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「理由」さえ作ってもらえれば有給取得が捗る話

「推し休暇」なる職務規定が話題となっています。この場合の「推し」とは特別に好きなアイドルを差す時に使う単語です。アイドルファンの社長が作った制度で、「推し」のライブなどで休暇を取れるようになります。併せて卒業するなどの悲しいイベントが生じた際は慶弔休暇を取得できるという制度も作っており、独自性が話題を呼んでいます。

「推し休暇」という名称が独特な雰囲気を出していますが、実態は単なる有給休暇です。有給を使ってライブに行くのと何ら変わりはありません。しかし、そこに名前をつけてしまうあたりに面白さを感じます。

背景として、有給を取りづらい文化があるのかと思います。私も多くの会社で働いたわけではないので一般的な実態まで把握していませんが、有給取得は何となく遠慮してしまいます。そして最終的には余らせてしまいます。私も今月中に消滅する有給休暇が2日も余っており、どこでどう使うか、そもそも使ってる余裕があるのかを推し量っている次第です。

有給を取りづらい理由は幾つかあります。前向きな理由としては仕事が楽しいので休む理由がないというものです。割合的にどの程度いるのかは分かりませんが、好きな職業に就いている方は、仕事そのものが趣味みたいになっている場合があります。その楽しい仕事をあえて休もうという発想は持ちにくいと思います。

後ろ向きな理由としては「職場の雰囲気」として休みにくいというものがあります。遊びに行くために休むなんて許されないというブラックな職場もあるようです。上司に「お前が休んでる間は他の人がその分だけ多く働いているんだ」とか言われたら休みにくいですね。あるいは職場によっては休む理由を事細かに聞かれるなんてこともあるようです。その様な職場はたいてい手続きが複雑になってて上司に嫌がられるという事情があると聞いたことがあります。DXが進んだ今はどうなんでしょうか。

他には病気になったときの保険として保持しておきたいというのもあります。どうしても休まなければならないのが病気です。体調不良で休む場合に有給が残っていなければ欠勤扱いとなって給料から引かれてしまいます。誰しも年に1度は病気にかかると思います。あるいは高齢の両親や小さい子供を養っている方であれば、自身が健康でも突発的に休まなければならない事態も想定できます。その場合を想定して有給は消化しすぎないようにする必要が生じます。

何だかんだと事情があって、有給を取りづらいのが実態です。昨年から年間5日間の有給消化が義務付けられましたが、国が音頭を取って進めなければならないほどに根深い問題なんだと思います。

有給消化に必要なのは「理由」です。有給消化の義務化も絶好の「休む理由」となりました。これと同じ様に「休む理由」を提供してもらえると尚更に休みやすくなります。この点において「推し休暇」はとても合理的です。これが発展して有給取得のハードルが下がり、理由なく休む文化が醸成されると面白そうです。

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