檻。
人に本音を話すのが苦手だ。
ねじ曲がった価値観と虚栄心を抱えている自分の中身を知っているから。
かと言って、内に留めておくこともできないからつらつらと吐き出す場所を求めてきた結果がこれだ。
幼い頃は「こころ」という臓器があると本気で信じていた。
悲しくなるとたしかに軋む胸。
込み上げてきてはつかえてとれない澱。
今も消化しきれないもやもやを抱えて心の中はざらついて澱んでいる。
怒りや悲しみを言葉に乗せて口から吐き出すのが苦手だ。
いつも笑ってニコニコしている自分を作って生きている。
すぐに泣く自分が嫌いだ。
泣いたって一円にもならない。
話すべき相手がいるのに
お互い話を切り出さないこの空間が嫌いだ。
意味もなく過ぎていく時間が勿体無いから。
私はワタシを心の檻で飼っている。
苦しみ嫉みを餌に大きくなり過ぎたソレは
自分の手に余って中から私に喰らいつこうとしている。
こんな夜が嫌いだ。
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