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Rush誕生からLibalent Vertex優勝までのCall of Duty esportsシーン体験記

初めまして。R1CHARDと申します。
この記事では
・ファンとして私がやったこと
・なぜ、Libalent vertexは優勝できたのか?
・Rushの軌跡
などをプロリーグ発足前から時系列的に主観で書いていきます。
技術、戦略的なことについては一切触れません。
平たく言えば、ただの感想、日記みたいなもんです。
お付き合いいただければ幸いです。

簡単に自己紹介

まず始めに、私はCall of Duty: Advanced Warfare(2014)の頃からCoDをプレイし始めたCoDファンであり、私はesportsプレイヤーではありません。
「esportsルールの観戦を含めたのCoD」のファンの一人である。
またYouTubeにてCoDのゾンビモードの動画投稿を行なっています。


SCARZ一強〜カウンターとしてのRush

私が初めてesportsルールのCoDを観るきっかけになったのはCoD:BO3の頃に「 Rush esports部門」なるものが出来た頃からだったように記憶している。
「SCARZ」一強だった当時のesportsシーンにおいて「Rush」という名を冠したチームのカウンターとしての存在は強烈だった。
現在でもYouTubeのCoD界隈でトップを走るHASESHIN氏をアンバサダーとしてCoDのesportsルールの競技シーンそのものの普及活動をしっかり行っていく彼らの活動の姿勢に非常に共感した。
当時の日本では競技シーン(主にCyACの大会)自体は存在したものの、esportsルールはメジャーではなく、「S&D 5vs5」(俗にいう「縛りサーチ」)など、日本独自の競技ルールの方が人気があった
同じくBO3期の「S&D SR 2vs2」はカジュアルなルールとして非常に流行し、現在のプロシーンで活躍する選手達も数多く参戦していた。
ちなみに上記のルール制定や大会運営、大会の実況などで、プロ対抗戦にて実況を務めたk4sen氏が絶対に外せない人物であったことを補足しておく。またプロ対抗戦で解説を務めた鈴木 ノリアキ氏は「SCARZ CoD」の発起人であり、彼無くして今のesportsシーン無しという事も加えて補足しておく。(プロ対抗戦Day1当時はまだSCARZのマネージャーだったため解説不参加)

話を戻すと、当時の日本の競技シーンには様々なルールが存在し、プレイヤーが分散しており、その中でもesportsルールは盛り上がりに欠けていた、という事だ。
その後もRushは広報活動を行いつつ力をつけ、CoD:IWの「CyAC Japan e-Sports Championship 2017」にて遂にSCARZに勝利、後日行われたTGSでの『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』 TGS2017 頂上決戦でも勝利している。
まさに「時代が動いた」瞬間であった。

プロ時代、到来〜闘会議2018


その後、シーンは大きく動き出す。
2018年2月に行われたイベント「闘会議」。その開催に合わせ「日本eスポーツ連合(JeSU)」なる組織が発足した。
それまで日本では海外のように高額な賞金を出す大会を開催するのは景表法により不可能とされていた。
更にはCall of Dutyの販売元であるActivision Blizzardが開催する世界大会「Call of Duty World League」(来期の賞金総額約6.7億円)に日本は参加する権利を持っていなかった。年々加速する海外の盛り上がりとは裏腹に日本のCoD esportsは鎖国状態だった。(来シーズンより日本も正式に参加可能)

※参考 CoD:BO4:eスポーツルールは5vs5フォーマットに変更、全6回のオフライン大会が行われ賞金総額は600万ドルに

要はそれまで日本でCoDのプロゲーマーになったところでそれがビジネスとして成り立つ保証は全く無かったわけだ。(今でも保証はないが当時はもっと絶望的だった)
そんな状況下でずっと草の根的な活動を続けてきたRushには本当にリスペクトを送りたい。彼らの活動無くして今のシーンの盛り上がりはありえなかっただろう。

