宇宙葬を希望している寺田蘭世とニヒリズム
前回更新したnoteの余韻で寺田蘭世のことに思いを巡らせてたら,次のようなエピソードがあったことを思い出した。
寺田蘭世が初の選抜入りをはたした『インフルエンサー』(ヒム子とのコラボ)を披露したあの年の明石家紅白での一コマ。
蘭世の発言で一番笑ったなあ。
まだ十代の寺田蘭世が,死について考え,遺灰のことを「カス」と言って,その「カス」を宇宙に打ち上げてくれ(宇宙葬)と熱弁する。
スゴいなあ。今読んでもインパクトある。
自分は蘭世よりやや歳上だけど,樹木葬いいなと思ったことはあっても,さすがに遺灰を「カス」と言うことはできないな。
どうも「死」というものへの畏怖の念ようなものがあまり感じられないのだ。
遺灰という「カス」を宇宙に打ち上げるという発想は,伝統的な死生観や宗教観から外れるように思う。
以前,火葬後の遺灰を次のように扱ってはならないという指針をローマ法王が発表したということがあったそうで。
ここでは,遺灰をジュエリーに入れたり,樹木の下に埋葬したり,珊瑚礁に撒いたり,宇宙へ打ち上げたり,そういった「冒涜的な」行為にカトリック教会は警鐘を鳴らしている。
そして,それらの行為の背後にはニヒリズムがあることをカトリック教会は問題視する。
この明石家紅白が放送されたときは「蘭世は変わってるなあ」としか思わなかったけれど,やっぱり蘭世はニーチェ的なアイドルだったのかもしれないなあと思うのだ。