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「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」は痛快すぎて視聴者も登場人物も笑うしかない

アニメ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」(通称:防振り)を見たので感想文を書きます。創作物も積極的に触れていこうという一環です。今年の冬期のアニメの中で気になっていたので見てみました。多少のネタバレを含むので、気にされる方はここでこのページを閉じてください。

あらすじ

舞台はフルダイブのオンラインゲームが存在している現代です。主人公の楓(メイプル)は友人の理沙(サリー)に誘われてゲーム『NewWorld Online』をプレーすることになりました。

楓は天然な性格で、ゲーム開始時に主題の如く「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」と防御力とそれを活かせるスキル習得に邁進します。この極端なステータス設定(=極振り)やレアスキルを引き続けるプレーは運営の想定を超えてしまい、「化け物」と評される程の強いキャラクターへと成長してしまいます。

強すぎて痛快

戦闘物の物語であれば、主人公が強敵を倒しながら少しずつ成長していく話が王道かと思います。一方でこのアニメは主人公(=メイプル)が他のプレーヤーを差し置いて極端な成長を続けてしまいます。

異世界転生物で主人公が最初から最強級となっている設定の作品は見たことがあります。しかし、成長速度が極端に早い作品は私は新鮮でした。

作中にはライバルとなるプレーヤーが何人か登場します。彼らとの戦いでメイプルが追い込まれる場面もあるのですが、「これはまだ見せたくなかったんだよな」と言いながら強力なスキルを見せつけて瞬殺してしまいます。それまでの苦戦を強いられる描写が全て台無しです。でもそれが痛快でもあるのです。

日常系作品級の温かさ

優しい世界観もこの作品の魅力です。作中では人が不幸になる事件が起きません。現実世界の人命が脅かされたり、ゲーム内世界と現実世界の横断で生じるような人情劇もありません。突飛な事件も起きません。乱暴な態度をとる登場人物も悪役もいません。

誰もが「化け物」と化したメイプルの強さを認め、「次は勝つ」と言って笑顔で敗れていきます。最早どちらが主人公なのか分かりません。戦闘物異世界ファンタジーと見せかけながら、日常系作品も驚くほどの温かい世界です。

アニメは続編が制作されているようです。続きは原作を読めば分かるのでしょうが、主人公の強さがどこまでインフレし、作品としてどう起伏をつけてくるのか興味深いです。

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