みてら日記

はじめまして。日々あったことを書き残したいと思います。

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最近の記事

傲慢

2020/09/20⑮『傲慢』 上司に仕事を辞めると告げて、次の日は有給取った。 その日は火曜日で、水曜木曜は公休のため三連休となった。 何か連絡が来ていたが、すぐに返事するのも癪だったので、次の日ぐらいに適当な返事をした。 仕事をすることはなったが、飲み歩いただけの休日で特に何もしていない。 よく通うバーの常連客に仕事を辞めることになりそうになったと伝えたぐらいだ。 休み明けの金曜日、出社すると直属の上司からすぐに話しかけられた。 「午前中三十分だけ時間ありますか?」

    • 遺憾の意

      2020/09/20⑭『遺憾の意』 あれは、月始めのある月曜日のミーティングのことだった。 土曜日曜はアポイントで終日埋まっていることが多く、怒涛のように働き続けた次の日のお昼一番で行われていた。 全国的に緊急事態宣言が解除され、僕らの会社も以前の様式に戻りつつあった。 断固として在宅ワークを希望するも、発言力は弱く、中々受け入れられなかった。 その日、ミーティングはテレビ電話ではなく、いつもの部屋で行われていた。 ぼくはコロナ禍という最大風速の逆風にも負けず、無能な上司

      • ダメ上司

        2020/09/20⑬『ダメ上司』 僕は忙しかった。 会社に通っているわけではないが、家で仕事をするようになり、自分でペース配分を決めることができるにも関わらず、タスクに追われていた。 お客のために資料を使ったり、ためになる情報をメールで送ったりするのに、以前より時間をかけて、丁寧に接するようになっていた。 一日十二時間以上パソコンに向かい、とにかくお客のために時間を費やしていた。 それでも、上司からの横やりが飛んで来ない分、ストレスというものはほとんどなかった。 しか

        • 在宅ワークの弊害

          2020/09/20 ⑫在宅ワークの弊害 今まで朝起きて会社へ行って仕事をするということが当たり前だった頃から比べれば、在宅ワークは天国だった。 出社時間の五分から十分前に起床し、上司にメールする。 「おはようございます。今から仕事始めます。」 この文章を寝ぼけたまんま送りつけて、二度寝する。 何十分か後に目が覚めて、携帯でニュースを見たり、ネットサーフィンをする。 トイレを済ませ、朝ごはんを食べて、コーヒーをいれる。 あんまりだらだらしていると、流石に仕事が回らなくな

          仕事

          2020/09/20⑪『仕事』 政府より緊急事態宣言が発令されてから、職場に行くのは週に一度程度で、専ら在宅ワークとなっていた。 お客様との商談はテレビ電話を駆使し、これまでとは違うやり方に早く慣れようと、あの手この手で試行錯誤を繰り返した。 バーで出会った彼女は、僕が起きるよりも少し後に起きて、ベッドを占領し、すぐ近くで仕事をしている間も、携帯で動画を見たり、音楽を聞いたりしていた。 「今日何食べよっか?」 「なにあるのー?」 「ウィンナーと卵ぐらいかな…。」 お昼

          料理

          2020/09/20⑩『料理』 初めて身体を重ねてから、ひと月ほど経っていた。 その日は朝起きて、仕事に行かないといけない彼女を家の近くまで送り届けたあと、再び寝に入ったと記憶している。 最近はというと、面倒なことに百年に一度の流行病のせいで、世間は自粛ムードになっており、会うときは僕の部屋と決まっていた。 整理されていない部屋が、初めて来たときよりは少しはマシにはなっていたのは彼女の功績が大きく、来るたびに整理整頓してくれたり、掃除機をかけてくれたりしたおかげだ。 彼

          踊る老婆

          2020/09/20⑨『踊る老婆』 前の居酒屋で何発か殴打されたあと、店を移した。 別の店の常連客と来たことのあるその店内には、平日のせいか、お客はおらず、奥の方で綺麗なドレスに身ををまとった老婆のような老人がひとりぽつんと佇んでいた。 「あらぁ〜いらっしゃ〜い。お二人様?どうぞ、座って〜。今日は暇なのぉ〜。」 六十はゆうに超えているキラキラした老婆は、前と同じように暖かく迎えてくれた。 ハリボテとはこのことかと言えるほど、化粧ノリは悪く、いつくたばっても不思議ではない

          酒乱

          2020/09/20⑧『酒乱』 彼女と出会ってから二週間ほど経った。 毎日のように、何かしらやり取りはしていた。 連絡不精の僕からすれば、珍しいことだ。 別に好きというわけではないし、僕の家に泊まったとはいえ、結局最後まで身体は許してもらえなかった。 なのにどうしたものか。 いつも飲んでいる『村』から2駅ほど離れた飲み屋街に今日は来ていて、僕は待ち合わせ場所の本屋の中にいた。 彼女は仕事で遅れていたので、前に会ったときに言っていた小説でも探そうと一階二階を歩き回った。

