京葉線と総武線を比較する。

はじめに

今回、京葉線のダイヤ改正により大きくクローズアップされた千葉地区。では、総武線と比較するとどうなのか?と気になったため比較してみることとした。

各駅の乗降客数と本数

まずは京葉線の乗降客数と上り本数を示す。

始発列車があるのは蘇我、海浜幕張、新習志野で、各駅から本数が増加する。また、市川塩浜で西船橋方向からの列車も合流するのでここから大幅な本数増加となる。次に総武線である。

利用客という面でみると、海沿いを走る京葉線と比較して相当多い印象となる。舞浜~蘇我間各駅乗降客数合計が49.3万人に対して、市川~千葉間各駅乗降客数合計が126.8万人と2.6倍もある。本数という面でみてみると、千葉の快速本数が116本、蘇我の快速+各駅停車が106本と若干総武線が有利である。ただ、蘇我駅に限れば総武快速線が30本(日中は内房線から毎時1本)あることから、蘇我と千葉では利便性の差があまりないとも言える。

所要時間はどうか

次に日中の所要時間を比較する。

実は日中の各駅停車については、途中駅での待避がなくそのまま蘇我まで先着するものがほとんどで、おおむね蘇我まで50分となる。一部待避するものもあるが、それに関しては3~4分程度所要時間が伸びる。次に総武線。

総武緩行線は錦糸町から両国・秋葉原方面へ行ってしまうので、錦糸町からの所要時間となっている。錦糸町~千葉間でおおむね12分の差があり、京葉線ほどではない。ただし、快速については毎時2本走る成田エクスプレスの待避が発生する列車がかなりあり、それを考えると4分程度増加する傾向にある。

各駅を比較する。

総武線と京葉線は並行して走っているものの、実際にはあまり競合しておらず、最大の競合は蘇我より木更津、大網方面となっている。総武線と京葉線をつなぐバスなどの交通機関は以下のようになる。
海浜幕張駅~幕張本郷駅(京成バス 幕01など)
検見川浜駅~新検見川駅(千葉海浜交通 磯辺線など)
稲毛海岸駅~稲毛駅(千葉海浜交通 高浜線など)
千葉みなと駅~千葉駅(千葉都市モノレール1号線)
この中で、京葉線から総武線へ客が流れる可能性がありそうなのは千葉みなとと稲毛海岸くらいである。海浜幕張と幕張本郷では現状のダイヤでも海浜幕張のほうが便利だし、検見川浜と新検見川でも同様である。また稲毛海岸と稲毛に関しても、高浜団地などの団地が集中しているエリアは稲毛海岸駅から徒歩圏内で、わざわざバスに乗って稲毛に出て東京方面へ向かうかというと若干疑問を感じる。となると、今までモノレールで千葉みなとに向かっていた乗客が千葉駅乗り継ぎになるくらいで、それ以外はあまり変わらないのではという見立てである。
ただ、全体的にみると総武線のほうが便利であるという印象は否めない。複々線であることを確実に生かし、ラッシュ時は大量の快速を運転、日中も特急待避はそれなりにあるもののかなり早い時間で走破といった感じである。

京葉線末端区間の本数

現在京葉線の末端区間となっている海浜幕張~蘇我間は日中1時間に4本の運転となっている。快速が2本と各駅停車が2本でほぼすべてが蘇我まで先着となる。この日中4本ダイヤとなったのは2002年12月のことで、それまでは日中6本(土休日は7本)のダイヤ構成となっていた。一気に2/3の本数となってしまい、ここから日中4本/時の運転となった。当時のダイヤを確認する必要はあるが、各駅停車と快速の運転間隔が好ましくなくまた各駅停車が快速を追い抜くダイヤになっていればその各駅停車の存在意義は薄れるので本数が多いことがよいとは言えないことは注意を要する。

駅間での対比

既に前項目で行ってはいるが、近い駅同士での比較を行ってみたい。
海浜幕張-幕張本郷
検見川浜-新検見川
稲毛海岸-稲毛
千葉みなと-千葉
蘇我(京葉線経由)-蘇我(総武線経由)
総武緩行線のみの停車となる幕張本郷、新検見川は乗り換え時間を5分とする。

京葉線各駅の所要時間は各駅停車/快速としている。また、蘇我(総武線経由)は30本と記載しているが、これは直通の本数であり千葉乗り換えは含んでいない。千葉乗り換えを許容するとこの本数は100本以上となり、蘇我でも本数は互角となる。やはり海浜幕張や検見川浜といった総武緩行線と競合関係になる駅は比較的有利だが、稲毛海岸や千葉みなとは総武快速線有利といったところである。日中に限れば、京葉線はかなり便利ではないだろうか。

最後に

総武線は京葉線と比べて駅勢圏が南北に延びることから利用客が多い。京葉線は南側が海であり、どうしても乗降客という面では不利である。駅数でみると、総武線快速よりは多く、総武線緩行よりは少ないという位置づけで、東京蘇我間の駅数でみると、京葉線快速>総武線快速>京葉線各駅停車>総武線緩行という並びになる。心理的なものもあるが、通過駅が少しでもあると乗客感情的にはよいと思われる部分もあるようだ。市川塩浜で武蔵野線系統が合流することも考えれば、そのあたりで通過運転することにより速達性を上げることも可能なのではなかろうか。特に朝ラッシュ時は東京側で通過運転する種別を、廃止された通勤快速の代わりに作るなどまだ検討の余地はありそうである。京葉線・総武線のダイヤについては今後も検討していきたい。



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