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6月末でキャッシュレス・消費者還元事業が終了、キャッシュレス決済定着へ重要局面

2020年も気がつけば6月に突入しました。中国武漢市を発祥とする新型コロナウイルス感染症との戦いに間もなく半年を費やそうとしています。話題は感染症が中心となりがちですが、6月といえば1つ重要な節目を迎えるのを忘れていました。それは「キャッシュレス・消費者還元事業」の終了です。

還元策終了でキャッシュレス離れの恐れ

昨年10月の消費税増税をテコにしてキャッシュレス決済を普及させようという試みでした。その成果は実感できるほどに効果がありました。各決済事業者の激しいポイント還元競争に乗せられるように拡大し、ポイント還元競争が落ち着いた今はある程度の消費者に定着したように感じます。

6月末でのキャッシュレス・消費者還元事業の終了に伴って、「アフター還元策」とも言える局面に差し掛かります。徐々にキャッシュレス決済が浸透してきた現状はキャッシュレス推進派としては喜ばしい状態です。経産省からの補助が無くなる局面を乗り越えられるかが、日本にキャッシュレス決済を定着させられるかの瀬戸際ではないかと思っています。

ポイント還元終了は影響なし?

具体的に何が変わるかと言えば、影響が大きそうなのは2つ、消費者にとってのポイント還元の終了と、店舗にとっての決済手数料補助の終了です。

ポイント還元の終了については、消費者の立場としての実感としてはあまり影響がないような気がします。

ポイント還元は登録店舗によって2%ないし5%の還元を受けられるというものです。ところで、私達は買い物をする時にポイント還元率によって決めていたでしょうか。さほど気にしてなかったのではないかと思います。5%ポイント還元事業者であれば「ラッキー」程度ではなかったのではないでしょうか。

店舗にとっては当初は良い宣伝効果もあったかと思いますが、ポイント還元がなくなったところで競争優位性を失う事態にはならないと思います。

ただし、地味に家計を圧迫して全体的な消費が落ち込む恐れはあると思います。

決済手数料の補助終了が危険

私が問題だと考えるのは、決済手数料補助の終了です。

決済手数料とは店舗からクレジットカード会社などの決済事業者へ払う料金です。この手数料は日本では海外と比べて高いと言われていました。しかも手数料はブラックボックス化しており、事実か否かは分かりませんが、契約毎で手数料が決められているような噂話も目にしたことがあります。

同事業ではこの決済手数料へも補助を行っていました。その内容は、決済手数料を3・25%以下に抑えるという条件で、手数料の3分の1を国が補助するというものでした。この補助及び条件も6月末をもって終了します。

性善説で考えれば、各決済事業者が7月から手数料を引き上げるのはあまり考えられませんでした。決済事業者としても折角手に入れた顧客(=店舗)を手放す危険性があるからです。しかし、現在は値上げにあたって「コロナ不況」という後ろ盾を得ています。契約解除のリスクを取りながらも手数料を徐々に引き上げる可能性は捨てきれません。

決済事業者が決済手数料を引き上げてしまっては、店舗の負担を増やすばかりです。せっかく導入したキャッシュレス決済を終了する店舗が連鎖的に起きる可能性が出てきてしまいます。

「アフター還元策」に向けて経産省も追加対策

産経新聞の記事を目にして少し希望を持ちました。どうやら経産省は決済事業者の手数料情報を7月に公表する方針だそうです。

キャッシュレス決済に伴う政府のポイント還元制度で、増加したキャッシュレス対応店舗の定着と負担軽減のため、経済産業省がクレジットカード会社などキャッシュレス決済事業者の手数料情報を7月にもリスト化して公表する方針を固めたことが2日、分かった。キャッシュレスを導入した店舗からは、還元策が終了する6月末以降に手数料を引き上げられることへの懸念の声が上がっており、公表で決済事業者間の競争を促し、手数料の抑制を図る。
https://www.sankei.com/economy/news/200602/ecn2006020027-n1.html

先述の通り、日本でキャッシュレス決済が普及しにくかった理由は高額な手数料と、手数料の不透明性が1つの原因であると言われています。これに対して今後は手数料を透明化するという手を打つようです。これにより競争を発生させ、手数料の高騰の抑制を狙えます。ミニマムで打てる対策としては非常に良いと思います。

他にも経産省は還元事業後の対策に乗り出しているようです。課題としては他にも売上入金サイクルが長いことも挙げられています。6月10日に第1回の検討会が開かれるようです。

具体的にどのような対策が行われるのかは楽しみに待つしかありません。とりあえず産経新聞の報道のような対策を行うのであれば、斜め上の施策が飛び出すことはないのではないかと期待しています。

コロナ不況で各事業者による綱引きのような状態になりかねないと思います。一方で消費者心理としては衛生観念からキャッシュレス決済への機運は高まっている現状もあります。一度慣れたキャッシュレス決済ができなくなると不便さを感じやすくなるでしょう。経産省のお役人方々には頑張っていただき、キャッシュレス決済がこのまま定着し、今以上に普及する未来が来るのを望みます。

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