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インプット重視のイラスト制作~取材とその過程~【メディフェスせんだい2023】

こんにちは~ 恐山Rです。

この度、今週末の土日・2023年3月18㈯~19日㈰にせんだいメディアテークで開催されるメディフェスせんだい2023の広報用イラストを制作させて頂きました。

今回はありがたいことに制作期間を数週間設けて(&だいぶ融通を効かせて)いただき、インプット重視の制作ができたと思います。なので、ある意味このイベントのコンセプトでもある「伝わらない、伝える、伝わる」に通じるところもあると思いますし、加えて若い世代に「こうやってお仕事を進める人もおるんやな」と伝わればいいのかなと思います。

制作について

まずは制作の進め方です。前提として事務局さんからのオーダーはざっくりこんな感じでした。

・メディアテークが会場、全国から市民メディア(ローカルメディア)の担い手が集まる全国大会のようなイベントである(=他県の方も目にするもの)
・マスメディアではなくて、小さな単位のメディア。イメージとしてフリーペーパーやYouTuberなんかも入れたい。
・若手を巻き込みたいし、ポップさが欲しい

合点承知之助~!と思いつつ、基調講演やクロストークが中心で、カジュアルな学会のような印象もあったので、ビジュアルとしてどこまでタッチがくだけていて良いものか悩みました。

そこで、民主主義だよ。タッチを数種類見せて多数決やディスカッションでもしてもらって、その中から決めて頂こうじゃあないか……。

①タッチの提案表と素案の提出

初稿の前にタッチの提案表と素案を提出します。

いつもはラフも初稿の手前……0稿のつもりで提出することが多いんですが、今回はタッチのご提案含みだったので、ほんまもんのラフ画をお送りさせていただきました。

ポップ寄りのタッチ&塗りイメージ、提案した5案。こう見返すと、鉛筆っぽいのも軽やかで良いな……。
構図、イメージ素案。タッチは上の図を参考にしていただき、要望に応じて描きわけるつもりだった。

結果的に、左下の線が太いデフォルメ強タッチの方向で進めることに(使いやすさという観点でいえば、右側の感じが好評のようでした)。

②初稿提出

ありがたいことに、初稿以降も全体的にスルスルっと進みましたが、以下の上段2点は工夫が必要でした。

初稿

上段左から「伝承」「せんだいメディアテーク&アーカイヴィークル(定禅寺通)」でしたが、伝承は若い担い手もいてレクチャーのようなイメージ・せんだいメディアテークはシンボル的だが他県の方からすると分かりにくい? というご意見をいただき、練り直すことに。

特に仙台・定禅寺通周辺にまつわるカットはどうしようかな~と考えた末にとったアクションは……。

取材しよ!

※伝承のカットは事務局の方からこういうイメージの!というオーダーがあったのでスムーズに描き起こせました。「いい感じにしてw」という丸投げじゃなくて一緒に考えていただいたの本当にありがたかったです。

③二稿へ向けて……せや!定禅寺通りを歩こう!

悩んでいてもしょうがないので、全てをかなぐり捨てて定禅寺通りへ。ペンを捨てよ、町へ出ろ。

ジャズフェスや光のページェントのシーズンと打って変わって静かな平日のグリーンベルト。
足元の照明がイイ。
なかなか立ち止まって眺めることのないエミリオ・グレコ「夏の思い出」。道路挟んで向かいの山岡家がシュール。
念の為、メディアテークの柱ももう1回観察して……。
せんだいメディアテーク館内のファニチャーも改めてチェック。初稿右下でうさぎが座ってます。

改めて周辺を歩いて気づいたのは「特にグリーンベルトは普段、ゆっくり立ち止まる・佇むようなタイミングがあまりない」ということでした。

そこで、せっかくの広々とした遊歩道やベンチの数々があるのに、イルミネーションや演奏のためにせわしなく移動するための手段となりがちだから「普段通り過ぎがちな場所でじっくり観察、リサーチしてみようよ」というカットがいいなと考えました。

もともと楽しそうにビデオやカメラを持ってリサーチしようとしている人たちを描きたかった

実際、ベンチに座ってじっくり通りを観察している人の案もあったんですが(以下エスキース参照)、動きがなくて寂しい印象だったので静的にじっくり…ではなく、ビジュアルとしては「興味津々」の方向に。

 定禅寺通りだからわかりやすく「夏の思い出」モチーフに使えばいいや!という安易な着地ではなく、きちんと現地を歩いて考えた結果、「夏の思い出」をモチーフにするのが良いと判断したのが大事なポイントだと思っています。

また、追加でのオーダーもあり「市民ライター」のカットも五月雨で提案し、事務局の方と
議論しました。

⓸最終的なアウトプット

そして、これらの過程を経た最終的なアウトプットがこちら!

※マニュアルを守っていただければ色変えOK!というお約束だったので、最終的な色味はデザインに合うように補正加工→活用いただきました。
追加カットは最終的には女性キャラクターで、もう少し真剣な表情のものに。メインビジュアル用に起こす際、ちょちょいと調整したのですがこの話はまた別の機会に……。

個人的にはやり切ったぞ……という気持ちです。少しでもイベント参加のフック(アイキャッチ)になっていれば幸いです。

インプットを重視した制作、大切にしたこと

冒頭でも書いたように今回は寛大な事務局の皆様からのご配慮があり、タイトスケジュールの中で丁寧に進めさせていただきました。なので、「締め切りは3日後!」みたいな緊急のご依頼にこの方法は合っていません。その時に与えられた時間と予算の範囲内でやり切るのがベストです(いや、それはそれとしても、ほんとにバカ真面目にやっちゃってすみません……。事務局の皆様のご配慮感謝いたします)。

今回の広報イラストは私も普段運営している市民メディア(ローカルメディア)が主役であり、明確なコンセプトがあるものだったため、伝わる、伝えるその過程をどうしても大切にしたかったのです。

また、私個人の想いとしては昔描いたこの絵を超えたい!イメージをアップデートしたい!という気持ちがありました。

こちらは2018年に素材を描き、デザイナーの大先輩に素敵に着彩・レイアウトしていただいた大作(東西線沿線活性化に向けたスクールのキービジュアルです)。何年経っても「この感じがいい」「こういうの描いてほしい」と言っていただけてありがたい反面、素敵にまとまっているのは先輩のセンスと努力のおかげであり、罪悪感もありました。

そんなこともあって、今回は個人で任せていただいたからにはWEの時のイメージを超えなければいけない……という気持ちがあったのでした。いや、今回超えられたかどうかは別なんですけど。事前リサーチや取材、インプットの重要さや「クライアントと一緒につくる」みたいなことは今後も大事にしていきたいと思っています。

また、今後クリエイターを志す若い世代の参考(こういうやり方もあるんや程度)になれば嬉しいなという気持ちです。すみません、上から目線で。

てわけで、土日はせんだいメディアテーク、きてくださいね!(雑な締め)

おまけ

インタビューレポーターのカット、実はジャージ案もあったのですが、最終的にはきれいめファッションのスタイルに。勝手にモデルにした安藤歩美さんがTV(マスメディア)に出演する際の衣装だったので、今回は採用しなくて良かったのかもしれません。

恐山・R・クロフォード

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