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東京ラブストーリー(本家)の感想

2日間で東京ラブストーリー(本家)の全11話を観終えた。土曜深夜3時半までみた後に、日曜朝9時台にしっかり起きて続きを観始めるというストイックな視聴短距離走だった。週末の大半をなんて不毛なことに使っているんだと思う意識高めの自分と、いや紛れもなく名作ではあったので時間を使う価値はあったと納得する自分が混在している。

まず、観始めた経緯としては、Amazon Prime Videoで配信されている東京ラブストーリー(現代版)を直近で2人の友人(正確には2組の友人カップル)に勧められたことがキッカケだった。SUITS(本家)をひたすら惰性で観続けるという視聴生活を最近は送っていたので、なかなか乗り気でなかったが、つべこべ言わずまず第1話を観始めた。

最初にヒロインと思わしき女性のベッドシーンが流れる。上京してきた主人公が出てくる。どこぞやのバーにいるオーバーサイズの派手な柄シャツをきた同郷の友人と電話で話をして、もう1人同郷の女の子を交えた3人で飲み屋に集まる。ここまでで何故か飽きがきて、一時停止をした。

Fire stick TVのリモコンを操作して、番組選択画面に戻る。「東京ラブストーリー」と調べているので、当然隣には本家が表示されている。

「このサムネイルの男は、織田裕二のように見えるぞ?」

恥ずかしながら、東京ラブストーリーの主役が織田裕二であることすら、僕は知らなかった。織田裕二が主演の映画やドラマもほとんど観たことがない。踊る大捜査線も全く観たことはない。世界陸上を観たことはもちろんあるので、そちらのイメージが強い。後は、モノマネされているイメージくらいだ。

織田裕二に縁もゆかりもない僕だが、「著名なトレンディドラマを観てみよう」という閃きを信じ、Fire stick TVのリモコンの決定ボタンを押したのだ。この瞬間、引き返す道のない、2日間にわたる東京ラブストーリー視聴短距離走が始まったのである。

ここまで書いてきて、全11話の感想をこのペースで細部まで振り返ると数時間かかってしまうことに気づいたため、特に印象に残っていることを3つのテーマに絞って感想を述べたい。ストーリーや登場人物や名シーンを紹介するのではなく、ただただ感想である。まだ観たことのない人にとっては少しだけネタバレになってしまうかもしれない。

1. 主題歌とOP映像でほぼ勝ちが確定している

こちらのドラマの主題歌はかの有名な小田和正の「ラブストーリーは突然に」である。確か当時シングルで200万枚以上売れて、歴代ランキングでも上位だったと思う。どの世代も一度は聴いたことあるような名曲であろう。第1話を観始めて最初の5分程度で、夕陽をバックにした男女のシルエットと「東京ラブストーリー」といったタイトルが出てきて、あのイントロが流れる。名曲と共に、僕たち世代が何となくイメージする「トレンディ」なOP映像が流れる。王道トレンディへの期待感をしっかりと高めてくれる。駐車場から三上(江口洋介)がスポーツカーで出てくる部分では、この髪型とファッションで現代でも圧倒的に通用するカッコ良さを目の当たりにして、軽い衝撃を受ける。

また、話が後半に進むにつれて、主人公のカンチ(織田裕二)の相当に首を傾げたくなるような言動が増え、1つ1つにツッコミを入れるとキリがなくなる&疲れるところなのだが、見せ場で「ラブストーリーは突然に」が流れると、名曲すぎて「まぁいいか」と脳内が基本的には丸く収まってしまうのだ。主題歌の持つパワーが凄まじい。

2. 登場人物の性格が良いので安心して観ることができる

時代を超えて観られる作品にはいくつかタイプがあって、「安心して観ることができる」もそのうちの1つではないのかと思う。僕にとってはオレンジデイズなどがまさにそうだ。

主にカンチと関口の精神年齢が幼すぎて(他の人物とのギャップが社会人と中学生くらいはある)、おそらく昔も今も視聴者はイラついてきたのだろうが、総じて登場人物の性格は良い。観ながら展開にドキドキして不必要に疲れたり、嫌な気持ちになったりはしない。男たちが泥沼でヒロインを取り合ったり、泥棒猫が友達の彼氏を寝とったり、主人公が不慮の事故で死んだり、ヒロインが暴漢に襲われたり...etc.といった事柄は起こらないので安心して欲しい。

ただただ、主要登場人物である男2名・女2名のうちの半分が社会人、半分が中学生の精神年齢であることが原因で、浮き沈みと気持ちのすれ違いが多発する恋愛模様がトレンディに描かれた作品である。

ヒロイン・リカ(鈴木保奈美)はとてもキュートで自立しているし、後述するが三上(江口洋介)は尋常ではなくカッコいい。主人公・カンチ(織田裕二)と関口(有森也実)は基本的にはこの2名に救われるような構図になっている。あくまで救われる側なのでその関係に軋轢や反逆といったものは大して無い。成長も大して無い。カンチに出来ることは、異常にスローな思考スピードで考えた結果、リカを全力疾走で追いかけることくらいである。

ただ、繰り返すが、性格はみんな良いので安心して観ることができる。カンチと三上の男の友情も厚く、素晴らしく描かれている。殴り合ってもすぐ笑顔で仲直りである。

3. 三上役の江口洋介がとにかくカッコいい

白い巨塔での里見先生のイメージと、森高千里(美しい)の旦那といったイメージしか無かったので、ここまでカッコいいことには衝撃を受けた。遊び人のキャラ設定だが、自分の感情や欲望をストレートに表現しながらも、心に繊細さや不器用さを併せ持っている。

男女共に、接し方と相手を見つめる眼差しに優しさがあふれている。女性に対しては、どんな手を使ってでも寝ようとする下品さはなく、ストレートに寝たいと言えるような自分への自信と相手の感情へのリスペクトがある。好きな人へは、感情の制御が効かずに傷つけてしまうこともあるが、すぐに非を認めて言動に示して相手に伝える努力をする。男性(親友であるカンチ)に対しても、自らの利益のためではなく、心から相手の身を案じて言葉を投げかける懐の深さがある。

これらは、単に役のキャラ設定や脚本のみによるところではなく、江口洋介の演技力や人柄によるものではないのかと感じる。

言わずもがな、身長185センチのスタイルもあり、ビジュアルも抜群にカッコいい。あの長髪と肩パッドの入ったジャケットを着ていながら、恐ろしいことだ。

まだまだ書きたいことは多々あるが、だいぶ疲れてきたので、この辺りにしたい。全話みるためにはだいぶ体力が必要で、豚骨ラーメンを汁まで飲み干した後のような胃もたれも伴うので、今後観返すことはなかなか無いとは思うが、改めて紛れもない名作ではあったと思う。


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