話を戻すが、闘会議にて「コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦」(2日間のトーナメント)なるものの開催がアナウンスされ、元よりプロチームであったSCARZ、そしてその数ヶ月前にWekidsよりスポンサードを受け正式にプロチームになったRush Gaming、それに加えDetonatioN Gaming(以降DNG)、CYCLOPS athlete gamingの参加が発表された。彼らにはJeSU公認プロライセンスが発行され、日本で初めて賞金総額1000万円のCoDの大会が開催されることになった
そして大会の副賞が「Call of Duty World Leagueアナハイム大会への参加権」であることが発表となった。
数ヶ月前まで夢のまた夢だった事が一斉に実現したような、とんでもない変革だったように思う。
CoDのesportsルールをきっかけにesportsについても多少詳しくなっていた自分は、先の見えないシーンで奮闘し続ける若者達の未来に多少の光は射したのかな、と嬉しく思った。

肝心の試合の方はというと、闘会議の少し前に行われたCoD:WW2では初めての注目される大会「CyAC CoD:WWII CyAC e-Sports Rule Tournament」にて決勝でRushを倒して優勝した「vAv」がそのままDetonatioN Gamingに吸収される形で参戦ということで注目していたが、結果はRushが圧倒的な強さで優勝した

この闘会議を機に、他のゲームでも続々と「プロゲーマー」というものが誕生し、露出し、注目されるようになった。
そしてこの大会を機にそれまでバラバラだった日本のCoDの競技シーンもesportsルールに1本化されていったように思う。
今までesportsルールに興味がなかったCoDプレイヤーに目を向けさせるには十分な影響力があったように思う。


Libalent Vertexとの出会い


そして遂に先日まで約半年に渡り行われた「コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦(リーグ戦)」の開催がアナウンスされた。
先の4チームに加え、Libalent Vertex(以降LV)、SunSisterの参加が発表された。
この時、私は1つ心に決めたことがあった。それは

もうRushの応援はやめよう

という事だった。

SCARZに対してのカウンターという存在から、プロ日本一、夢だったCWLへの参戦、何より圧倒的なファンベース。私の中でのRushはもう完成されたチームだった。
半年間に及ぶプロ対抗戦の中でRushが優勝候補であることは明白だった。
優勝候補のチームをひいき目にダラっと見るより、1つのチームにフォーカスしてそのチームの成長を追う方が大会をより楽しめるのではないかと考えた。(結果として非常に正しかった)
どのチームを応援すると楽しめそうか?と私は考え、選んだチームは「Libalent Vertex」だった。
まさか本当に優勝してしまうとは(笑)

なぜLVを応援しようと決めたかはいくつか理由がある。
まず私は「スプラトゥーン2」というゲームをプレイしており、そのプロシーンにおいて「Libalent Calamari」というチームを応援していたからである。Libalentというチームに馴染みがあったのだ。
更に深く掘り下げると、カラマリには2438学園という選手がいる。
彼は吉本所属のお笑い芸人で「裏切りマンキーコング」というコンビで活動しており、スプラトゥーンの動画をほぼ毎日アップしている。別ゲーの配信も高い頻度で行なっている。私は彼らの視聴者でもあった。
また、彼らは同じ吉本のゲーム好き芸人達と「ゲー人ギルド」なるユニット?のような活動をしており、その内の1人がLVのデータアナリストでもあるJapanese小池氏であった。
またLVはNicochaaaaaaaann選手というSCARZ時代から名の知れた選手を擁していた事もあり前身のAcEM時代から注目されていた。
またプロ昇格が発表される寸前に私のCoDゾンビの動画を介してマネージャーのEVA氏と交流があった事も大きかった。
そんな感じでLVを推しチームとし私のプロ対抗戦は開幕した。

ファンを意識させる


Day1に関して言えば、私も含めどんな大会でどんなチームが出てくるのかよくわからない、手探りの状態だった。
推すとは言っても、ただ画面を見ながら「頑張れー」と思っているだけだった。
そしてやはりRushの輝き方は尋常ではなかった。王者の風格さえも纏い、まさにプロゲーマーといった感じだった。
Rushは明らかに場慣れしていたし、他のチームが持っていないであろう「見られている意識」が圧倒的に違ったように思う。実際に彼らは応援してくれるファンの存在を動画の再生数やコメント、twitter、何よりTGSや闘会議のオフラインの現場で認識しているし、「esportsルールのファン=ほぼRushのファン」といってもいいような状況だったように思う。(この辺りに関してはWekidsのマネジメントや施策が本当に素晴らしかった)

