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【EDH】《オズワルド・フィドルベンダー》コンボルート考察

概要

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『フォーゴトン・レルム探訪』に収録された新ジェネラル《オズワルド・フィドルベンダー》について考察する。

妨害置物へのアクセスの良さから高い防御力を持つことは一見して明らかだが、攻撃に転じたときの性能に関しては諸説あるというのが現状だ。

本稿では多数存在するコンボルートの中から比較的実戦的と思われるものをピックアップして紹介する。

《玄武岩のモノリス》+《ブライトハースの指輪》

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統率者黎明期から存在する無限マナコンボ。両者手出しの場合8マナという始動コストの重さ、別途必要なフィニッシュ手段、パーツ単体性能の低さという三重苦から「強くないコンボ」の例示とされることも少なくない。

《オズワルド》とは奇跡的に噛み合っており本命コンボに昇格している。非コンボ時の《ブライトハース》に《オズワルド》の起動を倍加する仕事が与えられ、《オズワルド》を経由することで重すぎる始動コストが改善され、そしてフィニッシュ手段を《オズワルド》が探してくる。

《オズワルド》を3巡動かして無限マナとフィニッシュを揃えるという悠長が許されるはずもないため、揃えるためにはそれなりの工夫が必要である。具体的なルートは以下の項目に譲るとして、ここでは無限マナを発生させる手順だけを確認しておく。

total cost: 《玄武岩のモノリス》、《ブライトハースの指輪》、5マナ

1. 戦場に《玄武岩のモノリス》と《ブライトハースの指輪》を揃える
2. 《玄武岩のモノリス》のアンタップを起動 (cost: 3マナ)
3. 《ブライトハースの指輪》が誘発、2マナを払いアンタップをコピー (cost: 5マナ)
4. アンタップ(コピー)を解決
5.《玄武岩のモノリス》から3マナを生成 (manapool: 3マナ)
6. アンタップ(オリジナル)を解決
7.《玄武岩のモノリス》から3マナを生成 (manapool: 6マナ)
8. 1マナ浮いて2.に戻る


《ブライトハースの指輪》

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《ブライトハース》先置きパターン。

total cost: 《オズワルド》、《ブライトハース》、2マナAF、4W

1. 2マナアーティファクトを生贄に《オズワルド》起動 (cost: W)
2. 《ブライトハース》が誘発、2マナを払いコピー (cost: 2W)
3. 3マナの《玄武岩のモノリス》をサーチ
4. 《玄武岩のモノリス》からの3マナに2マナを加え無限マナ (cost: 4W)
5. 3マナのフィニッシュ手段をサーチ。《歯車組立工》等
6. フィニッシュ

フィニッシュ手段は他に《威圧の杖》(全部引いて適当に勝つ) 《千年霊薬》(オズワルドを起こして4マナのフィニッシュを持ってくる。白1マナ要求)などが考えらえる。

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実戦では《オズワルド》で《ブライトハース》を探したあと《教術師の石》などでアンタップして上記ルートに合流するなどの動きとなりがち。《ブライトハース》サーチ→《教術師の石》による《オズワルド》アンタップから入ると5WWの7マナ。それなりにマナがかかるが、2マナファクト1枚と《教術師の石》から仕掛けることが可能。

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《幻術師の篭手》

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《幻術師の篭手》は装備までが重いが、動き出せば速やかにゲームを決める力がある。

total cost: 《幻術師の篭手》を装備した《オズワルド》、1マナAF、WW

1. 1マナアーティファクトを生贄に《オズワルド》起動 (cost: W)
2. 《幻術師の篭手》でコピー
3. 《厳かなモノリス》と《教術師の石》をサーチ
4. 《厳かなモノリス》からマナを出し、《教術師の石》で《オズワルド》をアンタップ (cost: W, free 2)
5. 《厳かなモノリス》を生贄に《オズワルド》起動 (cost: WW, manapool: 2)
6. 《レイモスの歯》と《千年霊薬》をサーチ
7. 《レイモスの歯》からマナを出し、《千年霊薬》で《オズワルド》をアンタップ (cost: WW, manapool: 1WW)
8. 《千年霊薬》を生贄に《オズワルド》起動 (cost: WW, manapool: 1W)
9. 《ゴブリンの砲撃》と《前兆の時計》をサーチ
10.  《ゴブリンの砲撃》と《前兆の時計》をタップして《教術師の石》をアンタップ
11. 《教術師の石》で《オズワルド》をアンタップ (cost: WW, manapool: W)
12. 《教術師の石》を生贄に《オズワルド》起動 (cost: WW, manapool: 0)
13. 《玄武岩のモノリス》と《ブライトハースの指輪》をサーチ
14. 《玄武岩のモノリス》から3マナ出し、《ブライトハースの指輪》と《幻術師の篭手》をタップして《玄武岩のモノリス》アンタップ
15. 無限マナから《ゴブリンの砲撃》でフィニッシュ

