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読書振り返り・7月編(大魔境の冒険)

7月からは元々noteに記録を残していたから、多少楽だぞ!よーし、7月……わあ……大魔境……。

今回もさくさく振り返ります。

7月

読んだ順番は、右下始まり、左上終わりです。(他の月も)

つまり、
恋愛小説→ミステリー→ホラー→コメディ→哲学→青春
です。

特に変な絵→近畿地方は死にました。
なお、読書家の皆様は「え?7月に近畿地方?」とお思いになるかもしれません。この時は『カクヨム』での連載版を読ませていただきました。(その後に本が出版されそれも買った)

では、振り返りましょう。

■アパートたまゆら/砂村かいり
→有り体に言ってしまえば、女に都合のいい女性向けの恋愛小説です。ひたすら気持ちよくなれます。ええ。なんかもう、夢しか詰まってないです。
これ男性が読んだら「こんな都合のいい男(しかも2人も)」いねえよ……としか思わないかもしれませんが、そもそもそういう作品なのでその感想であってると思います。あと、ちょっぴりえっちです。
でもさあ、私さあ、当て馬くんのほうが好み……

■変な絵/雨穴
→ジャンルとしてはミステリー(もしくはヒトコワ系ホラー)なんですけど、読んでいるときのゾワゾワ感は完全に幽霊もののホラーです。複数の絵を題材にした短編が、最終的にひとつの謎を解明するのに繋がるお話。
変な家と比べるとその辺の構成が格段にレベルアップしていて、「変な絵の方が好き」という感想が散見されるのもうなずけます。
出てくる絵がね……なんか絶妙に怖いんですよね……。凝視できない。怖い。

読後、こわい、こわいよお……と思っていたのに、そのまま何故か今年のホラー小説界を最も賑わせた↓に続けて手を出したのです。

■近畿地方のある場所について/背筋
→冒頭に書いた通り『カクヨム』で読みました。このときは書籍化されるなんて知らなかった。
ただ、内容が『ネットの書き込みや雑誌記事などを集めたモキュメンタリーホラー』なので、そういう意味ではまずウェブ小説で読めて良かったなと思います。
中身は……怖い。一つ一つのエピソードはものすごく怖いものから大したことのないものまで色々ですが、明らかに読者をどこかに誘導しようとしているような、そういう意図が端々から感じられて、読んでいるだけで『そばに何かいる』気分に。
なお、変な絵→近畿地方~を1日で読んだその日、私はとてもえぐい夢を見ました。もう忘れましたけど……わりと悪夢ばかり見る人なので耐性はあるはずなんですが、それでもえぐかったことは覚えています。

私――見つけちゃったのかもしれませんね。

怖すぎる……となった私、コメディで心をととのえる事にしました。

■猫の診察で思いがけないすれ違いの末、みんな小刻みに震えました/やーこ
→これ、小刻みに震えるどころじゃねえんだ。一番震えたのがこの章。

『皆を撮影したら恐ろしい物が写り集団パニックを経験した話』

 曲を止め、録画を皆で確認する事となった。再生ボタンを押すと、そこには無表情で揺れ動く不気味な集団が映し出された。
 地獄のかまど付近で鰹節をばら撒いたら、このような動きを見せる事だろう。
(中略)
 ふと、誰かが画面を指さした。
 そこには、頭の良い橋本君がひっそりと画面の端で左右に揺れ動いている様が映っていた。
 それは春風にそよぐ花のような動きであった。 地獄に咲いた一輪の花のようですね、と呟くと先生の顔はどんどん紅潮していった。

『猫の診察で思いがけないすれ違いの末、みんな小刻みに震えました』より

まあ、なんておそろしい光景でしょう……。知っていて読み返してるのに小刻みに震えてしまう。
おそろしいおそろしい……この後さらにおそろしい発言が待っています。
というか作者さんの日本語のセンスが毎行神がかっててやばい。震える。震えない人は人間じゃないと思う。

■ハイデガー『存在と時間』入門/轟孝夫
→入門?嘘だろ。4割しか理解していません。
でも、理解できるところはすごく腑に落ちるというか、色んな『説明しづらかった感覚』が言葉にされているなって思いました。

例えば『恐れ』と『不安』は何が違うのかの章。

(一)不安の「直面しているもの」は「世界‐内‐存在そのもの」である(SZ, 186)。先ほど確認したように、不安の対象は恐れの対象とは異なり、世界内に現れる事物ではない。したがって不安において脅威を与えているものは、ある具体的な有害性をもった存在者ではなく、その意味において、不特定のものである。
 では不安は何に直面して不安がっているのかといえば、今も述べたように、「世界‐内‐存在そのもの」に対してである。つまり不安においては、自己の存在そのものがあらわになっているのである。
 不安においては、もっぱらおのれ自身の存在能力そのものが問題になっている。

『ハイデガー『存在と時間』入門』より

恐れ、は自然災害など実際に存在するものに大して抱くものだけど、『不安』は規定された『普通』から自分自身の意思で離れなければいけなくなったときの感じるもの(意訳)。
↑の意訳だけで理解できる内容じゃないんですけど(というか一般的な意味じゃない単語が大量に出てくるので全文読んでもらわないとなんともなんですけど)だいたいこんな感じ。わかるーってなりました。
めちゃくちゃ読むのは大変ですが、一生に一度は目を通しておきたい本かもしれません。そして、そのうち『存在と時間』の本物を……本物……読めるかな……。

■青少年のための小説入門/久保寺健彦
→タイトル通りです。読み書きができない『ディスレクシア』の青年と、文才があるわけでもものすごく頭がいい訳でもない少年のコンビが、小説家を目指す話。青年はちょっとヤンキーというかアングラ系、少年はいたって普通なので凸凹コンビものとも言えます。
小説家になるために大量の本の『分析』をするのが凄い。ストーリーも文章も分解して分解して分解して……こんなふうに小説を読んだことがなかったです。読書好きにも、読書苦手にもオススメ。ただし、ストーリーは結構重いというか辛いシーンも多いので、『爽やか青春サクセスストーリー!』をイメージして読むと死にたくなります。


7月は以上です!明日までに12月まで終わるのか!?

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