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「I want to stand on the court」§1

戦場に立つには、資格がいる。
実力であったり。
人望であったり。
そのまま、合格通知であったり。

資格の無い奴が、いくら騒いだところで。
戦場に立つことはできない。

自分が、世界に嫌われるのは慣れていた。
世の中は、バカばかりだから。
それでも、受け入れてくれる大好きな人がいるから大丈夫だった。

だけど、世界から、お前には力が足りないと突きつけられたのは、初めてだった。

司法試験の前段階、予備試験の合格発表。
私の名前は、どこにもなかった。

※※※

「お疲れ、栗原」
「…ソータ、ごめん」
「何がだよ」
「予備試験、落ちた」

「…そんなこともあるだろ。まずはロースクールに行けばいいんじゃないか?順序よくだ、焦ること無い。栗原なら、そっちは行けるだろ?」
「…バカにすんな」
「してねーよ」
「してる」

「……」
「……本番ですら、ねーんだぞ」
「そうだな」
「本番に受かるだけじゃダメだ。検察になるんだ、上位で名簿に乗らないと。裁判官並みの成績で受かってやらないと、妥協臭くてバカらしい。なのに、こんなとこで。 何やってんだよ、私」

「……なら、さ」
ソータは、最低なことを言った。

「今のうちに落ちて、正解だよ」

お前は。
お前はそんな風に、思ってたのか。
私を信じてくれてたんじゃ、応援してくれてたんじゃなかったのか。

何を叫んだか、よく覚えていない。
だけど、私でもひどいと思うくらいのことを言ったと思う。

ソータは、何も言い返さず。
だけど、決してあやまらなかった。

悔しくて、逃げた。
こんな気持ちになったのは、初めてだった。


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