おひめさまには内緒の話 (『神様と11人の私』 裏話)
これはたぶん、あの時の彼女の恋の裏側の話。
神様なんて出てこない、私の話。
彼女の話を、先に見てあげて。
現実はちょっと、つまらないから。
彼女のことが、分からない。
それでも、なぜか放っておけない。
そういうところが、本当にずるい。
まるで当然のように、私が見られない世界を見ている彼女は、いつかどこか遠くにふらっと行ってしまいそうだった。
それが危なっかしかったし、同時にいつか知らないところに、ふらっと連れていってもらえる気がした。
私だって大人じゃ無いんだ。
ファンタジーを望んだって、良いじゃないか。
だけど結局、私には何も分からない。
私には分からないまま、何かが始まって終わった。
それがなんというか、とても腹立たしい。
せめてもの意趣返しだ。
彼女が嫌いな呼び方で、嫌いじゃない彼女の話をしよう。
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