やっちまってください!」キヨシは、ニンジャに叫んだ。

 だが、ゴールドレインボーマンバは動かない。じっと、重症の女ニンジャを見据えている。「ゴールドレインボーマンバ=サン?」キヨシは訝しんだ。ゴールドレインボーマンバはキヨシを一瞥もせず、ようやく口を開く。

「アレクサ=サン。良いアイサツだった」キヨシは驚いた。そして、アレクサも。ゴールドレインボーマンバは続ける。「褒美に、我がニンジャソウルの全てを出し尽くして殺してやる」同時に、凄まじい殺意が全身から溢れ出た。「本気で来い。貴様も、ニンジャソウルの全てをかけて」

 アレクサは頷く。「わかった」ボロボロのヤクザスーツを脱ぎ捨てる。ブラウスを、下着を破り捨てる。小振りなバストが露わになる。彼女の背中には、クロスカタナと『キ・リ・ス・テ』のカタカナ紋のイレズミ。マーク・オブ・ソウカイヤ。ソウカイヤに入ったその日に、誰かに勧められて刻んだものだ。彼女の誇りだった。

 集中する。ニンジャソウルが、己に与えたものを具現化させる。自らが、別のなにかに変わっていく感覚に身を委ねる。「ヘンゲヨーカイ・ジツ!」ニンジャソウルが、ジツの名を叫ぶ。超自然の力が、彼女の肉体を変化させる。

「アイエエエエ!?」目の前の光景に、ニンジャに慣れているはずのキヨシは絶叫した。少女の姿は消えていた。代わりに、少女と同じく小柄な……人型の獣の姿があった。牙をむき出しにし、敵意に爛と輝く瞳。猟犬を思わせるそれが、アレクサのニンジャとしての真の姿だった。「フハハハハハハ!」ゴールドレインボーマンバは哄笑する。「それでいいぞ!アレクサ=サン!そうでなくては、殺す意味がない!」そして、カラテを構える。「我がコブラ・カラテとジツの前に、敵はない!」

「GAAAAAAッ!!」アレクサは咆哮で、それに応えた。イクサが始まった。

5.

「GAAAAッ!」「イヤーッ!」

 躍りかかる獣は、テッコのままの左腕を振りかざした。ゴールドレインボーマンバは拳でそれを迎撃する。体格は未だゴールドレインボーマンバが二回りは上だ。だが、獣には跳躍の高さと爪がある!

「GUUUUッ!」「グワーッ!」

 空中衝突した両者は、苦痛にあえぐ。だが、それも一瞬だった。着地した獣……アレクサは、右腕の爪を振るった。「GAAAAッ!」ジツの力で、肩の傷は全快している。「イヤーッ!」ゴールドレインボーマンバは、金色のブレーサーでそれをいなす。「イヤーッ!」間髪入れず、裏拳を叩き込む。「GAAAAッ!」アレクサは背面にバック転を繰り返して回避し、着地した。再び飛びかかるべく、脚に力を入れる。しかし……脚は動かない。「GUUUUッ!?」

「カナシバリ・ジツ!イヤーッ!」ゴールドレインボーマンバの両目が輝く!意思を奪うまでは至らずとも、アレクサは身体の自由を失った!「キヨシ=サン!イヤーッ!」「ハイ!死ねーッ!」ゴールドレインボーマンバはスリケンを投げ、キヨシはサイバネ腕を展開し、ライフル弾を放った。

「GAAAAッ!」アレクサは無理に筋肉を動かし、致命的な一撃を回避する!だが、それは敵ニンジャの狙い通りであった。「イヤーッ!」着地地点に再度のスリケンを投げる!「GUUUUッ!?」スリケンが獣の手足に突き刺さり、獣は苦痛に顔を歪める。無論、それで終わるゴールドレインボーマンバではない。大地を蹴り、カラテを振るうべく最接近した!「この程度か、アレクサ=サン!イヤーッ!」拳が迫る!アレクサは咆哮!「GAAAAッ!」右腕で拳を握り、殴りかかる!

「イヤーッ!」「GUUUUッ!」アレクサの拳を這うかのように、ゴールドレインボーマンバの拳が迫る!コブラ・カラテに伝わるクロスカウンターだ!アレクサはそれを……「GUUUUッ!」避けられない!否!「き、貴様!?」避けずに、顔面で迎撃する!そう、アレクサの頭部は、今は獣と化している!「GAAAAッ!」「グワーッ!?」歯を数本砕かれながらも、噛み付き、食いちぎる!「グワーッ!」右拳を食いちぎられ、ゴールドレインボーマンバは悲鳴をあげる!

