ダイエーが無人店舗に参入も、中国企業とタッグ・・大丈夫?

日経新聞の朝刊に「ダイエーが無人店」という見出しが出ていました。効率化を好み、タイ人コミュニケーションを苦手とする自分としては小売の無人化は注目している技術です。それを大手のダイエーが手掛けるというのだから目を引きました。ところが、2行目を読んで唖然としました。その技術を提供するのが中国の「クラウドピック」という企業だというのです。

ダイエーの判断には端的にセンスが無いと感じました。中国の企業と組むのは悪手でしかないと思っているからです。理由は2つあります。ひとつは個人情報保護の観点です。もうひとつは事件問題に関する中国への厳しい世論です。

特に個人情報保護の観点では中国はどんな企業であれ組んではいけないと考えています。なぜなら中国には国家情報法があるからです。国家情報法は中国共産党が望めばあらゆる情報を提供しなければならない法律です。個人情報も例外ではありません。無人店舗と言えば購買データは確実に残ります。そして購買行動や、監視カメラ等から個人を特定する情報は全て閲覧可能になるはずです。先日はLINEが無断で中国企業にシステム開発の委託をしていて大きな話題となりました。あの話題を他山の石としなかったのでしょうか。

記事を読み進めていくと、「店で集めるカメラの画像や販売データの補完・分析は国内で行う。」と書かれていました。おそらく国家情報法の懸念を払拭させるためにそうしているのですが、これはピントがずれています。以前も書きましたが、データの保管場所で大して重要ではありません。誰が触れるかです。私は日本の国内にいますが、日本の国内のあらゆるデータにアクセスできるわけではありません。逆に、海外に自ら建てたサーバへは自由にアクセスが可能です。特にクラウドの時代においてはサーバをどこに立ててどこにデータを保管をするかは重要な問題とはなりません。たとえ日本のサーバにデータを置いたとしても、その管理を中国企業が行っていれば、管理者権限を中国共産党に提供されて全て筒抜けになります。

もうひとつ、中国企業と組むのは今の世界的な情勢としてリスクでしかないと考えています。その焦点は中国のチベットや内モンゴルやウイグルで行われている民族大量虐殺に関する問題です。共同通信によるとアメリカの国務省が来年に開催される北京オリンピックへの参加をボイコットする可能性に言及しました。個人的にそこは切り離して考えてほしいという願いはあるので全面同意はしかねますが、中国に対する厳しい視線が自由主義社会から向けられているのは間違いありません。

アメリカが中国との取引のある企業との取引を全面的に停止させる可能性も考えられます。クラウドピックはアメリカのインテルから出資を受けているそうです。そうなった場合にインテルはクラウドピックへの出資が不可能となり、手を引くでしょう。インテルは金銭的な損失は追うでしょうが、それで終了です。一方でダイエーはどうでしょう。組み込まれた無人店舗をもとに戻すのは非常に難しいと考えます。マニュアル対応出来るようになっているのでしょうか。あるいは全てのシステム開発を国産に切り替えられるようになっているのでしょうか。

ダイエーがこのリスクを承知していないとは考えにくいです。どのような目算でクラウドピックの技術を導入するのか興味があります。個人的に店舗の無人化は歓迎します。ダイエーの参入により試行錯誤が繰り返される店舗の無人化が加速するのは嬉しく思います。

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