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火山による災害への備え(想定される災害と個人の備え、企業の備え)

日本時間の令和4年1月15日13時過ぎにポリネシアのトンガ王国付近の海底火山フンガトンガ・フンガハアパイで大規模な噴火が発生しました。気象衛星による画像では噴煙が大きく広がる様子が観測され、その範囲は北海道の面積に相当するとの報道もされました。1000年に一度の規模と推測する学者もいます。
噴火の衝撃は8,000km以上離れた日本にも影響をおよぼし、気圧の変化や津波のような潮位上昇を引き起こしました。
現在、いろいろなところでトンガ支援のための寄付や基金が立ち上げられています。長野県の御代田町ではふるさと納税の使い道として「トンガ王国の復興に向け寄付」を選択できるようになっています。
トンガと日本の関係は良好で多くのトンガ出身のラグビー選手が日本で活躍しているのはよく知られています。
そしてトンガは東日本大震災でもせいいっぱいの支援を行ってくれた国です。復興のために力になれることがあれば協力したいと思います。

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出典:外務省 在トンガ日本大使館HP 

火山による災害は対岸の話ではありません。私たちも日ごろから万一の場合に備えた準備が必要でしょう。
私が住む首都圏でも火山の噴火による被災が起こりえます。身近な山では富士山の噴火による被害が想定されています。
1707年の宝永噴火では、当時の江戸でも降灰による被害がありました。記録では昼間から薄暗くなり、5cmから10㎝の火山灰が降り積もりました。市民の多くが降灰による呼吸器疾患に悩まされたとのことです。噴火は2週間ほど続きました。

宝永噴火と同様の噴火が現在起こり、当時と同じような風向きの場合、東京都と神奈川県の全域、埼玉県や千葉県、茨城県へも降灰の影響が及ぶと考えられています。
東京の湾岸部では8cmから4cm、北部でも1cmから0.5cmの降灰の可能性があると予想されています。

それでは、どのような被害が起こり、どのような対策が必要になるでしょうか。
1.想定される被害
2.家庭での備え
3.企業などでの備え

火山灰が積もることにより、まず影響が予想されるのが交通網です。道路や線路に降り積もった火山灰は交通に混乱をもたらすでしょう。
鉄道は線路上に微量の火山灰が積もっただけでもポイント切り替え機などへ付着した灰により不具合を起こす可能性があります。JR東日本では降灰対策としてレールに積もった火山灰を取り除く機器を導入しているとのことですが、機器のすき間に入り込む微粒子を防ぐことは困難です。
飛行機にとって火山灰は大敵です。ほんのわずかな降灰でも空港が閉鎖されることがありますし、飛行機のエンジンが火山灰の影響で止まってしまうアクシデントは広く知られているところです。
道路も10cm以上灰が積もると四輪車でも通行が不可能になります。雨が降ればもっと少ない火山灰でも通行できなくなります。通行が可能な範囲でも通行できるスピードは落ち、かなりのノロノロ運転になるかもしれません。
富士山近隣の静岡県は鉄道の東海道線や東名高速道路、国道一号線が通っており、降灰や溶岩流などの影響がなかった場合でも渋滞による混乱が生じることが予想されます。山梨県側も影響を受けるでしょう。

交通網が混乱すると、首都圏への物流も影響を受けるでしょう。荷物が届かなくなり先行きが不安になると、買い占めが起こる可能性もあります。東日本大震災やコロナ禍のはじめの時に経験されている方も多いと思います。
悪意がなくても物資が不足しているという報道を聞いたり、人々が物資を購入するために行列しているのを見たりすると、つい多めに買ってしまう方が出るのはやむを得ないかもしれません。
送電網にも被害が及ぶことが予想されます。降雨時に送電線にある碍子(鉄塔などの電力設備にあるそろばんの珠を重ねたような陶器)に灰が付着することで、絶縁低下による停電が起こる恐れがあります。発電所でも発電効率の低下が予想されています。

碍子拡大
碍子
碍子
碍子(電柱と電線を絶縁している白い陶器)


身近なところでは上下水道にも影響があるでしょう。

そのほかにも農作物への被害、観光産業への打撃、土砂災害の恐れなどもあります。
内閣府のHPなどに被害の想定が掲示されておりますのでご覧ください。

家庭での備え、企業などでの備えは次回のブログで掲載させていただきます。

(参考)内閣府HP 大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ

2022.1.30


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