《幻術師の篭手》手出しでフィニッシュまで行くには5WWが必要。《レイモスの歯》不採用なら追加で白1マナかアンタップ状態のAF2つの要求となる。《籠手》を先置きして一巡許される環境向け。または装備コストを踏み倒して最速を狙う構築などで出番が考えられる。

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《籠手》自体のサーチから入るルートも示しておく。《ブライトハース》ルートと比較して1マナ重い。

total cost: 《オズワルド》、1マナAF、2マナAF、《教術師の石》、6WW

1. 1マナアーティファクトを生贄に《オズワルド》起動 (cost: W)
2. 《幻術師の篭手》をサーチ、《オズワルド》に装備 (cost: 3W)
3. 《教術師の石》で《オズワルド》をアンタップ (cost: 4W)
4. 2マナAFを生贄、《レイモスの歯》と《千年霊薬》をサーチ (cost: 4WW)
5. 《レイモスの歯》からマナを出し、《千年霊薬》で《オズワルド》をアンタップ (cost: 5WW, manapool: WW)
6. 《千年霊薬》を生贄に《オズワルド》起動 (cost: 5WW, manapool: W)
7. 《ゴブリンの砲撃》と《前兆の時計》をサーチ
8. 《ゴブリンの砲撃》と《前兆の時計》をタップして《教術師の石》をアンタップ
9. 《教術師の石》で《オズワルド》をアンタップ (cost: 6WW, manapool: W)
10. 《教術師の石》を生贄に《オズワルド》起動 (cost: 6WW, manapool: 0)
11. 《玄武岩のモノリス》と《ブライトハースの指輪》をサーチ
12. 《玄武岩のモノリス》から3マナ出し、《ブライトハースの指輪》と《幻術師の篭手》をタップして《玄武岩のモノリス》アンタップ
13. 無限マナから《ゴブリンの砲撃》でフィニッシュ


《カルドーサの鍛冶場主》+AF6つ

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古のコンボ。AF6つは尋常でないコストだが、要求マナは非常に少ない。

total cost: 《カルドーサの鍛冶場主》、AFx6

1. 《カルドーサの鍛冶場主》を起動して《前兆の時計》をサーチ
2.  生贄用AFで《カルドーサの鍛冶場主》をアンタップ
3. 《カルドーサの鍛冶場主》を起動して《マイアの戦闘球》をサーチ
4. マイアトークンで《カルドーサの鍛冶場主》をアンタップ
5. マイアトークン3つで《カルドーサの鍛冶場主》を起動し《彫り込み鋼》をサーチ
6. 《彫り込み鋼》で《マイアの戦闘球》をコピー
7. マイアトークンで《カルドーサの鍛冶場主》をアンタップ
8. マイアトークン3つで《カルドーサの鍛冶場主》を起動し《玄武岩のモノリス》をサーチ
9. マイアトークンで《カルドーサの鍛冶場主》をアンタップ
10. 《玄武岩のモノリス》から3マナ出し、《マイアの戦闘球》と《彫り込み鋼》で《玄武岩のモノリス》をアンタップ
11. マイアトークン2つと《彫り込み鋼》で《カルドーサの鍛冶場主》を起動し《ブライトハースの指輪》をサーチ 
12. 無限マナ
13. 《前兆の時計》と《ブライトハースの指輪》で《カルドーサの鍛冶場主》をアンタップ
14. 任意3つ生贄で《カルドーサの鍛冶場主》を起動し《ゴブリンの砲撃》をサーチ
15. 無限マナから《ゴブリンの砲撃》でフィニッシュ

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実戦で決めるには速攻付与がほぼ不可欠。《千年霊薬》がベストパートナーで、速攻起動をサポートしつつ《オズワルド》を起こして5マナの《カルドーサの鍛冶場主》をサーチするのに役に立つ。《オズワルド》で3マナAFを生贄、《千年霊薬》でアンタップ、4マナAFを生贄、《カルドーサの鍛冶場主》サーチの手順で1WWでコンボ始動となる。

2マナAF、3マナAF、《通電式キー》から生贄用AFが足りていれば3WWWでルートに入ることができる。この類の亜種が多く、受け入れの広さが魅力。

total cost: 2マナAF、3マナAF、《通電式キー》、AFx5、3WWW

1. 《オズワルド》で2マナアーティファクトを生贄、《千年霊薬》サーチ (cost: W)
2. 《千年霊薬》で《オズワルド》をアンタップ (cost: 1W)
3. 《オズワルド》で3マナAFを生贄、4マナAFをサーチ (cost: 1WW)
4. 《通電式キー》で《千年霊薬》をアンタップ (cost: 2WW)
5. 《千年霊薬》で《オズワルド》をアンタップ (cost: 3WW)
6. 《オズワルド》で4マナAFを生贄、《カルドーサの鍛冶場主》をサーチ (cost: 3WWW)

