マイホームへの憧れは無税
数ヶ月前。
家の近くに新しい家が建った。
角地にある白塗りのスクエアなその家は、 ひときわ目を引くモダンなデザインだ。
ひときわ目を引くのはそれだけではない。
庭と駐車場が舗装されていない、ドロドロの土の上に家が建っている。
家の周りには三角コーンが等間隔に置かれ、コーンバーで敷地を囲っている。
駐車場にするだろう場所にはブルーシートがひかれ、その上に白く古いコンパクトカーが停まっている。
玄関先には『ポスト』と書かれた段ボールが置いてある。
このモダンな新築家屋が完成してから数ヶ月が経つ。
まさかこれで完成ではなかろう。
余計な勘ぐりだが、資金繰りが苦しくなったのかもしれない。
もしそうだとしたら、持ち家とはそこまでほしいものなのだろうか。
賃貸派の私にとっては理解しがたい。
住宅購入には、資金の工面もさることながら、多額の税金ものしかかってくる。
不動産所得税に登録免許税、印紙税など。
購入後の固定資産税を含めたランニングコストも馬鹿にならない。
常日頃から所得税に住民税、たばこ税に酒税に自動車税、もちろん消費税。
納税は国民の義務とはいうものの、家の購入にともない税金がまた頭上に。
そう思うだけで住宅購入には二の足を踏む。
加えて、自然災害のリスクも考えると、家を持つことへの価値を見出せない。
しかし、私の価値観とは相反するかごとく、ここ1年で近所に10軒以上もの新築戸建てができた。
更地から土台となる基礎工事が始まり、骨組みができ、内装・ 外構工事そして完成。
散歩がてら、まだ誰も住んでいないそれらを遠巻きに見る賃貸派の私。
「オシャレな外観だな」、「庭でバーベキューできるな」、「洗濯がよく乾くバルコニーだ」などとつぶやきながら。
憧れは無税だ。