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女子大生がおわる 単身世帯がはじまる

40000字規定の卒論を40028字で提出し、大学の卒業が確定した。
4年後期は授業を取っていなかったから、これにて正真正銘の空白期間が到来した。

脳のキャパが狭くて就活してる時は就活のことしか考えられなかったし、卒論を本格的に書き始めてからは卒論のことしか考えられなくなって、ようやく落ち着いたら自分の部屋の絶望的な荒れ方にぞっとした。
人並みに虫が嫌いだからゴミだけはかろうじて捨てていて、ニュースでよく見るゴミ屋敷にはギリギリならないものの、まあ友達はひとりも呼びたくない感じだ。
ちなみに私の住んでいるアパートは誰1人としてゴミ出しの曜日を守らないから事実上24時間ゴミ出し可能になっている。秩序の乱れが一周回って秩序を生んでいる最悪の状態でたいへんに住み良い。ここに住んでいなかったらちゃんとゴミ屋敷になっていたことでしょう。

春から通う場所の近くに引っ越そうと思っていたが、初期費用を計算したら馬鹿馬鹿しくてやめてしまった。「都内での引っ越しの初期費用の相場は家賃の6ヶ月分です☆」じゃあないんだよ。なんか星のついたシェフとか呼ぶレベルの入居パーティーが開かれでもしない限り納得できないだろこんな金額。

大学1年で一人暮らしを始めてから漠然と、卒業したらこの部屋から出ると思っていた。だから頭の隅にはずっと「これは仮暮らしなのだ」という意識があって、次引っ越す時にいろいろと揃えればいいや、とも思っていた。
小学生の時から板書が苦手で、ノートの反対側から落書きをしてしまうからいつも完璧に使いきれなかった。学期が変わるたび無駄に新調しては「次こそ使い切る☆」と思って、また同じことを繰り返した。ノートが部屋になっただけで、あの頃と何も変わっていない。

もしかすると、今後私には「節目」がないかもしれない。

学校は普通にやっていればいずれ卒業がやってくるけど、会社は辞めないかもしれない。結婚だってしないかもしれないし、家族もできないかもしれない。

次のライフイベントって、もしかして「死」か?

可能性としてはゼロではない。

そう考えたら、仮暮らしとか言ってる場合じゃないのだ。諦めろ。ここは私の家だ。諦めるも何ももう4年住んだけど。自覚がなかっただけで。そうしたらとりあえず、衣装ケースと本棚を買おう。今更だけど。本当に嘘みたいに今更だけど。

趣味で頻繁に買う本とCDが、数年に渡って床に積み上げられている。
オフシーズンの服は、最初の引っ越しからずっと段ボールに入っている。
実家からの仕送りも、仕送られてきた段ボールから出し入れして食べていた。

料理しなすぎてコンロの上が物置になっていたし、調味料の賞味期限が全部年単位で切れていたから捨てた。ロフトの足元の窓についてる短いカーテン、備え付けなのにめちゃめちゃカビてたから本当に情けねえと思いながら漂白した。つーかロフトの足元に窓いらねえだろ。

同時に、なあなあになっていた諸々の契約を確認した。書類、申し込み、契約、支払い。嫌いな言葉ランキング、堂々の上位ランカー達である。
まずは携帯の名義を母から私に移す。初めて携帯代のプランを意識した。
水道代を口座引き落としに変更する。書類を出すのが面倒というだけの理由で4年間コンビニ支払いしていた。しかも毎回のように支払い忘れて督促のハガキで払っていた。

すると突然、「この会社のクレカで払った方が得だから作るか」とか、「学生証なくなるからなんだかんだマイナンバーカード要るな、免許ないし」とか思うようになる。

ああ私は、単身世帯になるのだな、と思った。

もう映画館もサブスクも美容院も学割が効かなくなる。

一人暮らしを初めて一ヶ月経たず諦めた自炊を、もう一回だけ試してみようかと急に思った。コンロと冷蔵庫が片付いたからである。いかに単純な頭をしているかよくわかる。
ちょうど近所にオーケー(スーパー)が出来た。安いスーパーで有名だし試しに行ってみる。

キャベツやニンジンや玉ねぎが、一体いくらなら「安い」のか。
それすらわからなくて恥ずかしかった。

大卒1年目の目標は、「食べ物を捨てないこと」にした。
半分以上残っているみりんを捨てるとか、液状化した小松菜を冷蔵庫の中から発見するとか、もうやめにしたいのである。

ちなみにこれは大学1年生の時のツイートです。

読んでくれてありがとうね