「畜生女がーッ!」BLAM!BLAM!キヨシは銃弾を放つ!対ニンジャ弾丸は、ニンジャであっても直撃すれば死に至る!だが、アレクサは避けない!「GUUUUッ!」苦痛を耐える!先に殺すべきは、ゴールドレインボーマンバ!「GAAAAッ!」牙をむき出しにし、ニンジャに突撃する!しかし、それが仇となった!ゴールドレインボーマンバの、目が輝く!カナシバリ・ジツか!?アレクサは、先のカナシバリを学習している!突撃の速度は揺るぐまい!しかし!

「カトン・ジツ!イヤーッ!」ゴオオオウッ!突如、ゴールドレインボーマンバの目前に、超自然の炎が出現する!カトンの炎はアレクサを迎え撃つ!「GAAAAッ!?」アレクサは苦しみ藻掻く!これはいかなることか!?ゴールドレインボーマンバは、カナシバリとカトン、2つのジツを持っているのだ!……否!読者の皆さんにニンジャ第六感があれば、それを予測できたであろうか!「イヤーッ!」ゴールドレインボーマンバが宙に正拳を放つとともに、アレクサめがけてそれは放たれた!拳型のカラテ衝撃波……カラテミサイルだ!「GAAAAAッ!?」

 カラテミサイルが直撃したアレクサは、事務所の壁まで吹き飛ばされる。ゴールドレインボーマンバは、追撃のスリケンを放つ!「イヤーッ!」「GAAAAAッ!」アレクサは地に伏せ、なんとか回避!しかしこのままでは、ジリー・プアー(徐々に不利)だ!

 右腕を失った苦痛を無視し、ゴールドレインボーマンバは宣告する。「我が5つのジツと、コブラ・カラテは貴様を凌駕している」5つ!5つと言ったか!?彼のニンジャソウルは、それほど強力かつ規格外な代物だというのだろうか!?

 ゴールドレインボーマンバの目が、輝く。「だが、先の2人のニンジャよりは楽しめた。連中は、不利になると応援を頼もうとした。興が冷めた故、さっさと殺した」アレクサに迫るゴールドレインボーマンバの姿は、いつしか蛇頭の魔人と化していた。更に左腕を掲げる。その腕は、硬質化した刃となっていた。なんたることか!これはヘンゲヨーカイ・ジツとムテキ・ウェポン・ジツ!2つのジツの同時使用だ!「サラバだ。貴様のことは、記憶に留めておこう」

 迫る死を目にした、アレクサの視界が泥めいて鈍重となった。ソーマト・リコールが、彼女の人生を再生する。幼い頃の記憶。父と母の記憶。一度目の死。復讐。ソウカイヤ。

『誰かの役に立てる人になれ』

 父さんの言葉。父さんは、自分が信じるクランのために生きて、死んだ。あたしにとっては、ソウカイヤがそうだ。

『本当に困ったときは、よく考えて、大事なことを1つだけ信じなさい』

 母さんの言葉。大事なこと。なんだろう?何か、大切なことがあるはずだ。

『駄犬に化ける、ヘンゲヨーカイ・ジツか。珍しくもねえよ。いいか』

 あのとき、アイサツしてジツを見せたあたしに、ソンケイする人が教えてくれた。

『ノーカラテ、ノーニンジャ。ニンジャはカラテが全てだ。わかったか?エエッ?』

 カラテ。そうだ、カラテだ。一番大事なものは、それは。

 カラテだ!

「イヤーッ!」

 シャウトを絞り出し、アレクサは大地を蹴った。ヘンゲヨーカイ・ジツは解けていた。構うものか。ゴールドレインボーマンバに突撃する。蛇頭のニンジャの両目が光る。眼の前に炎が出現する。全身が重くなる。……本当に、そうか?

「イィィィ……」心を集中する。研ぎ澄ます。ただ、1つだけの事を考える。火の中を突っ切る。振るわれたムテキの左腕を……生身の右腕で受け止める。「グワーッ!?」ムテキのはずの腕が、弾かれる!「……ヤアアアアアアッッ!!」ニンジャの胸板の中央に、左腕のテッコを叩きつける!「グワーッ!?」

 衝撃で仰向けに倒れたゴールドレインボーマンバに、マウントの体勢で飛び乗る。「イヤーッ!」「グワーッ!」右拳をゴールドレインボーマンバの蛇頭に叩きつける!「イヤーッ!」「グワーッ!」左腕のテッコを、ゴールドレインボーマンバの蛇頭に叩きつける!

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 このままでは死ぬ。殴り続けられれば。だが、殴られながら、ゴールドレインボーマンバは勝機を探す。この小娘に、生半可なジツは通じない。ゴールドレインボーマンバの真のジツ……敵の脳を騙し、現実を歪め、自ら死に至らしめる、ヒュプノ・ジツ。ならば。

「イヤーッ!」「イヤーッ!」振りかぶった右腕を、左腕でガードする!左腕が完全にへし折れる!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」振りかぶったテッコを、右腕でガードする!手首から先がなくなった腕は、テッコの一撃で肩まで切断される!

