見出し画像

「結婚新生活支援事業」は結婚を促進するための制度ではないかもしれない

昨日の記事で内閣府から新婚夫婦への補助金を引き上げるという内容について調べた内容を書きました。一見して地方創生と少子化対策の双方に効果がありそうな制度であり、上手く利用すれば悪くなさそうです。

悪くなさそうではありますが、結婚新生活支援事業の緩和が婚姻の促進に絶大な効果をもたらすとも思えません。なぜなら結婚を躊躇するのは一時的な金銭の問題だけではないからです。結婚を促すために何が必要でしょうか。この件は各個人の価値観や経済状況等で事情が異なるために一概には言えない内容になりますが、私の経験を元にして書きます。

私が結婚を決断するにあたって本当に必要だったのは経済的な安定でした。最も気にしたのは結婚相手の両親をはじめとした家族です。命より大切であろう娘の人生を左右する相手に、私がなるからです。不安を抱かせるような事をしては、私自身が生きづらくなってしまいます。

結婚相手との間は、お互いに信頼関係ができていればどんな身分でも問題なかったでしょう。例えば自分の収入が最低賃金のアルバイトだったとしても、お互いがそれに満足できれば十分です。結婚を意識しだした当時の自分は暗中模索のアルバイト生活でした。私はそれを相手の家族に示せなかったこともあり、結婚の提案を保留していました。

結果的に私は偶然にも恵まれてシステムエンジニアという職業を手にすることで、安定的な生活基盤を獲得できました。しかし「暗中模索状態」において一時的な補助金があったら結婚に踏み切れたかといえばそうは思いません。

そもそも同棲は生活費を安く抑える手段でもあります。引越し費用などが一時的に嵩んだとしても、数ヶ月で回収可能です。例えばお互いに家賃6万円のアパートに住んでたとします。その二人が9万円のアパートで同棲すれば、1ヶ月で3万円の節約になります。光熱費や食費も地味に抑えられるので節約効果はそれ以上だと思います。

同棲するにあたって必要な一時金の捻出すら難しいとなると、確かに結婚新生活支援事業が活きてきます。ところで、2人の力をして引越しの一時金を捻出できない経済状況とは如何程のものでしょうか。そもそも賃貸契約すら結べなかったり、家を買うなどもっての外な状態ではないかと察します。

一時的な補助金は有り難いと思いますが、それ以上にもそれ以下にもならない気がします。冒頭で『一見して地方創生と少子化対策の双方に効果がありそうな制度』と書きましたが、訂正します。この制度は結婚を促すよりも、地方自治体が新婚夫婦を誘致するためだけに効果的な制度なのかもしれません。内閣府は少子化対策の一環として行っているのでその様な意図は無いのでしょうが。

「結婚」やその先の「少子化対策」のためであれば、最も重要なのは安定した経済と、安定した雇用機会です。普通ですね。小手先の対策を否定するつもりはありません。月並の結論ではありますが、結局は正攻法しかないと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?