これでは面白くないと思った。
プロ対抗戦が面白くならないと思った。
Day2から私は行動をした。
とにかく、選手やチームのツイートにリプライをしたりリツイートをしたりいいねを押したり、「#LVWIN」という運営が推すハッシュタグをつけてツイートをしたり、しまくった。
ただそれだけ。

少し話は逸れるかも知れないが、私は過去にバンド活動をしていた。バンドにとってライブやイベントの告知などSNSで発信することは非常に多く、ファンとのコミュニケーションツールの1つとなっている。
リアクションなど全くない無名の時代を経て、応援してくれるファンがいるというのは本当にありがたいもので、ファンが沢山ライブに来てくれれば当然気合も入るものだ。仮にSNSがなかったとしてもバンドであればライブのリアクションや物販の売れ行き、ライブの動員などでファンの存在や自分たちの(人気的な)成長は感じることができるが、YouTubeでの動画の再生数などでそれができる選手以外は、大会の視聴者が何万人いようが、自分たちを応援してくれているファンなんてものがどれだけいるかなんて、なかなか実感できる場はないように思った。
であるならばまだファンの存在を意識できていない選手達に「LVWIN!」と声を届けることは意味のあることに思えた。
選手達に「見られている意識」を植え付ける為に自分もやれることをやろう。そう思った。そして感化されて「自分も発信しよう」と思う人が少しでも増えるように意識した。

Day2でのLVは戦績こそまだパッとせずだったが、ロスター変更があったりする中でもチームの雰囲気は外から見ていても良さそうだったし、運営もファンベースを頑張って築こうとしているのが伺えた。
私も頑張って応援しようと思った。

リーグが動いたDay3


Day3でLVは単独首位だったRush相手になんと配信外試合で3-0で勝利。配信試合もSCARZに3-0で勝利し一気に2位浮上となる。
丁度Day2とDay3の間には前述した「CWLアナハイム大会」があり、RushはもちろんのことDNG、SCARZも色々あって自費ながら出場できることになった。
この3チームは海外遠征を経験してきており色々あったのだろうが結果から言うとRush、DNG独走状態かと思われたリーグの状況が一気に変わった。
あのRushが決勝に行けない可能性がバリバリに出てきた。
一気に面白くなってきた。
この辺になると各チームや選手の個性なんかも見えてきて、LVに関してもNicochaaaaaaaann選手以外の選手にも注目が集まるようになってきたように思う。

Day4でも状況は変わらず、RushとLVは同点2位のまま、直接対決の結果LVが一応上の順位という形だった。DNGの決勝進出はほぼ磐石となり、Day5の見所としてはRushとLV、どちらがTGSに行くのか、という点だった。(と思う)

環境とメンタル


そしてDay4終了後に、Day5は観客を入れての開催になることが発表された。
このDay4とDay5の間にLVは秋葉原にてファンミーティングを開催する。(私も参加した)
前述しているようにRushの強さの一つにファンの存在があるように、Day5の前に自分たちを応援してくれているファンの存在を自分の目で認識し、交流する機会があったことは後の観覧ありの試合においてプラスになったと思われる。
実際に平日(火曜日)の夕方5時にどれだけ人が集まるのかと私も相当に不安だったのだが、当日は数十名のファンで会場は埋め尽くされた。


Day5は予定通り観客を入れて開催されたが、当日の配信外試合でRushが負けてしまった為、LVのTGS行きがかなり濃厚な状態で観覧試合(配信試合)はスタートした。(私も現地観戦した)
実際に観覧試合の第1試合だったLVは勝利してRush vs DNG戦を待たずしてTGS行きを決めた

