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マクドナルドのモバイルオーダーはただの便利サービスではなさそう

私としては待望のサービスでした。マクドナルドのモバイルオーダーです。

スマートフォンの専用アプリで注文をすると、席まで持ってきてくれるサービスです。注文の機械化は松屋などが行っている食券のシステムが古くからあります。マクドナルドはそれを進化させました。

とても便利そうだということで使ってみたのですが、体験してみると思った以上に深いサービスであると分かりました。

使ってみた

今日の昼食時に早速使ってみました。

アプリは昨晩のうちにインストールして、設定を済ませていました。インストール時の設定項目はメールアドレスとパスワードのみです。姓名の項目もありますが、正確性は不要そうだったので、偽名とかでも問題なさそうです。

初期設定に加えて決済用のクレジットカードを登録しました。私はKyashのカードを登録しました。Kyashは稀に決済に使えないことがあるのですが、モバイルオーダーは問題ありません。もちろん、1%のポイント還元もありました。

職場を出てマクドナルドへ向かう途中の信号待ちにて、モバイルオーダーのアプリを立ち上げて商品を選びました。この時にクーポンも選べたので、クーポン内のセット商品をひとつ選んで注文内容を確定させました。この時点ではまだ注文は入ってません。

マクドナルドに着いたら座席を確保します。その際、テーブルにモバイルオーダー用の番号が書かれたシールが貼られていました。アプリを立ち上げたら、店内で食べる選択肢を選び、そのシールの番号を入力します。そして登録されているクレジットカードで決済を済ませたら注文を完了できました。

昼時にも関わらず空いている時間帯だったので、モバイルの注文から3分程度で商品が届けられました。雨で客足が遠のいていたのもあったかと思います。

商品が届けられた際、単純に渡されるだけかと思っていました。しかし、「早速、モバイルオーダーのご利用ありがとうございます。操作は問題ありませんでしたか。」と尋ねられたのです。予想外のコミュニケーションが発生して驚いてしまいましたが、問題なかった旨を伝えて会話は終わりました。

店内に入ってから、とても円滑にハンバーガーにたどり着けました。

注文時のストレスが削減された

モバイルオーダーを利用してみたところ、店内での体験がかなり変わりました。最も変わったのが、注文時のストレスから開放された点です。

注文というのは意外と高度なコミュニケーションです。欲しい物を正確に伝え、正確に金銭のやり取りをしなければなりません。注文や決済の齟齬が発生しやすい場面です。食券制の飲食店はこのあたりを機械に任せることで軽減してますね。

注文時にもう一つストレスだったのが、注文列です。単純に並ぶだけでなく、マクドナルドはレジ毎に並ばせます。レジ毎に並ぶと、自分の後から並んだ別の列の人のほうが早く注文を済ませることがあります。前の人が複雑な注文をしていたり、不慣れな店員が担当だったりするとこれが起きます。この理不尽さが地味なストレスでした。

マクドナルドでモバイルオーダーをして、注文にどれほどのストレスを感じていたのかを改めて実感しました。

よくデザインされたアプリ

注文のストレスをバッサリと削減したのが専用の注文アプリです。アプリの使用感もとても素晴らしいものでした。余計な機能が付いておらず、迷うこと無く注文を進められます。

この手のアプリを作る際は機能を盛々と追加しがちです。よくあるのが広告としてのお知らせ機能です。プロダクトによっては、アプリを立ち上げてもらうためにちょっとしたゲームが備わっているものがあります。しかし、マクドナルドのモバイルオーダーはそれら注文とは関係ない機能がありません。

ありませんついでに言うと、楽天ポイントやdポイントの付与機能も有りません。消費者としては残念な点では有りますが、おそらく「体験」としてのモバイルオーダー全体をデザインした際に、機能性を優先して削減したのだと予想します。もちろん開発予算の問題もあったでしょう。

全体的にきれいに引き算されたデザインとなっており、とても利用しやすいものになっています。

店舗設備費用の削減

食券機のような端末も選択肢にあったかもしれない中で、「スマホアプリ」を基盤にしたのも重要な点だと思います。

スマホアプリにすることで、重要な処理はすべてインターネット上で完結します。これによって、店舗に導入するのは注文を受け取るためのバックヤードの仕組みとテーブルに貼るシールのみです。店舗の負担は最低限にしています。

店舗の導入コストを抑えたこともあって、いきなり全国展開できたのだと思います。

併せて将来的にはレジの削減と人員の削減も見込めます。店舗によっては削減したスペースを生かしてテーブルを追加できるかもしれません。

注文処理をインターネット上で完結させたことでシステムの保守性も上がります。サービス内容を更新する際は、オフィスにいるであろうエンジニアがシステムを更新するだけで済みます。各店舗に端末の保守作業に行く必要はありません。この点においてもよくデザインされたサービスだと思います。

店舗への設備投資が少なく、インターネットで完結させている点においてはQRコード決済の普及と同じ原理ですね。

逆に先鋭化された「スマイル0円」

私に商品を運んでくださった店員さんは「おもてなしリーダー」というそうです。今回記事に引用するに当たって冒頭のマクドナルドのランディングページを見て知りました。

マクドナルドといえば「スマイル0円」が有名です。笑顔での接客というのはマクドナルドのひとつの象徴でした。今回のモバイルオーダーでそれが無くなると思ってましたが、「おもてなしリーダー」の存在がそれを引き継いでいたのですね。横目で観察していると、私だけでなく色んなお客さんと笑顔で会話をしていました。引き継いでいたどころか、スマイル0円は先鋭化しています

モバイルオーダーで接客の機会を減らしつつ、接客の質を上げてるのですね。恐れ入りました。

モバイルオーダーは食券サービス化ではなかった

どうやらマクドナルドが導入した「モバイルオーダー」は顧客を満足させるだけの単純な便利サービスではなさそうです。

・注文時に発生するストレスの削減
・店舗毎の設備費用削減
・店員の接客の質の向上

これらの経営戦略的を一気に解決しています。最初にモバイルオーダーの導入を知ったときは「便利になる」としか思いませんでした。しかし体験してみると、裏にはマクドナルドのブランド価値全体を底上げする仕組みを感じられました。モバイルオーダーが普及した先の世界がどうなるのか楽しみです。


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