『強い者は生き残れない』 吉村仁

ダーウィンの進化理論とそれ以降の総合学説によると環境が生物の発展を選択するのであるが、その環境は常に変化する。それゆえ、ある時期にある生物が生存的に最適であったとしても環境の変化によって絶滅してしまうことがあった。では進化についてどう考えるべきか?本書では、従来の理論に補強するかたちで新たな仮説、環境変動説を提案している。この理論は、従来ではあまり考えられてなかった環境の変動のもとでどのように進化が起こるかを説明するものである。それによると変動してしまう環境を変えるか、それから独立するようになる、あるいは共生、協力するように進化する。最後の節ではその理論に基づいて現代の経済学批判まで行われている。

新たな知見  →  ダーウィンの自然選択理論を一言で言うと、生物の各個体には形質のばらつきがあり、それにより生存率が変化する。また、その形質は遺伝することがある。このような理論において進化を考えると、環境が大きく変化するときには自然選択が強くはたらく。同時に進化も促される。

環境変動説によると、サルがヒトに進化した理由は、環境が変化して仕方なく地上に降りて主として洞窟を住処にして暮らした、つまり自らで環境からの影響を減らすように巣を作ったのが理由ではないかという。

病原菌も共生する。感染すると必ず死ぬような病原菌は宿主ともども絶滅してしまって進化できない。したがって感染しても病原性の弱いものが生き残る。

考えたこと  →  環境が大きく変わると強い者でも絶滅してしまう。これはビジネスの世界でも一緒だ。GAFAが強すぎていずれ世界征服するのではないかと思っている人もいるかもしれない(いない)。しかし環境が大きく変わればもはや強い者ではなくなるから、そこが狙い目だ!

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