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【EDH】《エインジー・ファルケンラス》コンボルートメモ

概要

《エインジー・ファルケンラス》は強力なジェネラルだが取扱難易度が非常に高い。そのため、それなりに人気があるにも拘わらずマトモなデッキリストがほとんど存在していない。本稿ではコンボルートに関して知見を共有し、より強力なエインジー構築が生まれる一助としたい。

ジェネラル 《エインジー・ファルケンラス》

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C19収録のマッドネスをフィーチャーした吸血鬼。マッドネスを持つカードを捨てることでアンタップするという唯一無二の能力を持つ。

デッキリスト

現在のリストはこちら
https://www.moxfield.com/decks/Kt7kDpibUUKge6wqoR_Vnw

勝利手段

途中経過を省くと最終的な勝利手段は以下の3つ

1. X=十分大の《アヴァシンの裁き》マッドネスキャスト
2. 《無限に廻るもの、ウラモグ》を使用する任意呪文の任意回数キャスト
3. 他家の《タッサの神託者》+《Demonic Consultation》or《汚れた契約》

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より効率的にこれらに到達するため複数のルートを用意する。

《世界喰らいのドラゴン》

古式ゆかしい無限コンボ。《世界喰らいのドラゴン》を《動く死体》か《Necromancy》で戦場に戻すことで無限マナが発生する。

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念のため手順を明示しておく。

コスト:1or 21. 《動く死体》or《ネクロマンシー》を戦場に出す。
2. 《動く死体》or《ネクロマンシー》のEtBで《世界喰らいのドラゴン》を戦場に出す。
3. 《世界喰らいのドラゴン》のEtBで自分のパーマネントを全て追放。
4. 《動く死体》or《ネクロマンシー》が戦場を離れたので《世界喰らいのドラゴン》生贄にする。
5. 《世界喰らいのドラゴン》が戦場を離れたので自分のパーマネントが全て戻る。
6.  2.に戻る。

5.で戻ってくるパーマネントはアンタップ状態になるので、土地から無限にマナが出せるし《エインジー》が居れば無限にルーター能力を起動できる。最終的に《アヴァシンの裁き》X=120か《無限に廻るもの、ウラモグ》でライブラリを修復して《癇しゃく》等を任意回数放って勝利する。

《エインジー》は《世界喰らいのドラゴン》と相性が良いジェネラルとして知られている。起動能力で《世界喰らいのドラゴン》を墓地に送れ、無限起動により真の勝ち筋にアクセスでき、マッドネスカードを用いてデッキスロットを圧迫せずに真の勝ち筋を搭載できるためである。

《世界喰らいのドラゴン》のリスクが最大の欠点。EtBに対応して《世界喰らいのドラゴン》が戦場を離れると全てのパーマネントを失うこととなる。  失敗したとき全てを失うのは《Demonic Consultation》も同じだが、こちらはあらゆる単体除去に対して脆弱であるためリスクは比べものにならない。※《動く死体》or《ネクロマンシー》への対処もアウト。バウンスもダメ。

《ネクロマンシー》を使用することでインスタントタイミング3マナの即死を仕掛けられるのが最大の強み。《閃光》亡き今、インスタントタイミングの軽い即死は貴重品である。リスクを把握して上手く使っていきたい。

《ネクロポーテンス》

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古代より伝わるドローソース。《吸血の教示者》受けで3点残して全力起動し、クリンナップ中の勝利を目指す。マッドネスとの相互作用が多少ややこしいので説明しておく。

1. マッドネス持ちのカードを捨てる。マッドネス(常在)により追放に置換。
2. マッドネスと《ネクロポーテンス》の誘発が同時にスタックに乗る。任意の順で解決する。
3-a. マッドネス(誘発)から解決し、呪文を唱えることを選択。解決後、墓地に置かれる。
3-b. マッドネス(誘発)から解決し、墓地に置くことを選択。《ネクロポーテンス》により追放。
3-c. 《ネクロポーテンス》の誘発から解決。カードが既に追放領域にあるため何もしない。
3-c-1. マッドネス(誘発)を解決し、呪文を唱えることを選択。解決後、墓地に置かれる。
3-c-2. マッドネス(誘発)を解決し、墓地に置くことを選択。墓地に置かれる。

結論から言うと、マッドネス持ちのカードは《ネクロポーテンス》で追放するか墓地に置くかを選択可能である。《浅すぎる墓穴》の邪魔にならないようにマッドネス生物を追放する、《葬送の影》で拾うために墓地に置く、どちらも適正だ。

