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551の豚まんを、通販ではなく並んででもその場で買いたい理由

はじめて551の豚まんを食べてから、すっかりその魅力に取り付かれてしまった私。

「東急東横店の物産展で551の豚まんが買える!」という情報をキャッチし、最終日の今日、意気揚々と行ってきました。

ウキウキで催事場に到着して551の豚まんを探してうろうろし、やっと見つけた!と思って駆け寄ると想像の10倍以上の人・人・人…!

551の豚まんのこと、なめてました。

一度なにかを食べたいと言い出すと食べるまで言い続ける性格なので、思考がショートしすぎてしばらく呆然と立ち尽くしてしまった私。

とはいえ、これはどう見ても1時間は待つぞ…ということで、トボトボとオフィスに戻るはめに。

オフィスに戻りながら思ったのですが、よく考えればそんなに食べたかったらECで買えばいいんですよね。

でもそれは違うんよ!という主張をオフィスに戻ってから熱く語っていたのですが、全く同じ商品なのにECでは買わずに並んででもその場で買いたいのはなぜなんだろう、と自分でも不思議に思いました。

そんな経験、ありませんか?

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販売する側からすると、リアル店舗よりもECで購入してもらう方がコストがかからない、というのが一般的です。

常設の店舗は固定費も維持費もたくさんかかりますし、売れようと売れまいと重くのしかかってくる人件費もあります。

期間限定店舗だって、販売だけではなく設営・撤収で人の手が必要ですし、場所によっては什器をすべていちから揃えなければなりません。

リアル店舗は圧倒的にコストがかかるんです。

つまり同じ商品を買ってもらうなら、リアル店舗よりもECで購入してもらいたい。

今回551の豚まんの行列に並んでいた人の中には「よく考えたら通販で買えばいいんじゃない?」という人も一定数いたんじゃないかと思います。

でもそんな人たちがECではなくその場で欲しいと行列に並ぶことで、会計から梱包の手間、さらには長い行列の整備用の人員などたくさんのコストがかかっています。

並んでいる側としても、ECで買えば5分ですむところをわざわざ1時間も並んで買うなんて圧倒的な時間のロス。

あれ、みんなにとってマイナスなのに、なんでみんなその場で買いたがるんだっけ…

ECへの誘導を前提にリアル店舗の設計をする時代は、すでにきている

どうしても食べ物はその場で買いたいものだし、特に焼きたて・揚げたて系は出来立てを食べたいものなので、ECには勝ち目がないでしょう。
一人暮らしでちょこっと食べたい人なんかは送料払ってまでほしくないだろうし。

でも「並ぶくらいなら今回はいいや」を「並ぶくらいならECで買ってみようかな?」に変換することはできる気がします。

例えば今回の551の豚まんの例でいうと、そもそもECがあるという発想がない人もいるのかもしれません。

であれば、並んでいる間にメニューが載っているフライヤーを配布して、QRコードの読み込みでECを開けるようにすることで「あ、ECで買えるんだ」と気づく人がいるだけでも大きな意味がありそうです。

もしくはECで購入した際の「受け取り」が面倒だからその場で買いたい、という人も多そうです。

それを解決するためには、先にEC上で購入した人が催事出店期間中に「受け取り」だけ催事場所でできる仕組みもいいかもしれません。

自分のタイミングで取りにいけるなら、期間中に先にECで決済して店頭受け取りしたい!という人は一定数いそうです。
amazonのコンビニ受け取りと同じ要領ですね。

ただ実際には、ブランドが自社ECに誘導しようとするのは、売り上げ歩合をとっている商業施設側としてはやめてほしいことなのでこの辺の話が進まないのだと思います。

でも広告と同じようにトラッキングがとれれば売り上げ分を歩合で算出することはできそうなので、そのシステムさえあればブランドにとっても商業施設としてもWin-Winなはず。

テクノロジーで解決できる問題なんです。

ちなみにECとは関係ないですが、並んでる間に「551の豚まん並んでるなう😍」とInstagramに投稿しやすいように、フライヤーをインスタジェニックな感じにするのも大事ですね。並んでいる時間を飽きさせない、大事です。

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リアル店舗が強いのは、セレンディピティのような出会いをきっけに「ほしい」と思ってもらえることだと思います。

でも長く続く行列はせっかくの「ほしい」テンションを萎えさせてしまうし、その「ほしい」の気持ちは別のなにかに代替されてしまう。

そうなる前に「今ここじゃなくても、ECで買ってみようかな」と思ってもらうための動線づくりはこれから特に重要になってくると思います。

リアルな世界における"空間"は有限です。
商品も在庫も什器もPOPもなにもかも、与えられたスペース内でやりくりするしかありません。

対してインターネット世界の"空間"は無限です。
リアル店舗ではマネキンに着せた数種類しか提案できないコーディネートも、インターネット上であれば無限に提案することができます。

だからこそ、リアル店舗を入り口にして無限のネット世界に誘導する動線が必要なんです。

リアル店舗かECかではなく、リアル店舗をトリガーにしてECで購入してもらう、リアル店舗2.0の時代へ。

豚まんが食べられなかった悔しさから、そんなことを真剣に考えた帰り道でした。

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