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「貼る毛利氏」自句独語 01

川柳EXPO 2024』 文学フリマ東京 ご出店おめでとうございます。

私の連作も148、149ページに載っていますが、今のところ余り話題にはなっていません。
仕方がないので自分で書こうと思います。
ファンタスティック!
マーベラス!
エクセレント!

自演乙

さてこれから自句の制作過程について、たらたらと書いてゆきますが、文芸論的なことは多分書けません。
日頃から「貴様、文芸を愚弄するか!」と叫びがちであるという方は、そっ閉じでお願いします。

では始めます。

『川柳EXPO 2024』の第一報が 2023/12/01 にありました。
それによると募集期間は 2024/01/01 ~ 2024/02/01 とのこと。
「短けえな、おい」が最初に出た言葉です。
前回の『川柳EXPO』募集期間が 2023/06/01~2023/06/30 、販売開始が 2023/08/10 でしたから、今年もそのくらいだろうと勝手に思い込んでいたのです。

「よし時短で行こう!」
アイタタタ、だから文芸愛好家の人ゴメンて言ってるでしょ。

川柳には「題詠」「イメージ吟」という方法論がありまして、音楽を聴いて句を書く試みも勿論あります。
そのフレームを、時短のために使おう、ということです。

私の句を、森羅万象の中から十七音分だけ表に出して他をすべて省略したもの、だと仮定してみます。
そうすると、フォーレのピアノ曲だって、森羅万象の中から1分30秒分だけ切り取って、他をすべて省略したものだとも言えそうです。
であれば、切り取られた世界は、世界そのものより情報量が少ないものとして扱うことが可能なのではないか。
仮に情報量が少ないとすれば、処理時間も短くて済むかもしれません。
それを今回の連作で試してみよう、という感じでしょうか。

他人の褌で相撲を取っている」と言われれば、まあ、そうかもしれませんが、歴史に例がない訳ではありません。
ベートーヴェン の ピアノソナタ 第14番を「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟」などと勝手にインスパイアした詩人、ルートヴィヒ・レルシュタープ然り。
音楽の側からも、モーリス・ラヴェルはルイ・ベルトランの詩をもとに「夜のガスパール」を作曲しました。

あ、脇道にそれますが、もうお判りでしょう。
連作タイトル「貼る毛利氏」はモーリス・ラヴェルのことです。
ああ、皆さんの声が聞こえます。
ダジャレやないか
「Ravel と Label 、ごっちゃになっとるやないか」
失敬な!親しみやすさと言っていただきたいものです。

この おふざけ は、作中にも及んでいます。
3句目に出てくる「惚れ」の語に、ガブリエル・フォーレ
8句目「蔵人」に、クロード・ドビュッシー
10句目「佐知恵」に、エリック・サティ(Satie)、
15句目「ならべる」にラヴェルが練り込まれています。

ああ、先輩方から「川柳はナゾナゾちゃうねんぞ」の声が。
いや、あの、これはですね、昔、吉田聡の『湘南爆走族』に、つげ義春の『ねじ式』が隠されていたりですね・・・
ジュゼッペ・アルチンボルドの描く顔が、野菜だったりですね・・・
まあ、あの、やるなといわれればやりたくなるお年頃てことでご勘弁を。

話がそれました。音楽を聴いて句を書く、ということでした。
では、どんな音楽を聴くのか。
延いては、どんな連作を書くのか。

ヒントになったのは、まつりぺきんさんの note 『川柳EXPO 2024』のお知らせ の中にあった、まつぺきさんに向けて言われたという「コップの中の嵐でしょ?」でした。
だってもう、控えめに言って「ナニコラ!タココラ!」じゃないですか。

20句の連作を無審査で、各々の責任において書くという企画は、投稿者にとって本当に有難いことです。
一方で門外漢からすれば、喰らわっしゃいとばかりの句が連なっているだけでは、取っ付き難く、買って読もうとまではしないかもしれません。(まつりぺきんさんは、やはりというべきか今作で特集を充実させ、イメージ・キャラクターを据えるなど、より身近に感じられるよう腐心なさっています)

おそらく今回もギュインギュインな力作が集まるはずです。
そんな中、私までギュインギュインな句を書いたとしたら、
ギュインギュインな連作が1つ増えただけで、私が参加してもしなくても、たいして変わらないでしょう。
そうであれば、諸先輩方から「こんなの川柳じゃねえ」と言われたとしても、私はコップ氏(仮称)の批判に私なりに応えたい、と思いました。

をい!見てるか、コップ氏!
この連作が私からのプレゼントだ、読んでみたまえ!
いえ、どんな人か、まったく存じあげないんですけどね。

少し熱くなってしまいました。
コップの外の人に読んでもらうために、私ならどんな連作を書くか、そのためにどんな音楽を聴くのか、でした。

てことで選曲の基準を以下のように定めました。

シンプルで ー ピアノ独奏曲
親しみやすく ー 有名作曲家のキャッチ―な曲
         (演奏はクール派よりもウォーム派)
現代的な ー 現代のルーツを想像させる曲
       新しすぎる曲は、より好き嫌いで聴かれてしまうだろう

そして、選曲をする中で、連作の骨子を固めていきます。
どの曲を選んだかはコチラをご覧ください。
https://note.com/r_trt/n/nce63cdeab029

条件に合うものが、フランス近代音楽のピアノ独奏曲だった訳です。
キチンと聴いたのは、今回が初めてでした。

※「貼る毛利氏」自句独語 02 は、明日、公開予定です。
是非、ご覧ください。


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