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どこかでたゆたう女の頭の中。
「嫌な思いをさせてしまってごめん」 と恋人が言った。 嫌な思いをしたんじゃない。 悲しかった。 傷ついた。 一丁前に。 嫌な思いって嫌悪だったり不愉快って事でしょう。 私の心の痛みをそんな言葉で片付けないでほしい。 「シンプルに傷ついたって言えばわかる?」 恋人は絶句した後、再度キチンと謝ってきた。 でも、はいそうですかともならず即時に根本的な解決ができる内容でもない。 話は平行線だ。 「ごめんなさい」のあと 私はどう振る舞えばいいのか未だにわからな
人に本音を話すのが苦手だ。 ねじ曲がった価値観と虚栄心を抱えている自分の中身を知っているから。 かと言って、内に留めておくこともできないからつらつらと吐き出す場所を求めてきた結果がこれだ。 幼い頃は「こころ」という臓器があると本気で信じていた。 悲しくなるとたしかに軋む胸。 込み上げてきてはつかえてとれない澱。 今も消化しきれないもやもやを抱えて心の中はざらついて澱んでいる。 怒りや悲しみを言葉に乗せて口から吐き出すのが苦手だ。 いつも笑ってニコニコしている自分
産まれた時、私は刺されかけたらしい。 らしいというのはもちろん覚えていないからだ。 私の種であった人が、私を疎ましがったからだと聞かされた。 記憶にないこのことも原因か、私は血を愛せない。 母親も、兄弟も、祖父母も。 皆疎ましく、ただ血の繋がった他人。 それは腹を痛めて産んだ我が子にも言えて、我が子が高熱で寝込んだとしても「かわってやりたい」とは思わなかった。 あなたはあなた。私は私。というスタンスで共に生きてきた。 血を愛せない女が他人を愛せるはずもなく離婚
人生30余年。 これだけ生きればある程度の苦味も甘みもかじっている。 そんな私の、どこかふわふわとした頭の中を書き留めていく。