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My favorite100 #12 14ひきのシリーズ

こんにちは、はじめまして。なぁこと申します。
2021年は「継続していく」ことを目標に掲げ、毎週ただただすきなものを100になるまで紹介していくという連載を年始からはじめました。ランキングではなく、リストから気分でピックアップしてテーマを決めております。
このnoteを偶然見つけ、読んでくださった方のなかに、おなじものがすき!って方がいたらうれしいな〜!という気持ちで更新中です。

#12 14ひきのシリーズ

このねずみの大家族、一度は目にしたことがある方も多いんじゃないかというくらいのベストセラーの絵本。
14ひきのシリーズ」作:いわむらかずおさん 「14ひきのひっこし」からはじまり、「もちつき」まで12冊が刊行されています。
わたしは小さなころからこのシリーズが大好きで、今でも定期的に読み返しています。
「ひっこし」であたらしい木の根を見つけ、そのなかに部屋や台所、お風呂などを造り、水道を引いて「家」という居場所そのものを作り、そこから「やまいも」「さむいふゆ」「ぴくにっく」など、四季の移り変わりに合わせて家族の営みがはじまっていきます。
植物や生き物をはじめとした自然や、流れていく時間に沿って変わっていく朝の色や夜の色などの描写はとても美しく、また家の中もわくわくするほど細かなところまでしっかり描かれているのも魅力的です。
シリーズでいちばんのお気に入りは「あさごはん」という一日のはじまりを描いたもの。おじいさんがいちばんに早起きをして火を起こし、順番にみんなが起きてくるとそれぞれ、おばあさんやおかあさんはおねえちゃんたちとパンを作り、おとうさんは起こした火でスープを作り、兄弟たちは豊かな自然を進みながら野イチゴを摘みにいき…最後はみんなで食卓を囲むという、きっと彼らにとってはなんてことない一日のはじまりだと思うのですが、そのなんてことのないあたりまえの光景こそが「今日一日を生きていくため」にたいせつなものであると教えられるようです。


わたしは「食事」をとおして人生が描かれる作品や、「生活の営み」がきちんと描かれるマンガ作品がとても好きなのですが、その原体験はこの作品なのではないかと、今では考えています(それで行くと、「やまいも」「もちつき」も最高です。食いしん坊なのかなあ笑)。
食事だけでなく、季節そのものを楽しむようなお話や、いわゆる昔からあるような家族のかたちを感じられるところが、ほんとうにさりげなくも丁寧に描かれ、こどものころには気がつかなかったことを大人になってから読み返してみると発見できたりもして、何度読み返しても、あたらしく優しい気持ちになれるとてもたいせつな絵本です。


わたしの母親は、節句や冬至、お彼岸や十五夜、年賀などの季節の行事をいつもきちんと続けていて、わたしも小さなころからその環境の中で季節を感じながら育ってきました。現在では、桜が3月には満開になり散ってしまったり、長く暑い日が続いたあとに秋をすっ飛ばして寒くなってしまうような、四季が移っていくスピードが変わったり、移ろいそのものがあいまいになってしまっているようなことも多いですが、それでもこの何度も読み返した「14ひきシリーズ」や母親が教えてくれた季節の営みは、ずっとわたしのなかにしっかりと根付いていると思います。




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