「きこえ」♪︎1
※※※
オーケストラ。
一度、ホールで聴いてみたいな。
そんなの、聴きに行けば良いだろ。
音と、人がね。
そっか。
悪かったなんて、言わないでね。
言うわけねーだろ。俺の猫背みたいなもんだ、お前の変な感覚なんか。
あんたは普段から姿勢良くすれば良いでしょ。
いちいち前のめりすぎんのよ。
それもそうか。
ま、早く運転が上手い彼氏とか作れ。
それまでは、俺のバイクにでも乗せてやる。
ありがと。
※※※
…アイツ、普通あそこからときめく流れのハズなのに、友達誰にでも同じようなことをしてるもんだから呆れてすぐに冷めてしまった。
そんなだから、ずっと彼女もできないんだ。
もう少し、特別扱いを覚えろ。
人が見る景色は、脳が補正して見せているらしい。
聞く音も、そうだ。
だから。
あの雨の日の、体育館から。
私に見えるようになった景色は、
私に聞こえるようになった音は。
私にとって、正しいのだ。
私は、人のお話が好き。
あれから一度に、たくさんのお話を聞くことができなくなった分。
目の前のお話に、ちゃんと向き合える。
私は、かつて友達に救われた。
不器用な彼の繊細な絵と、幼い彼の雑な優しさに。
どんなに、弱い人だって。
どんなに、迷惑な奴だって。
幸せになりたくない人など、いないはずだ。
不幸になるべき人など、いないはずだ。
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