難点は要求AFの多さと専用パーツをデッキに求めること。《前兆の時計》《彫り込み鋼》はまだしも《マイアの戦闘球》はかなり扱いに困る。

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《クラーク族の鉄工所》

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モダンBANの強力なアーティファクト生贄エンジンを利用したループギミック。派生は多数存在するが、比較的シンプルな形を説明する。

total cost: 《クラーク族の鉄工所》《屑鉄さらい》《マイアの回収者》《彩色の星》《魔力の墓所》

1. 戦場に《クラーク族の鉄工所》《屑鉄さらい》《マイアの回収者》《彩色の星》《魔力の墓所》を揃える
2. 《彩色の星》を起動。コストの支払いで《屑鉄さらい》《マイアの回収者》《魔力の墓所》を生贄にしながら計8マナを生む
3. 《屑鉄さらい》の誘発で《マイアの回収者》《彩色の星》《魔力の墓所》を手札に、《マイアの回収者》の誘発で《屑鉄さらい》を手札に回収
4. 6マナで全て唱える。1ドローと2マナ増えて1.に戻る

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《クラーク族の鉄工所》《屑鉄さらい》を揃えれば完全に揃わずとも不完全ループでガチャガチャして莫大なリソースを取れるのが強み。パーツをバラバラに引いても問題なく仕事をするのも良い。《クラーク族の鉄工所》は浮きがちなのだが、莫大なマナを要求する《ブライトハース》ルートを補助したり邪魔な拘束置物を自ら生贄にするなど最低限の出番はある。

概ねサブプランとして無理なく搭載できるのだが、《法の定め》や《安らかなる眠り》などとの相性は最悪。そちらを優先する場合は不採用のパターンもありうる。

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《祖神の使徒、テシャール》

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あなたが歴史的な呪文を唱えるたび、あなたの墓地からマナ総量が3以下のクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。(歴史的とは、アーティファクトと伝説と英雄譚(Saga)のことである。)

生物生贄エンジンがあるとたやすく無限ループを成立させる凄い鳥。《屑鉄さらい》や《マイアの回収者》などと《クラーク族の鉄工所》を揃えるのが分かりやすい。白単では《テシャール》へのアクセスが良くないが、鳥かクレリックを《英雄たちの送り火》に焼べると《テシャール》を呼べるため一考に値する。

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リソース要因として《テシャール》を採用するついでに搭載する価値のあるコンボルート。やはり《法の定め》や《安らかなる眠り》と相性が悪く、加えて《墓掘りの檻》まで当たってしまうのは懸念材料。

《神秘の炉》+《師範の占い独楽》

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山札の上からアーティファクトを唱える《神秘の炉》と自力で山札の上に帰る《師範の占い独楽》を組み合わせて1マナにつき1ドローするコンボ。《独楽》のコストを0にできれば無限ドローが成立する。

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《独楽》は先出ししておいても失うリスクが低いこと、コスト軽減カードは代替が多数あることが強み。速度に寄せた構築ならば主軸になる可能性が高い。初手《オズワルド》から2手目に《独楽》を探し、3手目にコスト軽減カード手出しから3マナAFを展開→《神秘の炉》サーチでフィニッシュというゲームプランを目指すことになる。

課題は自らのコスト増加置物や《法の定め》系統との食い合わせの悪さ。防御を重視する構築との噛み合いはあまり良くない。

最速を狙わず《神秘の炉》をリソースカードとして運用しサブプランに据えるパターンも考えられる。この場合コスト軽減カードは厳選して1~2枚の採用となるだろう。

《ドラニスの判事》+《姥の仮面》

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ドローを追放に置換して唱えることを禁じるソフトロック。各種リストにてそれなりの採用率だったためピックアップしておく。

設置時点の手札に干渉せず、《悪魔の教示者》《汚れた契約》《むかつき》など手札に直接加えるカードで脱獄されるので決めても案外勝たない。全員の攻め手が弱く脱獄もできないタイミングを狙い澄まして設置することが要求される。個人的にはあまりオススメではないが、手札読みに自信があるなら選択肢になる。

《ドラニスの判事》+《知識槽》

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前段の亜種。こちらはあらゆる呪文を完封する強固なロック。キャスト誘発やパーマネントの起動型能力など、限られた手段でしか脱獄できない。ロックが成立すれば自分だけ《知識槽》の12枚を使えるので概ね勝つ。

