譲歩



終わりを迎えようとしている。
終末だ、世の終末だ。週末はもう終わったばかりだけど。そんな冗談を言えるくらいには余裕はあるのかもしれない。諦めているに過ぎないのだろうけど。

それは粛々と行われる催事のように。止まることなく淡々と、作業は行われていく。気分はしぶしぶ次の年を受け入れる年末の騒がしい時のようだ。仕方の無いことだからと微笑みを浮かべ、異論のある人間を抑えている。彼らもまた、流れる大衆には逆らえないから結局は従順にはなるのだけど。

こんな感情に陥るなんて可笑しいのかもしれない。そんなこと、もう何百回も考えた。「変わってるよね」は褒め言葉なクセして、変な自分は自分を苦しめている。大衆の一部に過ぎないことを一時忘れて悲観する。

まだ正確には変わらない世の中。しかし言語化され多くの人に視認されることによって、既に入り込んでいるのと同義だ。逆らえないのならば、自分に出来ることは何かを考えなければ。足を止めても、誰も共にはしてくれないのだから。

信号が青に変わる。行き交っていた車はピタリと決められたラインで止まって、じっと待っている。顔の無い人々は足を進める。暖かくなった空気を肌で感じる。俯いていた少年は、横断歩道の白い部分だけ歩いていく。これが少年なりの譲歩であった。

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