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花咲く旅路

薄緑色のレーザービームの上を歩いている

周りは靄がかかっていて

どこまで続いているのかわからない

目の前に

背広姿の一つ目の男が立っていた

「よう、あんた、何者だい?」

それはこっちが訊きたいよ

男と並んで歩く

いろいろな話をしながら

「学校へ行くというのは黒を白と言うための訓練さ」

なぜそれを俺に?

さあねと男は言った

しばらく歩くと

赤い炎に包まれた女が立っていた

「人から馬鹿にされたくなければ、他人に敬意を払うこと」

女はそう言って、燃え尽きた

夜間飛行の速さで

俺たちは空を飛んでいた

靄を抜けると何も無かった

「挑戦の先に成功がある。そして成功の先にはまた挑戦がある」

男はそう言ってヒュウとへたくそな口笛を鳴らせた

胴を矢で射抜かれた天使が落ちてきた

「あんたにゃわからないだろうけど、僕の人生はこれでオーケーさ」

息絶えた天使は無数の星になって、無から有を作り出した

「誰かを信頼するということは、その人に裏切られてもいいという覚悟のこと」

その星のひとつから聞こえてきた

一つ目の男はこちらを向いて手を差し伸ばした

「さあ、君の旅ももう終わりだ。俺が何者かって?

 俺は男だよ 地球という星に生まれた」

それが何か?

光に包まれて目を覆う

一つ目の男が蒸発していくのがうっすらと見えた

「幸福の尺度は、自分の定規で測るしかない」

これは夢なのだろうか

そうであったとしても、そうでないにしても

これからの俺の人生は

死ぬ間際に笑えるような

花咲く旅路になるのだろう

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