PGF、MGFを求める会

 PGF(確率母関数)やMGF(積率母関数)は、n階微分することでそれぞれn次階乗モーメント、n次モーメントが求まる、という死ぬほどありがたい関数です。今回、授業で扱った全ての関数でPGF、MGFを導出したくなったので実行します。MGFはモーメントを求めるだけでなく、確率密度関数と一意に対応する、という便利な性質もあって、証明で使えるとかっこいいので追って取り上げます。

<目次>
1.ベルヌーイ分布
2.二項分布
3.負の二項分布
4.幾何分布
5.ポアソン分布(例題)(例題)
6.正規分布
7.ガンマ分布(例題)


1,2.ベルヌーイ分布、二項分布

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 まあこれはね。二項分布ではベルヌーイ試行のn回繰り返しと捉えてもよし、二項定理の式が見えればそこからダイレクトで求めてもよし。


3.負の二項分布

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 確率密度関数は-1を忘れないように。成功回数はrだけど最後の一回は成功で終わるので組み合わせが問題になるのはx+r-1回。
 PGFに関しては1行目から「一般二項定理により」っていう呪文を唱えて最後に飛んでもいいけど授業では上のような全確率1の性質を使った方法が紹介された。こんなん思いつかんわ。


4.幾何分布

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 初項p、公比s(1-p)の幾何級数より。


5. ポアソン分布

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 テイラー級数の存在に気付ければ終わり。ところでMGFを知っていると再生性の証明や中心極限定理の証明がスムーズに終わる。例として統計検定1級2017年統計数理の問3(3)(4)を挙げる。

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 これ、(2)でMGFを求めてからの(3) でこの問題だったのでMGFを導出なしで使って良いとすると答案は相当短くなる。

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 さすが(4)というか、初見では厳しい問題だった。モーメント母関数の対数変換(キュムラント母関数)を思いつくかどうか。


6.正規分布

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  MGFは若干途中式を端折ったけど要するに平方完成して全確率1になるように頑張った、ということ。正規分布のMGFは結果を知ってることは大事だけど導出はただのゴリゴリ計算だから実は出ないってどっかに書いてあった気がする。ポアソン分布やガンマ分布のMGFはよく導出させられる、だとか。


7.ガンマ関数

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 MGFは2行目から3行目の変形がテクニカル。優しいので積分計算もめっちゃ丁寧に書いた。
 この積分、ガンマ分布が特殊ケースが多いせいで色々な場面で使うので導出だけでなく結果を覚えておくべき。例えば次のような例題。

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本当は時短も考えれば(1)から最後から2行目まで飛ぶべき。念の為くどく導出した。

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