見出し画像

買い物が投資になっていくことへの違和感の正体

リセール市場が盛り上がりを見せている。特にエルメスやシャネル、ルイ・ヴィトンといったブランドは元値以上の価格で売れるようになりつつあるという。こうなると、もはや買い物というよりも「投資」の側面が強くなる。

フリマアプリを誰でも使う時代になってから、若者を中心に「買う前にリセール価格を調べる」という変化はあちこちで語られてきた。定価一万円のものを買ったとしても、使ったあともまた一万円で売れるのならば実質的な料金はゼロになる。ラグジュアリーブランドにいたっては、売ればプラスになるケースすら出てきた。

ツイートで紹介したRebagのレポートでは、どのブランドのどのシリーズが定価の何%で売れるかといった情報まで掲載されている。ひとくちに「エルメス」といっても、バーキンやケリーといった有名どころ以外はリセール価格は定価の半額ほどになるケースもある。そのうち手放すことを前提に考えるならば、「還元率」が高いものを選ぼう、という人が増えるのも無理はない。

こうしたリセールの活発化は、いらないものを簡単に捨てるのではなく再度市場に流し、利用できるようにするという点で新しい消費のあり方として歓迎すべきとする向きもある。

一方で、リセール市場の加熱による「消費の投資化」には違和感が拭えない。

ここから先は

851字

思索綴

¥390 / 月 初月無料

消費と文化、哲学と営み、人の世の希望と悲しみについて考えを巡らせていくマガジンです。本を読んで考えたこと、まちを歩いて感じたこと、人との対…

サポートからコメントをいただくのがいちばんの励みです。いつもありがとうございます!