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「まともじゃないのは君も一緒」をみた感想


普通という言葉でありふれているけど、普通とは何かって言われるとよくわからない。「まともじゃないのは君も一緒」は、テンポの良い会話と共に、普通とは何かに迫っています。

この映画はとにかく「普通」という言葉が何回も出てきます。公式サイトによると、「普通」は54回使われているとのことでした。

成田凌演じる数学の塾講師を「普通じゃない」と指摘する女子高生を清原果耶が演じています。そして、「普通の恋愛とは」を指南していく女子高生の香住にとっての「普通」も少しズレています。香住は、恋愛経験はないが、自分を恋愛上級者とだと思い込んでいます。

そんな普通じゃない2人が好き勝手言い合う噛み合わない会話はなんだか癖になります。そのため、予想に反して塾講師の大野が女性と普通に話していて、上手くいっているような様子は、普通で良いのだけど何だか物足りなさを感じていきました。

香住がカラオケでPUFFYの「これが私の生きる道」を歌うシーンが印象に残っています。自分の道を生きるという歌詞と程よいゆるさが普通とは何かを問うこの映画と凄くマッチしています。

近ごろ私達はいい感じ
悪いわね ありがとね
これからも よろしくね

2人のこれからの関係を思い浮かべながら?ノリノリで歌う香住とただ座って香住を見ている大野の対比が良いです。

少し、映画の内容とは逸れますが、カラオケシーンを見て「これが私の生きる道」を聞くのにハマりました。間奏にビートルズのDay tripperのギターリフに似ている箇所があるなと思い調べてみたら、この曲には、サンプリング的にビートルズのオマージュがたくさん入っているとのことでした。プロデューサーの奥田民生の遊び心でビートルズ要素が溢れながらも、PUFFYの楽曲として成立している曲の作りが面白いし、すごい。


「君の言っている普通は何かを諦めるための口実なのか」というセリフが刺さりました。普通という言葉は、相手や自分を縛るだけでなく、自分を守るための言い訳に使っていることに気が付かされました。確かに、普通はこうだからしょうがない、普通はそういうことしないなど、普通という魔法の言葉を盾にしているところが私にもあると気がつかされました。

普通とは、世の中の大多数によって築きあげられてきたものに感じるが、結局は時代の空気感や自分の中で作られているもので、普通の基準は曖昧なものなのだと思います。普通でいるのも大変だし、普通じゃないことも愛おしく、そのままの自分でいたいと思える映画でした。


(ヘッダー写真は公式サイトより引用)



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