プラネタリウムは"ニセモノ"か?

プラネタリウムの星空はつくりものであり、本物の星空にくらべれば、価値の低い"ニセモノ'だ。そんなことを言われることもあるし、そう思っている人もいるんじゃないかと思います。

でも、はたして本当にそうでしょうか?

私も"本当の星空を見てもらうこと"を、ひとつのねらいとして投影を行なっていますし、プラネタリウムを観ただけで完結するような投影にしたくないなと心がけています。

でもプラネタリウムの魅力や価値ってそこだけではないと思うんですよね。

現代人の技術力をフルパワーに使って、星空を、宇宙をできる限り正確に再現しようとしたもの、それがプラネタリウムで、そんなことを人は100年前からやっていたわけです。(2023年は近代的な光学プラネタリウムが作られてからちょうど100周年にあたります)。

ドームに映るのは星ではなくただの光の点、かもしれません。しかし、そこに投影されているものは、プラネタリウムを作ってきた人たちの情熱の結晶であり、プラネタリウムを投影する人、そして見る人によってその光の点はあらゆる意味をもつことになるのではないでしょうか。

もういちど言いますが、そんなことを人間は100年前からずっとやってきたわけです。これって"ホンモノ"の文化では。

プラネタリウムを作る人や、投影を行う人…人の力によって、ただの光の点の集まりが、星空になり、宇宙となり、人に届く。そんな"プラネタリウムの文化"が私は好きです。

プラネタリウムを"ホンモノ'にできるかどうかは、私たちプラネタリウムを使う人次第ともいえますので、身が引き締まる思いもありますね。

本物の星空よりプラネタリウムがいい。と言っているわけではないのですが(そう言っていてもべつにいいと思うのですが…)、プラネタリウムの星空に価値がない、なんてことは絶対にありません。

これだけの人の想いが詰まった空間。そしてそこに再現しようとしているものは'宇宙'という。それだけでプラネタリウムというのはスペシャルな空間だと思うんですよね。きっとなんか召喚できると思う(笑)

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