 だが、アレクサの攻撃もまた、一瞬だが静止した。ゴールドレインボーマンバの瞳が輝く。この至近距離ならば……ヒュプノ・ジツを直接叩き込めば!「GAAAAAッ!!」

 その瞬間、ヘンゲヨーカイ・ジツによって獣と化したアレクサが、ゴールドレインボーマンバの喉笛に、首筋に牙を突き立てていた。「グ……ワ……ッ!」致命的一撃を受けながらも、ゴールドレインボーマンバはジツを発動する!「GUUUUッ!」最大出力のヒュプノ・ジツが獣の脳を焼く!「GAAAAAッ!」アレクサは牙に力を込める!ゴールドレインボーマンバが限界までジツを行使する!目から、鼻から血が流れる!獣もまた、目から、鼻から血を流す!

「GUUUUUAAAAAAAAAッッッ!!」

 脳髄を焼かれ尽くす刹那……獣はその牙で、ニンジャの首を完全に食いちぎった!

「サヨナラ!」

 ゴールドレインボーマンバは断末魔の声をあげ、爆発四散を遂げた!

6.

 ゴールドレインボーマンバが爆発四散し、獣は……アレクサは、ヘンゲヨーカイ・ジツを解くと、うつ伏せに突っ伏した。脳がジツで焼かれ、肉体の損傷も激しい。意識を完全に失い、最早動くことはできなかった。裸体を晒し、背中のソウカイヤ紋のイレズミが顕になっていた。

「ハーッ!ハァーッ!ゴールドレインボーマンバ=サンが……やられた!?」重サイバネヤクザのキヨシは、目の前の光景が信じられなかった。あの小娘が、ニンジャ2人を殺したニンジャを……殺したというのか?

「クソッ、だが……こいつはもう死に体だ。俺でも殺せる」つぶやくと、右腕のサイバネ腕を展開する。アサルトライフルが出現した。「こいつを殺して、首を持って、さっさと高跳びだ。俺はニンジャを殺したヤクザとして、名が上がる」そして、ライフルの銃口を向け……ようとし、気づいた。右腕が無い。「アイエ!?」

 悲鳴を上げ、左腕を見る。左腕も、無くなっていた。なくなった腕の痕の周辺に、奇妙な青い光が見えた。ゾッとしながら、後ろを振り向く。黒玉色の装束のそのニンジャは、キヨシから切断した腕を放り捨てると、冷酷にアイサツを行った。「ドーモ、ドミナントです」眼の前に立っているのは逃れられぬ死だと、キヨシは理解した。

エピローグ

「ムッハハハハ!シックスゲイツよ、見事だ!」トコロザワ・ピラー、謁見の間。帝王ラオモト・カンは上機嫌だった。ブラッドカタナ殲滅の依頼を果たされたヘルカーネージ・ヤクザクランはクランが払えるだけのカネや株券とともに、ソウカイヤとラオモトへの忠誠を改めて誓い、逆にブラッドカタナ・ヤクザクランは末端構成員に至るまで粛清された。ソウカイヤの恐ろしさは裏社会にいよいよもって知れ渡る。

「特にソニックブーム=サンは、俺様の予測よりも早く仕事をやってのけた!タイム・イズ・マネーをわかっておる!」立ち並ぶ幹部の列から進み出たソニックブームは、最敬礼のオジギで返す。「当然です。ソウカイヤをナメる奴らは、一刻も早く潰すに限ります」その言葉にラオモトは満足し、彼に莫大な褒美を授けた。「ムハハハハハ!今後も励めよ、俺様のために!」「ハイヨロコンデー!」

「ドーモ、ゲイトキーパー=サン」「ドーモ、ソニックブーム=サン」ラオモトが謁見の間を退出した後、ソニックブームはシックスゲイツ創始者にして名誉構成員、ソウカイヤの事実上のナンバー2である、ゲイトキーパーの元を訪れていた。「ドミナント=サンを貸していただき、感謝します」無論、カミサト・ストリートの一件のことだ。

「うむ、あれもイクサに飢えていたものでな」ゲイトキーパーは答える。ドミナントは、彼が極めて個人的な理由で育てていた『愛弟子』であった。しかしそれが無意味であることに、ゲイトキーパーは気付き始めていた。無論、そんなことはおくびにも出さない。「ニンジャと戦えずに悔しがっていたがね。もっとも、それは到着が遅れた自身の不手際だ。実際に戦った彼女を責めるのは筋違いであろうよ」

