「炎上」の間違い方

「廃棄前提おじさん」の話題の続きです。この話題はあらぬ方向に飛び火していきます。元となった投稿を「旅館の炎上マーケティング」だと指摘する根拠のない投稿がありました。この投稿を受けて旅館はそれを否定する文言をＷＥＢサイトに表示する事態に発展しています。

この指摘そのものが更に批判の的となりました。旅館にあらぬ悪評を被せようとしたのだから当然です。さらにこの者は「炎上できることは才能なんだ」と豪語しています。どうやら名前さえ売れれば誰を傷付けても構わないとお考えのようです。私は全く共感できません。

「炎上」というと語彙が広すぎます。私は炎上には２種類あると思います。「広く議論になる」「批判の的になる」の２種類です。

古い話ですが、コンビニの冷凍庫に入り込んでその様子をＳＮＳに投稿する事件がありました。この投稿はＳＮＳで広く拡散されてしまい、店側は冷凍庫内の在庫を廃棄して消毒する事態に至りました。投稿された行為は日本の法律や価値観から掛け離れた行為であり、批判の的となりました。

炎上で思い浮かべるのが堀江貴文氏です。堀江氏は短い表現で要点を話すので、極端な意見を述べているかのように見られがちです。例えば著書「東京改造計画２０２０」では「低用量ピルで女性の働き方改革」という見出しだけが切り出されて話題になっていました。しかし内容は女性の生理をタブー視せずに医学的知見を踏まえながら向き合うという趣旨の論理的な内容です。この件で低用量ピルについて学んだ方も少なくないと思います。広く議論になった内容でした。

都知事選挙にて立候補した後藤輝樹氏もある意味で炎上していました。都知事選挙というプラットフォームで許される極限を攻める活動は本質的な選挙戦に劣らないほどの話題となりました。小池一強と言われて興醒めとなっていた都知事選挙に別の確度から注目を浴びることで、選挙制度等に一石を投じる行為でした。

「広く議論になる」「批判の的になる」の違いは悪意をもって特定の誰かを傷つけているか否かです。単に批判の的になるような炎上は大抵の場合は犠牲者を生みます。そのような炎上は見ていても決して気持ちの良いものではありません。

悪名は無名に勝るとは言います。一方で悪名の影に多くの犠牲者を排出してしまうのであれば存在意義を疑います。例えば松本智津夫は有名な人物です。炎上できるのは才能だと言って嘘で人を傷つける行為は私は全く共感できません。