2022.12.×× MROK

のれんを上げながら、「じゃあ、また!」と、
店主と挨拶を交わし、
オッチャンが店から出てくる。
目の前をとぼとぼと歩く。いや、千鳥足だ。

ふらふら、ふらふら。

一度降った雪が少し溶けて固まった氷に、
今日、また雪が降った。
北国田舎民なら分かる、一番タチの悪い路面。
オッチャンは今にも足をとられそうだ。
その姿がどこか滑稽で、
思わず、マスクの下の口元が緩む。

ふらふら、ふらふら。

自分も足を取られないように、ゆっくりと。
それでいて
千鳥足のオッチャンより遅れてたまるかと、
少し足早に、彼を追い越す。

ふわっと、お酒の香りがした。




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