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【受験生必見!】2023年度の東京都立入試・社会を解説してみた(大問5公民)【ナラ社の時間#08】

こんにちは、ならんはです。
ナラ社の時間シリーズ、2023年度都立社会解説編も佳境に入ってきました。

今回は大問5の公民分野をメインに解説・考え方のポイントをまとめていこうと思います。

問題・解答はこちらの東京新聞HPからどうぞ。

大問5(公民)について

公民分野は毎年いろいろな単元から出題されるので、「まんべんなく」という対策法になっていきます。
とはいえ、私立校でよくみられるような細かな知識を問う正誤判定などの問題ではなく、広く浅い知識と思考力が求められます。

また、今年は公民だけでしたが、年によっては平成史や世界史内容を含む歴史からの出題などもありますので、かなり手広くやらないといけないです。

ですが、対策法がないわけではありません。
早速ポイントと解説に参りましょう。

問1(基本的人権の分類)について

問1は例年問われる内容は一定ですね。それが、基本的人権の分類に関する問題。きちんと対策すれば5点確実に取れます。
特に抑えておきたいのが、自由権・平等権・社会権の3つ。ある日本国憲法の条文や権利と同じ種類のものを選べるようにしておきましょう。

☆基本的人権の分類
①自由権
3つの種類に分けられる。念のため細かく分けた方でも判別できる必要あり。
・生命・身体の自由
・精神の自由
・経済活動の自由
 ※「〜〜の自由」という名前のものはすべて自由権に当てはまる。
 ※例外は、財産権の保障(経済活動の自由)・現行犯を除いて令状のない逮捕の禁止(身体の自由)・奴隷的拘束の禁止(身体の自由)

②平等権
差別を禁止しているものはこれ。

③社会権
以下の3種類しかない。丸暗記でもよいレベルで大事。
・生存権(憲法25条)
・教育を受ける権利
・働く系→勤労権、労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)

はい、というわけで解説に参りましょう。
経済活動の自由に当てはまるものはどれかという問題ですね。

この中で、よく聞かれるもの・間違いやすいもの・想像しづらいものといえば、社会権か経済活動の自由でしょう。特にその2つの違いがわかればよいと言ってもいいかもしれません。
たとえば教育を受ける権利は自由ではないので社会権にあてはまる、などです。

ア 法の下の平等→平等権 憲法14条
イ 罪刑法定主義→自由権(生命・身体の自由) 憲法31条
 ※「自由」という用語に注意。
ウ 教育を受ける権利→社会権 憲法26条
エ 居住・移転・職業選択の自由→自由権(経済活動の自由) 憲法22条

自由権が、生命身体/精神/経済活動の3つに分けなければならない理由もこれでスッキリしたはずでしょう。自由権が2つ出てくるからですね。
複数出てくる可能性があるものは分けて判別できるようにする。大問4歴史でも習った通りです。

問2(4択問題)について

これは2022年だと問4で出題されたものに近いですね。ただいつ?という問題ではなく、この経過を辿る公共料金はどれ?という問題でした。
これは分からなくても問題ないでしょう。今年の話題ならまだしも、令和2,3年と去年・一昨年の内容ですから、時事問題としては少し古い話題ですね、、

一応今年出たからという理由だけでまとめておきましょう。
あんまりこういうまとめ方って汎用性は高くないのであまり好きではないですが、あまり細かくやる機会なさそうなのでやっておいて損はないでしょう。
正直めちゃくちゃ重要かと言われれば、都立に関しては重要ではないと言ってしまいそうなレベルです。

☆公共料金の決定方法
①国会・政府が決定
社会保険診療報酬、介護報酬
②政府が認可/上限認可するもの
電気・ガス料金、鉄道・バス・タクシーなどの運賃、郵便料金
③政府に届け出るもの
固定電話の通話料金、国内航空運賃、郵便料金
④地方公共団体が決定
水道料金、公立学校授業料など