具体的にどのように勝つか説明する。《ネクロポーテンス》を置いて黒1マナ以上を確保して仕掛ける。

コスト: ライフほぼ全て、黒黒黒黒

1.  《ネクロポーテンス》を起動する。ライフを3点残して全力が定石。
2.  終了ステップに遅延誘発を解決。手札が30枚ほど増える。
3.  《エインジー》で終了ステップ中にマッドネスカードを捨てて掘り進む。
4.  終了ステップ中に《骨たかりの守銭奴》を《浅すぎる墓穴》か《Necromancy》で釣り上げる。
    必要ならインスタントマナ加速を使用する。
    ※《Burnt Offering》で《エインジー》を生贄にしても決まるので必要ならやる。
5.  クリンナップに移行。大量にディスカードし、《骨たかりの守銭奴》が誘発。
    インスタント《ネクロマンシー》の自壊、非マッドネスカードの追放をスタックに積み、
    《エインジー》アンタップ(複数回)、《骨たかりの守銭奴》(ドロー)、
    《ウラモグ》、 マッドネス(誘発)、マッドネスカードの追放、
    《骨たかりの守銭奴》(ゾンビ)、《骨たかりの守銭奴》(マナ)の順に積む。
    ※《エインジー》がタップ状態ならスタックの一番上にアンタップを1回積む。
6.  《骨たかりの守銭奴》(マナ)、《骨たかりの守銭奴》(ゾンビ)、
    マッドネスカードの追放(不発)、マッドネス(誘発)まで解決。マッドネスを墓地に置く。
7.  ナチュラルディスカードできていなかった場合、ここで《ウラモグ》を墓地に置く。
8.  《ウラモグ》誘発にスタックして《葬送の影》で大量回収。
9.  ライブラリが修復される。
10. 《骨たかりの守銭奴》(ドロー)を解決。
    《エインジー》アンタップを解決しながら可能な限り掘り進む。
11. 余っているマナでサーチして《ウラモグ》《葬送の影》を確保しておく。
    余力がある場合ここで《血管の施し》(3点ドレイン)をマッドネスで唱える。
12. 《ネクロマンシー》が自壊する場合、《浅すぎる墓穴》で《骨たかりの守銭奴》を釣り直す。
13. 5.に戻る

引きによっては二度目のクリンナップを待たずとも《ウラモグ》ディスカードにスタックして二度目の《葬送の影》でループが繋がることだろう。その場合、《エインジー》のアンタップは《滑る胆液》のサイクリングが担当。マナは《忌むべき者の歌》で補充する。

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↑良く分からないマッドネスが妙に活躍するのがチャームポイント

ループコンボを説明したが《世界喰らいのドラゴン》や《タッサの神託者》に《ネクロマンシー》を合わせるという選択肢も存在する。状況に合わせて適切な勝ち筋を選択したい。

《エインジー》なしのときの成功率はあまり高くないので、実質ジェネラル+1枚コンボと評価して良いだろう。仕掛けは黒黒黒黒の4マナ。ライフや余剰マナがあればあるほど成功率が上がるが、ペイ30ライフ余剰黒のみで妨害なしのとき成功率9割弱というのが大雑把な目安になる。

《穢れた血、ラザケシュ》

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脱法サーチデーモン。生贄用の生物の数でパワーが変動する。メインフェイズに釣り上げると生贄《エインジー》1体で始動して完走する。

ライフとマナと《波止場の恐喝者》の宝物量で取りうるルートが違ってくる。ここでは消費1赤黒の3マナと27ライフで仕掛けるルートを紹介する。手札に《ラザケシュ》《再活性》を揃えて《エインジー》をコントロールしているところからスタート。墓地コストが4枚必要。《波止場の恐喝者》の宝物は3。

コスト: 27ライフ、1赤黒、墓地4

1.《エインジー》で《ラザケシュ》を捨てる。
2.《再活性》で《ラザケシュ》を釣る。(消費マナ:黒、消費ライフ: 8)
3.《ラザケシュ》で《エインジー》を生贄。サーチは《波止場の恐喝者》。
  《エインジー》は墓地に置く。(消費マナ: 黒、消費ライフ: 10)
4.《波止場の恐喝者》を唱える。(消費マナ: 1赤黒) (宝物: 3)
5.《波止場の恐喝者》を生贄。サーチは《動く死体》(消費ライフ: 12)
6.《動く死体》で《波止場の恐喝者》を釣る。(宝物: 4)
7.《波止場の恐喝者》を生贄。サーチは《浅すぎる墓穴》。(消費ライフ: 14)
8.《浅すぎる墓穴》で《波止場の恐喝者》を釣る。(宝物: 5)
9.《波止場の恐喝者》を生贄。サーチは《死の国からの脱出》。(消費ライフ: 16)
10.《死の国からの脱出》を唱える。(宝物: 3)
11.《再活性》を脱出して《波止場の恐喝者》を釣る。(消費ライフ: 18) (宝物: 5)
    コストは《浅すぎる墓穴》《動く死体》他1枚 (墓地消費: 1)
12.《再活性》を脱出して《エインジー》を釣る。(消費ライフ: 21) (宝物: 4) (墓地消費: 4)
13.《波止場の恐喝者》を生贄。サーチは《墓を掻き回すもの》。(消費ライフ: 23) (宝物: 4) 
14.《墓を掻き回すもの》をマッドネスで唱える。《波止場の恐喝者》を回収。(宝物: 2)
15.《波止場の恐喝者》を唱える。(宝物: 3)
16.《墓を掻き回すもの》を生贄。サーチは《世界喰らいのドラゴン》。(消費ライフ: 25)
17.《波止場の恐喝者》を生贄。サーチは《ネクロマンシー》。(消費ライフ: 27)
18.《エインジー》で《世界喰らいのドラゴン》を捨てる。
19.《ネクロマンシー》で《世界喰らいのドラゴン》を釣る。(宝物: 0)

