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オデニング

ここはオデンランド
とっても寒い国です。

山の奥深くにホテル『ODEN』がひっそりと佇んでいました。


このホテル、冬は休業しており、休業中の管理人を毎年雇っているのです。


今年はジャックにこるソンと妻(ウインナー)、息子(ダイコン)が管理人をすることになりました。



彼らはホテルに着くやいなや、おでんの気配を感じていました。


管理を始めて数日後、ダイコンは広い通路で卵を転がして遊んでいました。


ふと卵が転がった先に、扉が開いている部屋があるではありませんか。

部屋の番号は「0032号室」

部屋の様子が気になったダイコンは卵を拾い上げ、その部屋に入ろうとしました。

...


すると突然、おでんのだしが部屋から流れ出てきました。
それはもう、洪水のように...

ダイコンは恐怖を感じてぱっと目を瞑りました。その直後、全身が火傷するような痛みを感じ、もがき苦しみました。

しかし不思議なことに目を開けると、扉は閉まっており、床も濡れていませんでした。



その日からでした...

家族がおでんに悩まされるのは...



その日の夜、ウインナーは夕飯にミートソーススパゲッティを作りました。

ミートソーススパゲッティはジャックの大好物なのです。

ジャックが喜んでくれるだろうと、ウインナーは期待に胸を踊らせていました。

ウインナー「あなた、ミートソーススパゲッティを作ったわよ♪」

ジャック「ありがとう、早速いただくよ」


ぱくりっ...

ジャック「うわぁぁぁ!!ウインナー!!どういうことだ!?これはスパゲッティじゃなくて白滝じゃないか!!」

ウインナー「えっ?シラタキ?シラタキって何かしら?聞いたことないし、私はスパゲッティを茹でて作ったのよ?美味しくなかった?」

ジャック「...」

ジャック「シラタキってなんだろう?聞いたことがないな。でも何故かシラタキという言葉が思い浮かんできた...それに、良く見たらちゃんとミートソーススパゲッティだな。美味しいな。」

ウインナー「あなた、仕事のし過ぎで疲れてるんじゃない?今日はもう休んでください。」

ジャック「そうだな、今日は休むよ」

ウインナーはジャックが休めるようにと、別々の部屋で寝ることにしました。



深夜、ウインナーは謎のうめき声に目を覚ましました。

「ウインナー...おでんがたべたいよぉ...ちくわとちくわぶが...たべたいよぉ」

その声は扉の向こうから聞こえました。そう、ジャックのいる部屋からです。

「ウインナー...あけろ...ここをあけろぉ...」

ウインナーは恐怖で身動きひとつ取れませんでした。

そして...

ふと、まばたきして目を開けると...



なんと扉が巨大なはんぺんに変わってしまっていました。

はんぺんの向こうからは「クチャクチャ」と音が聞こえてきます。

きっと、ジャックがはんぺんを食べて、突き破ろうとしてるのです。



ウインナーは、混乱していました。

扉がはんぺんに変わってしまったこと

ジャックがはんぺんを食べてること

ジャックが『ちくわ』と『ちくわぶ』という謎の言葉を唱えていたこと



ウインナーはもう何も考えられなくなっていました。

ただただ、『おでん』という言葉が彼女の頭の中で響いていました。



そしてついに...

ジャックがはんぺんから顔を出したのです...


彼は言いました。




おわり

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