そして、Rushは、DNGに勝利した。

RushはDay4を終えた時点で2名のロスター変更を余儀なくされた。
 海外遠征後は不調が続き、TGSに行けるかどうかの瀬戸際まで追い詰められたチームは崩壊した。
IW期にSCARZを倒す前あたりからチームの連携を武器として不動のメンバーで戦ってきたRushにはリザーブのメンバーもおらず、何とかギリギリ欠場は免れたレベルのタイミングでの選手補充となった。
今までの武器であった連携力も失ってしまったRushは結果として配信外試合でSCARZに敗北した。

ロスター変更後のRushと、単独首位でリーグを終えたDNGの戦力差は誰が見ても明らかだった。
だが観覧試合でDNGにRushは勝利した。
1番の要因はやはり「ファンの存在」だろうと推測する。
当日のRushファン陣営の存在感は凄く、Rushの好プレーの度に会場は湧き上がった。
もちろん「もうTGSには行けない」という事実が選手達をプレッシャーから解放したことも大きな要因として考えられるが、大勢のファンが会場に駆けつけ、応援してくれることに対して「ファンに勝利を届けたい」という純粋な気持ちがもたらした勝利に思えた。
失うものは何もないと言わんばかりにファンと一丸となり襲いかかるRush陣営を前に、1位通過が確定しているDNGには、寄りかかるものがもう無かった。(のではないか)

実際に試合終了後にファンとの記念撮影などをチーム掛りで行なっていたチームはRushとLVだけだったと記憶している。(把握できていないだけだったら申し訳ない)
間違いなくそれぞれのチームを応援しているファンは一定数いるのだろうが、結果としてシーズン中にそれらのファンを「団結、応援団化」することに成功したのはRush以外にはLVだけだった、ということもLVの優勝の大きな要因なのかもしれない。


あとはTGSでの決勝となるわけだが、大体言いたいことはもう書いてしまった。
LVは3-0で勝利し、優勝を果たした。
事前にSIEが行なったアンケートでは約7割がDNGが勝つと予想していた。
実際の実力や今までの試合結果などを見れば、まぁ妥当だなと私も思う。

またTGS前にLV運営はTGS応援用とした限定デザインのTシャツを販売して実際に当日会場ではそのTシャツを着たファンを多く目撃した。
ここでもまたLV運営はファンの可視化、団結といった部分の施策を怠らなかった。
DNGはアンケートが示すように「実力は自分たちの方が上だ」という自信やDay5のRush戦での嫌なイメージ、そして会場のファンを含むLV陣営に飲まれてしまったのだろう。
(試合後のインタビューでもDNGの選手達はメンタル面を課題に挙げている)
もちろん単純に技術的にLVの選手達の方が上回った可能性もあります。全て私の勝手な憶測です。
ただ事実としてLV運営はファンベース構築のための施策を意識的に力を入れて行なっていた。それは事実。実際にどれぐらい勝利に影響があったかは分からない。ただ私はいいチームだったなと思う。このチームを半年間応援してきてよかった。そう思わせてくれるチームだった。


最後に


さて、ここまで主観で言いたい放題言ってきた(書いてきた)訳ですが、本当に楽しかったです。プロ対抗戦。イッツスポーツ、イッツエンターテインメントでした。
出場した全ての選手、そして関係者の方々に最大限のリスペクトを送ります。
特に選手達。
先の見えない不透明で不安定なプロゲーマー、esportsというものに人生を賭けて挑戦し、第一回プロ対抗戦を盛り上げてくれた全選手、本当にお疲れ様でした。

最後になりますがこの記事はあくまでいちファンが「選手の技術やチームの戦略」以外の外的要因や、最終的にはファンの力をファンが偉そうに語るというしょうもない内容になってしまいました。
素晴らしい試合はあくまで選手達の沢山の練習や最高の技術あってのものです。
試合に勝ったのは結果として選手の頑張りです。
私はそれを見てワーキャー言ってるだけで、ワーキャー言うのも悪くないのかな、と言うお話でした。
ただ、もしあなたが私と同じようなファンのひとりなのであれば、その声を選手に、チームに届けてあげてほしい。
あなたが思っているよりも、選手の力になるはずです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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