          『タバコ』

          2020/09/20⑦『タバコ』 「お疲れ様です……。」 すれ違う人たちに挨拶をしながら、自分の椅子に腰掛けた。 お昼を回ってからの出社ということもあって、「おはよう」という言葉は使わないようにした。 顔色は悪く、調子も上がらない。 パソコンを開けて、メールのチェックをしているものの、頭の中の視界はぼやけている。 日当たりの悪い社内が、より一層そうさせた。 耳障りの悪い音で目が覚めたとき、時計の針は、もう朝ではないということを教えてくれた。 今から一時間も経てば、会社に

          『タバコ』

          部屋

          2020/09/20⑥『部屋』 タクシーに乗ってからはすぐだった。 5分ほどだったと思うが、やっとの思いで僕たちは部屋に到着した。 8畳ほどあるワンルームに無駄に広いキッチン。 風呂トイレ別で充実した収納スペース。 内見したときに人目惚れして、住み始めたこの部屋。 でも、その面影はもうない。 家具こそ少ないが、片付けてはほとんどされていない。 テレビは直置きだし一応テーブルはあるけれど、カーペッドなんてものはない。 いつのものか分からない洗い物はずっとそこにあるし、ペット

          後ろ髪の長い神様

          2020/9/20⑤『後ろ髪の長い神様』 カラオケバーに行くと、カウンターの一番奥の席がちょうど二つだけ空いていた。 知っている顔もちらほらいたと思うが、あまり覚えていない。 緑色の髪をした顔馴染みの店員とした会話も覚えていない。 何時間経ったかも分からない。 一緒に来た女の子は色んなお客と絡み、へべれけ状態だった。 僕は僕でカラオケを歌ったり、テキーラを飲んだり、同じく酷い状態だった。 店内に唯一ある半透明のドアからは、うっすらと朝日が差し込んでいた。 「そろそろ帰ろっ

          後ろ髪の長い神様

          出会い

          2020/9/20④『出会い』 とあるカラオケバーで、女を抱きまくってるという噂が出てから、仲の良かったある常連客の対応が明らかに変わった。 直接的に迷惑をかけてはないつもりだし、オーナーがそういうのは嫌だという店では、女の子はほとんど抱いていない。 ほとんど抱いていないのだ。 神様に誓ってもいいのだが、実は一人だけ関係を持った女性がいる。 話は半年以上前に遡る。 その女性は、僕のよく行く店で何度か来たことがあるらしかった。 酔っ払って、そのバーに来て、絡み酒的な飲み方で

          屁理屈

          2020/9/20③『屁理屈』 人生うまくいかないとかは、ほとほとうまくいかない。 仕事を辞めて、就活もせず、家でだらだらと過ごし、夕方になれば、飲みに行く。 お金を使い過ぎたなと思う翌日は、少し外出を控える。 そんな毎日だ。 誰かと直接揉めたわけではないのだけれど、何かとうまくいかない。 よく知る常連客のおじさんに突然悪態を突かれたり、君は裏があるからねぇとか、君を他の店には連れて行けないよとか、言われたりする。 訳を聞いてもはぐらかされてしまうから、辛いところである。

          『ごめんなさい』

          2020/9/20②『ごめんなさい』 「ガッシャン、パリーン」 夜もずいぶん深くなり、一杯だけと思い飛び込んだ店で何杯もおかわりをしていた。 滑舌は悪くなり、相手の話には無理矢理割って入り、何か聞かれても真面目には取り合わない。 僕は、どうしようもない酔っ払いになっていた。 そろそろ帰ろうかと思った、そんなときだった。 突然大きな音がした。 何が起こったのか分からない。 ただ目の前で、大きな音がした。 カウンター越しに映るのは、慌てて飛んでくるマスターだけ。 僕は困惑し

          『ごめんなさい』

          おっぱい

          2020/9/20①『おっぱい』 仕事を辞めてから約3ヵ月経った。 有給消化なんかがあったので、正確には2ヵ月ぐらいだ。 僕は東京のとあるEという街の近くに住んでいて、週末に限らずそこの行きつけの飲み屋さんで飲むことが多い。 一応23区内ではあるが、そこは大体の人がイメージする大都会東京なんてものは全くない。 地元民や近くに住む人たちで賑い、いつも知ってる常連客同士で酒を酌み交わす。 観光のような目的で来る人はいない。 一言で言えば村。 それぞれがそれぞれのコミュニテ