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手順が長いが《波止場の恐喝者》を酷使してマナと墓地を確保し《死の国からの脱出》に繋げて適当に勝利する。宝物4出るとき墓地コスト0から始動できる、ライフを追加消費して途中で妨害を拾う、より安全なフィニッシュに繋ぐ等、とにかく派生が多い。

《ネクロポーテンス》からの仕掛けで《ラザケシュ》を釣り上げて完走が確定するケースもある。《忌むべき者の歌》→《床下から》でライフと生贄を同時に確保して、マナとライフと生物をいい感じに管理してループする。  無駄に難易度が高いが、すぐ確定ループになるので時短にはなる。

インスタントタイミングで釣り上げて《世界喰らいのドラゴン》コンボを揃え、相手のコンボの上から勝つことも狙える。このとき《ラザケシュ》を釣るのに《ネクロマンシー》を使うと少し困る。比較的スマートに解決する例を紹介しておく。

コスト: 生贄3、6ライフ、1黒黒黒

1. 《Burnt Offering》《浅すぎる墓穴》《納墓》をサーチ。
2. 《納墓》で《世界喰らいのドラゴン》を墓地に置く。
3. 《浅すぎる墓穴》で《世界喰らいのドラゴン》を釣る。
4. 《世界喰らいのドラゴン》のEtBを解決。自分のパーマネントが全て追放。
5. 《Burnt Offering》で《世界喰らいのドラゴン》を生贄。
6. 《世界喰らいのドラゴン》の死亡誘発で自分のパーマネントが全て戻ってくる。
7. 《ネクロマンシー》のEtBで《世界喰らいのドラゴン》を釣る。以降いつものループ。

《死の国からの脱出》

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レガシーBANのパワーカード。《エインジー》はライブラリトップへのアクセスが良く、脱出コストに困りにくいので《死の国からの脱出》との相性は抜群に良い。《吸血の教示者》の連打から即勝ちに繋がるジェネラルはそう多くはない。

このパワーカードは《ラザケシュ》コンボでも補佐として活躍するが、《脱出》単体でもコンボを形成する。チューターを2度撃ってマナ加速を確保しながら《ネクロポーテンス》に繋ぐパターンが頻出。誘発をうまく積むと《死の国からの脱出》が自壊する前に《ネクロポーテンス》で手札が増える。こうなれば《葬送の影》とマナ加速を交互に脱出するだけで山札を掘りつくすことが可能となる。

直接《ネクロポーテンス》をサーチするより完走しやすい、墓地を使って止まりにくい仕掛けができる、黒黒黒黒出ない状況から仕掛けられるというメリットがあり、終盤引いたサーチ先候補第一位となっている。

《タッサの神託者》

最後の手段、他力本願。最強の敵を最高の味方に変えて勝ちに行く。

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なんらかの要因で墓地に置かれた《タッサの神託者》を釣り上げて《Demonic Consultation》or《汚れた契約》を合わせるケースはそれなりに発生する。勝ち筋の一つに挙げるくらいには。

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《敵対工作員》で奪うパターンもある。《対称な対応》との2枚コンボを狙うと4黒黒黒の7マナ仕掛けになる。分割払い可能。

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ジェネラルに依存しない勝ちパターンを一つ確保しておくことでデッキ強度が担保される。黒いデッキの権利として遠慮なく嗜んでおきたい。

まとめ

《エインジー・ファルケンラス》は墓地を利用して複数ルートのコンパクトな即死を仕掛けることが可能なジェネラルである。2~4マナの1~2枚コンボを複数搭載しているので、二重三重に仕掛けることが可能となっている。非常に難解なルートが複数あり、一見して仕掛けが成立しているか分かりにくいことが多々ある。複雑怪奇なこのジェネラルを理解する一助となれば幸いである。

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