 アレクサ・サトが勝手にソニックブームの意を汲んで……というよりも、冗談を真に受けて出撃したあのとき。ソニックブームの最優先すべき行動は、アースクエイクが相棒ヒュージシュリケンを引き連れてカミサト・ストリートを強襲する前に、自ら事態を収拾することだった。アースクエイクの介入を許せば、ソニックブームの器量が疑われる。彼は悪名高いヘルカイトのように名誉欲が特別強いというわけではないが、だからといって能無しのように思われるのも我慢がならない。ヤクザはメンツが全てだ。

 故に、自身の動かせる最高戦力をもってカミサト・ストリートを制圧する必要があったわけだが……その前にテッポダマであるアレクサ・サトの回収を、全く考えないわけでもなかった。敵はニンジャ2人を殺す手練で、あの小娘はジツの他はモータルとさほど変わらぬ程度のサンシタだ。当然死ぬだろう。今回の件がなくとも、じきに借金を返せずに売り飛ばされる身であった。くだらない感傷のために、戦力を割く余裕など無い。

 しかしながら自ら送り込んだテッポダマの死体が辱められるのも、それはそれでヤクザとしては恥だ。可能ならば死体を回収し、位牌とともに弔ってやる必要がある。それがテッポダマを単身送り込むということだ。とはいえ繰り返すようだが、彼女のために戦力を割く余裕が今のソニックブームの手元には無かった。

 そこで思い至ったのが、ゲイトキーパーの秘蔵の弟子であるドミナントだった。近頃、ドミナントがラオモトに出撃を直訴するも、帝王の気紛れで却下されていたことを、ソニックブームは知っていた。彼の代わりに出撃した何某というニンジャは、無惨に死んだ。死神に遭ったと噂されていた。

 若いドミナントはイクサの場を、イサオシを求めている。だが、ゲイトキーパーの弟子という身故に、ラオモトやゲイトキーパー直々の命でなくては役不足ではないか?という風潮がソウカイヤ内部であったのは確かだ。ゲイトキーパーは前線を退いている以上、直々に作戦に関わることはほぼ無い。ラオモトには懐刀のダークニンジャが既に居る。その結果、ドミナントは宙に浮いた戦力となっていた。近頃のディセンション過剰なソウカイヤでニュービーをまとめ上げているソニックブームに、ソウカイヤを総括するゲイトキーパーはいくつか借りがある。互いの利益は一致した。それ故の、ドミナントの出撃だった。

「しかし、君の秘蔵っ子も、大したものじゃないか」結果だけを見ると、アレクサがカミサト・ストリートを単身制圧したことで、アースクエイクの出撃はキャンセル。そして、ソニックブームが招集した部隊は、他地域の対応に回された。そのため、殲滅作戦の進捗を大幅に早めることができたわけだが……。

「ご冗談を」ソニックブームは面白くもなさそうに応えた。無論ゲイトキーパーもソニックブームの状況は把握している。「ラオモト=サンからの報酬に、オンセン旅行があったな。せいぜい羽根を伸ばしてくるが良い」

「では、俺はこれで」「うむ……そうだ、最後に1ついいか、ソニックブーム=サン」執務室を去ろうとするソニックブームを、ゲイトキーパーは呼び止めた。「大したことではないのだがね。例の彼女、モータルネームで通しているのか?」言われて気づいた。アレクサはニンジャとしての名を持たない。

 ニンジャが名乗るきっかけは様々だが……アレクサのような例は、さほど珍しいというほどでもない。「ああ。未だに名乗っていないもので」ソニックブームは答える。「名付けてやってはどうだ」ゲイトキーパーは、彼には珍しく笑みをこぼした。「ソニックブーム=サンのネーミングセンスの苛烈さに、ボヤいているニンジャは多いと聞くぞ」

 ソニックブームは苦虫を噛み潰したような顔をする。「サンシタどもめ。ありがたいと思えばいいものを。……だが、そうですね」思案する。無邪気な小娘の顔。冗談のようなきっかけで送り込まれたテッポダマ。そんな彼女の予想外の大暴れに仕事を奪われたアンダーカード達は、若き精鋭ニンジャは、イサオシの邪魔をされたと不平をこぼしていた……。

サードウィーラー」「三番目の車輪。“邪魔者”か」ソニックブームは口角を歪めた。「あのガキには、ピッタリでしょう」

(「ザ・サード・カラテ・ウィッチ」終わり)

ニンジャ名鑑

◆忍◆
【サードウィーラー】
ソウカイヤ女性構成員のアレクサ・サトにニンジャソウルが憑依。
素直で無邪気な性格。組織やソンケイを抱く人物への忠誠心が強い。背中にソウカイヤ紋のイレズミを入れている。
テッコに置き換えた左腕と、獣人へ姿を変えるヘンゲヨーカイ・ジツで拙いカラテを補う。
◆殺◆