にじさんじと『さよなら絶望先生』の関連についての覚え書き

最近にじさんじにハマった(と毎度書いているが「最近」だと感じなくなるまで何度でも書くと思う)が、にじさんじと『さよなら絶望先生』の関わりがそこそこ多いことを知った。さよなら絶望先生は久米田康治原作の漫画で、3期に渡りアニメ化され、多数の関連楽曲もリリースされた人気作品。自分がもっとも影響を受けたマンガ・アニメ作品のひとつでもある。

その2つの接点を、後追いの自分がわかる範囲でまとめてみたい。本当はおそらく2年くらい前に書くべき内容の話なんだろうけど、いかんせん最近ハマった身なので仕方ない。


まずにじさんじ1期生であり、VTuber文化における「てぇてぇ」の起源とされる月ノ美兎と樋口楓の2人が共通して『さよなら絶望先生』を好んでいる。趣味趣向が正反対に近い二人の数少ない共通項だという。


2人はペアおよび彼女らを含むユニットでアニメ版の関連曲を複数回カバーしてきた。「絶望レストラン」の歌ってみたでは絶望先生風キャライラストを使用している。


3Dライブで(確か)アニメ本編で未使用の楽曲『かげろう』を歌っているあたりにディープなファンっぷりがうかがえる。


2019年当時連載中だった、久米田康治『かくしごと』の中ににじさんじのマークと樋口楓の相性「でろーん」の擬音が登場。小ネタを仕込むことに定評がある久米田先生のこと、間違いなく意図的なものだろう。


「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」でジョー・力一、月ノ美兎、樋口楓、鈴原るる、えるの5人で披露した『林檎もぎれビーム!』に対しては、オリジナルのボーカルである大槻ケンヂがブログで反応している。ライブのアーカイブは消えてしまったが「振り返り配信の切り抜き」らしきもので一部確認できる。(公式でないのでリンクは貼らない)。リアルタイムで見たかった……。なお後にジョー・力一が行った「大槻ケンヂ歌枠」(『人として軸がぶれている』をカバー)にも大槻ケンヂ本人がTwitterでリアクションしている。


「2020 にじさんじユニット歌謡祭」では月ノ美兎、樋口楓のペアで『豚のご飯』をカバー。絶望先生関連楽曲の中でも屈指の怪曲を熱唱している。


2020年に発表された月ノ美兎の新衣装を久米田康治がデザイン。さよなら絶望先生を意識したような和装となっている。


月ノ美兎1stアルバム『月の兎はヴァーチュアルの夢をみる』に収録の『浮遊感UFO』は作詞:大槻ケンヂ、作曲NARASAKIという絶望先生関連楽曲の多くを手掛けた布陣による制作。月ノ美兎の出演ラジオでその件に少し触れている。




以上が自分の知る限りのにじさんじとさよなら絶望先生の接点。ここからは個人的な感想と印象を。

『林檎もぎれビーム!』は「推しを推すこと」の熱狂や欺瞞やためらいや希望を歌った曲だ。当時は推しという言葉は無かったけれど。

その楽曲を、今やVTuber界における推しの対象の最大手となっているにじさんじのメンバーが、さよなら絶望先生のヒロインたちと同じような女子高校生の姿の者(達)が歌い上げたことに、深い感慨を覚えざるを得ない。今風に言えばエモい。10年以上前に撒かれた種が別の場所に実ったかたち。

林檎もぎれビームの歌詞が含意していたのは当時のアニメや声優業界のことだった。あるいは大槻ケンヂのバックボーンであるロックやオカルトに対する気持ちも含まれているのしれない。その歌詞が、最新のポップ・アイコンであるVTuberのこととしても同じように響き心に刺さる。そのことにアートが持つ力を感じる。


絶望先生のアニメには「さよなら絶望放送」というアニラジがあった。深夜ラジオをアニラジで再現したような独特のノリが好評を博し、アニメ終了後も数年継続、リアルイベントを複数開催するほどの人気があった。

そこでの「パーソナリティーやゲストの声優をキャラ付けし世界観を広げていく展開」とそのインターネットでの受容には、今のVTuberの「箱」の文化に通じるものをほんのすこーし感じていたりする。

ちなみに絶望放送の常連だったハガキ職人の名前を、にじさんじライバーによるラジオ「舞元力一」でも何度か聴いたことがある。もちろん同一人物かどうかは不明だけれど。

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