ネックとなるのは《知識槽》の6コスト。4コストを起点として《オズワルド》2回起動で持ってくるルートになるだろうか。《ドラニスの判事》もサーチが比較的難しいが、《英雄たちの送り火》に1マナの人間を焼べると調達できるので再現性はそれなり。

《太陽冠のヘリオッド》+《歩行バリスタ》

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アーティファクトで完結するコンボが圧倒的に揃えやすいことを実感する組み合わせ。マナ域が悪くとにかくサーチが困難。《護衛募集員》を《英雄たちの送り火》に焼べて《アカデミーの学長》を探し、サーチしておいた《トリスケリオン》で《アカデミーの学長》を撃ち落として《ヘリオッド》を見つけてフィニッシュ、のような流れが一番マシだろうか。すこぶるマナ効率が悪く、現状では採用理由がなさそうだ。

《催眠の宝珠》+《玄武岩のモノリス》

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無限セルフミル。山札を削りきって《セヴィンの再利用》フラッシュバックから何か2枚で勝つ。最も素朴に考えると《ブライトハースの指輪》《歯車組立工》の2枚になるだろうか。バサルトオーブを揃えた後、《セヴィンの再利用》4Wと《ブライトハース》分のコストで合計6Wが必要。

それほど悪くないが、《ブライトハース》からダイレクトに狙うルートと比べてメリットがない。墓地対策に脆弱でカウンターが当たるという欠点が目立つ。《催眠の宝珠》に仕事を与えられる構築ならば可能性がありそう。

《オーリオックの廃品回収者》+《ライオンの瞳のダイアモンド》

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無限マナ。《英雄たちの送り火》で《オーリオックの廃品回収者》は探せるが、《ライオンの瞳のダイアモンド》がサーチできず安定しない。

墓地から《ライオンの瞳のダイアモンド》を拾えるので、セルフミルのギミックを主体とする構築が成立するのであれば一考に値する。

まとめ

ガチャガチャするルートの始動要因と要求マナを並べてみる。

AF(1/2) +《オズワルド》+《通電式キー》(7WWW)
→AF(2) +《オズワルド》+《教術師の石》(5WW)
→《オズワルド》+《ブライトハースの指輪》+《教術師の石》(4W)

AF(1/1/2) +《オズワルド》+《通電式キー》(8WWW)
→AF(1/2) +《オズワルド》+《教術師の石》(6WW)
→AF(2) +《オズワルド》+《幻術師の篭手》(5W)

AF(2/3/x/x/x/x/x) +《オズワルド》+《通電式キー》(3WWW)
→AF(3/x/x/x/x/x/x)+《千年霊薬》+《オズワルド》(1WW)
→AF(x/x/x/x/x/x)+《千年霊薬》+《カルドーサの鍛冶場主》(0)
→AF(x/x/x)+《カルドーサの鍛冶場主》+《前兆の時計》

AF(2/3/3/x/x/x) +《オズワルド》(3WWWW)
→AF(3/3/x/x/x)+《千年霊薬》+《オズワルド》(2WWW)
→AF(3/x/x/x)+《千年霊薬》+《オズワルド》+《前兆の時計》(1WW)
→AF(x/x/x)+《カルドーサの鍛冶場主》+《前兆の時計》

AF(0/1/2)+《オズワルド》+《通電式キー》(4WWWWW)
→AF(0/2)+《オズワルド》+《教術師の石》(2WWWW)
→AF(0)+《オズワルド》+《屑鉄さらい》+《教術師の石》(1WWW)
→AF(0)+《オズワルド》+《屑鉄さらい》+《千年霊薬》(WW) 
→AF(0/1)+《オズワルド》+《クラーク族の鉄工所》+《屑鉄さらい》+《教術師の石》(W)
→AF(0)+《クラーク族の鉄工所》+《屑鉄さらい》+《マイアの回収者》+《彩色の星》

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《通電式キー》《教術師の石》などの重要度の低い布石から走り切るにはなかなか膨大なマナが必要となる。重要牌を一巡晒すことで必要なマナは大幅にカットできるとはいえ、基本的にはマナを伸ばしてロングランを決めにいく方針となりそうだ。

速度について。初手《オズワルド》から2ターン目に決まるコンボはなさそうで、最速でも《神秘の炉》絡みの3キルが基準になる。昨今のcEDHで3キルオールインでは遅すぎるので、妨害から入ることが前提となりそう。

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スピードはそれほどでもないがコンボへのアクセスが良く、カウンターや妨害置物に耐性のあるルートを選択できるのが強み。初動を抑えて睨み合いに持ち込み、機を見て決定力の高いコンボを叩き込んでいくスタイルが良さそうに思われる。具体的な構築は十分リストを固めてから紹介したい。

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