ここで、地方公共団体が決めるウ.水道料金が違うことがわかります。主語が所轄省庁ですので、内閣(政府)が行ってますからね。

②や③は最終的に価格を決めるのが、国ではなく企業ということになりますよね。水道料金は水道局、電気は電力会社、航空運賃は航空会社というように。
となると、この決定までの流れに企業などが入ってこずに、大臣や審議会といった国会・政府の中で決まるということから、①になると考えられます。

これを当日判断して正解に辿り着ける受験生がどこまでいるのだろうか。正解した方は自信を持っていいです!
もちろん理由付きで…笑

問3(2×2択問題)について

税金の種類に関する問題です。
これは、「直接税・間接税」と「国税・地方税」の2×2マトリクス表を用いて分類していけばオッケーでしょう。

☆税の種類
・国税…国に納める税金。
・地方税…地方公共団体に納める税金。

・直接税…納める人(納税者)と負担する人(担税者)が同じ税金。
・間接税…納める人と負担する人が異なる税金。

A 法人税 企業の利益に対して課せられる税のこと。
これは、国税・直接税となります。
B 固定資産税 土地などの資産に対して課せられる税のこと。
これは、地方税・直接税となります。

問4(記述問題)について

記述は今回問4での登場でしたね。大問3日本地理のところでやった分割型ではなく、非分割型です。
記述のポイントについては、大問3後半でまとめていますので、こちらからどうぞ。

こちらでは、分割の有無に関わらず記述問題の考え方をご紹介しているので、ぜひご覧ください。
自分で言うのも何ですが、めちゃくちゃ質の高い記事です笑
記述力の基礎が養われるはず。都立に限らず参考になると思います!


①何について書くのか?

最後の一文にのみ注目しましょう。

Ⅰ〜Ⅲの資料を活用し、2014年に改正された会社法によりもたらされた取締役会の変化について、社外取締役の役割及び取締役会における社外取締役の人数に着目して 、簡単に述べよ。

着目するポイントも全て誘導されているので、書くべき内容(採点基準)も明確で書きやすいのではないでしょうか。

②資料の内容を箇条書き

・資料Ⅰ…現行の会社法に関する問題点。適正な企業の統治について、外部の意見を取り入れるシステムが備わっていないこと。
・資料Ⅱ…新しい会社法では、社外取締役の要件に近親者でないことが追加された。
・資料Ⅲ…グラフの読み取り。変化の大きい部分に注目をし、「くらべる」型記述をつかって読み取れることを文章化してみましょう。

③「くらべる型」記述
当然対立軸は、会社法改定前と後ということになります。

<触れるべき内容(ヒント)>
・社外取締役の要件がどうなった、、、?
・独立性を備えた社外取締役の人数がどうなった、、、?

これらを「くらべる」型記述のテンプレートに当てはめて、書いてみましょう。

④読み取った内容+結論
結論部分は、文章の資料から内容的対比を利用して説明することにしましょう。

<触れるべき内容(ヒント)>
・この法改正による目的はなんでしょうか?


答えが書けたら、下にスクロールしてみましょう。




<解答例>
適正な企業統治を実現するために、社外取締役の要件に企業出身者だけでなく近親者も禁止し、独立性を備えた社外取締役の人数を2人以上置く企業が3倍以上増えた。


※資料Ⅲの比較(当てはめ)
法律改正前後で、独立性を備えた社外取締役を1人も置いていない企業が大きく減少したのに対し、2人以上置く企業が3倍以上に増えた。


いかがでしたか?
記述問題については、慣れるまでは手順をひとつひとつ正確に踏むことをオススメします。すぐに解答例を見てもいいですが、自分で書いた答えがあった方が復習の効果は何倍も変わってきます。
まずは、手を動かすことをとにかく大切にすることです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
3/1は都立一般の合格発表ということで、あとわずかですね。
受験生の皆さんは吉報をお待ちしています。

合格発表の後は、ぜひ中学内容の復習をして高校入学の準備をしましょうね。

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