見出し画像

横浜FCの違和感だらけのプロモーションから考えられる、2020年の戦略

他所のクラブのことながら、気になってしまったので言及します。

横浜FCが公式のnoteで『2020シーズン一緒に戦うみなさんへお願い。』という記事を掲載していました。ここでいつもの様にリンクを張ってしまうとnoteの仕様でこの記事が面長になってしまうので、リンクは最下部に掲載します。

横浜FCがサポーターに「お願い」

横浜FCは3つの「お願い」を掲載しています。

1. 横浜FCを話題にしてください
2. 横浜FCに反応してください
3. 横浜FCの試合に誘ってみてください

SNSで拡散含めて話題にしてほしいというお願いと、知り合いをとにかく誘ってほしいというお願いです。そのお願いをするために、わざわざ一つの記事にしています。

そして記事内でこのようにも書いています。

この3つは、簡単にクラブの集客に参加して頂ける仕組みであって、ファン・サポーターのみなさんにしかできないことです。

気になったのは「ファン・サポーターのみなさんにしかできないこと」という部分です。そしてそれは「簡単」だそうです。

大抵の人はそれ以外の趣味や交友があります。SNSの偏った情報拡散が心理的に簡単な人ばかりではありません。そして「誘ってみて下さい」は簡単なのでしょうか。相当なエネルギーが必要なのはクラブの内部の方はよくご存知のはずです。

SNSでの話題性と集客を頑張るのは誰でしょうか。拡散してもらいやすい話題を提供すること、友人を誘いやすくする集客の仕組みを考案すること、いずれもクラブの仕事です。サポーターへのお願いで実現することではありません。

(突っ込まれそうなので念の為に言及しておくと、今にも潰れそうなクラブにおいては話が別です。)

結論を言うと、このお願い記事を読んでとても心配になりました。これって要するにサポーターの善意に頼ってしまっていますよね。そんな不安定な広告活動をしていて大丈夫なのでしょうか。

サポーターの熱量を施策に盛り込むのは危険

そもそもサポーターとは何者でしょうか。それは端的に「観客」です。クラブや選手に強い思い入れをもっていますが、あくまでも「観客」です。

サポーターは熱しやすく冷めやすい存在です。盛り上がったときは祭りのごとく動きますが、そのピークを過ぎたら大きくは動きません。なぜならサポーター活動はあくまでも趣味だからです。仕事や学校や家族や他の趣味だってあります。あらゆる生活の隙間の時間をクラブにだけ費やし続けられるのは一握りです。

その上で最も危惧しているのが、施策の振り返りが正確に出来なくなる点です。たとえば横浜FCのサポーターが、クラブの呼びかけ乗って熱心に活動したとしましょう。クラブは100の投資で120の成果を得たとします。その結果そのものは良かったかもしれません。ただし、120の成果のうちのどの程度が呼びかけに応じたサポーターの熱量によるものなのか測れないと思います。

120の成果を出した施策をもう一度うった時、その時に横浜FCのサポーターが同じ様に動いてくれるのかは分かりかねます。極端な話として、同様に100の投資をしてたのに、60の成果しか得られなかったら総合的に損です。

サポーターに「お願い」をしてしまった時点で、施策の効果測定にノイズが入ってしまいます。結果としてPDCAを回すのが難しくなり、継続して効果的なプロモーション活動を行うのが難しくなりそうです。

狙いは「知名度向上の大勝負」か

これまで批判的に書いてみました。しかし、私は横浜FCがそこまで浅はかだとは思っていません。おそらく分かった上で意図的に行っています。その意図は「知名度の向上」だと推測します。

最近、気になっていたことがあります。それは横浜FCのツイッターのプロモーションが頻繁に表示される点です。ツイッターの広告の相場は分かりませんが、単独のクラブが単独で試合告知にSNSのプロモーション機能を使うのは異例だと思います。

ツイッターのプロモーションで感じた違和感と、noteのお願い記事における違和感、ふたつの違和感から推測するに、横浜FCはこの1年で知名度を爆発的に上げようとしているのだと思います。それであれば、なりふり構わない様子も納得できます。

タイミングとしては絶好です。まずはJ1に昇格したことでメディア露出が格段に増加します。そして追い風になるのが、ライバルである横浜F・マリノスの優勝です。(サポーター心理としては複雑かもしれませんが、ご容赦下さい。)今は「横浜」と「サッカー」の2つの単語が結びつきやすくなっています。その結果として『横浜には横浜FCもある』という(失礼ながら)「意外性」を刷り込みやすくなっていると思います。

横浜FCがJ1に定着できるかは直感で半々だと思ってます。率直に厳しいのではないかというのが一般的な予想だと思います。チームは当然にして残留を目指すはずです。しかし、クラブの経営戦略としてJ1にいることを前提とするのは博打が過ぎます。この貴重な1年で勝負をかけるのは納得できる流れです。

この推測が当たっているかは分かりません。私としては、J2に定着していたクラブがこの1年でどれほどの知名度向上を行えるのか、注目しようと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?