『欲望の資本主義3』 丸山俊一 (前半)

本書は『欲望の資本主義2』の続編である。まだ前半しか読んでないので前半について。

ギャロウェイはGAFAは解体すべきだと説く。なぜならこれまで非常に大きくなった企業は解体されてきた。財閥解体のように。GAFAへの対抗策として興味深い戦略は中国が行なったという。それは巨大IT企業の知的財産を盗み、真似して中国国内での利益を確保したことだった。これは明らかな違法行為のようであるが、GAFAもそうであったという。うーん、たしかにそうかもしれないな、、、。

ホスキンソンはブロックチェーンにより理想的な資本主義が完成し、フェアなトレードが可能になるという。(p.76では資本主義と民主主義がごっちゃになっている気がする。)ところでブロックチェーンの計算の困難さがその信頼性を担保しているが、効率が悪いという批判はどう考えているのだろう?技術の問題とは思えないからそこは割り切るか、誰も思いつかなかったアイデアひとつで解決するか?

ティロールは、市場はまあまあよく機能しているからもっとよくするために適切な規制をしようと考えている。もっとも現実的な考えだ。

新たな知見  →  巨大企業による新興企業の買収について。新興企業が新規株式公開すると市場によってその価値が予想される。しかし、巨大企業が買収するときは企業同士の交渉で決まってしまう。その場合、新興企業は株式公開よりも多くの利益を得るし、巨大企業は競合を回避することができる。結局、不利益を被るのは消費者になってしまう。これは問題である。

疑問  →  市場は明らかに国際的なのに行政はそれほど国際的ではない。国際協力が得られない場合、国際的な市場に適切な規制はできるのか??


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